表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
72/768

メロンパン、チョココロネ、ナイスガイ

 コンビニに来ている。

 休日、なんとなくごろごろしていたら、なんとなく小腹が空いた気がした。

 なんとなくごろごろしているのにも飽きたので、ちょっと外に出るべきかと思う。

 なので、何か買おうと思ってコンビニまで来た。

 スナック菓子の一つでもいいかな、と思っていたのだけれど、パンの商品棚の前で立ち止まる。

「・・・・・・うーん」

 スナック菓子をぽりぽりやる気分ではない。

 だから、なんかしっとりしたものがいい。

 ケーキやプリンなんかの生菓子でもいいけれど、

「おなかにたまらなさそう」

 でもすっきりしたい気もする。

「・・・・・・むう」

 飲み物は、自分でコーヒーを淹れればいいかな、と思っていたけれど、ジュースの類を買った方がいいかもしれない。

「さて、難題だ」

 声には出さずに呟いて、ぼんやりとコンビニの商品を眺めて歩きながら考える。

 気分が乗らない日はある。

 正直、コンビニに入ってから、別にここのコンビニでなくてもよかったかなあ、とか、どうせちょっと外出たんなら、駅前のパン屋まで行こうかな、とか思ってるけど、それはそれで面倒だなあ、とか思っている。

 そんな思いを抱えながら、ぼくはコンビニの中をうろついていた。

 さっさと買って帰ればいいのに、と思うんだけれど、これだ、と思うものが見当たらない。

「・・・・・・むう」

 パンの棚の前に戻ってきた。

「・・・・・・・・・・・・」

 スマホを取り出す。

「・・・・・・・・・・・・ヘイ、はなさん!」

『どうしたんですか?』

「メロンパンとチョココロネ。どっち食べたい?」

『・・・・・・・・・・・・はい?』

 はなさんに電話を掛けて、勢いのままに聞いたけれど、さすがに困惑の声が返ってきた。

「いや、はなさんの気分的に今だったらどっち?」

『え? どっちって言われれば、・・・・・・メロンパンで』

「わかった」

 両方レジに持って行った。


+++


「一体なんなのかと思いましたよ」

 はなさんの家。

 はなさんの部屋で、ぼくははなさんにメロンパンを渡して、自分はチョココロネの袋を破いていた。

「いや、もう、なんか・・・・・・」

 こう、

「本当にどうしようもない気分でさあ・・・・・・。ふとはなさんだったらどっちかなあ、と思ったんだけど、別にどっちでもよくね、と結論が出て、じゃあ、聞いてしまおうと」

「どこからどうつながってそうなったんですか」

 はなさんは、メロンパンを持ったまま苦笑している。

「いや、暇だったんだ」

「そうですか。休日ですしね」

「で、ごろごろしてたんだけど、なんか退屈に耐えられなくて」

「はい」

「せめて小腹を見たそうと外に出たんだけど、コンビニ行くだけで終わったら外に出たかいがない、とか」

「なるほど。気持ちはわからなくはないです」

「・・・・・・はなさんと遊べればなあ、と思ったんだけど、約束してなかったし」

「そういう日もありますね」

 はなさんは、なんか優しい感じに笑っている。

「まあ、電話くらいはいいかな、と思ったんだけど」

「電話くらいは、いつでもいいですよ? 出られない時は取らないので」

「そうだね」

 はなさんに電話を掛けたのはいいけれど、

「もう目の前の悩みを勢いのままにぶちまけてしまった」

「かわいらしい悩みですね」

「はなさんと話したかっただけだからねえ・・・・・・」

 自分でも苦笑する。

「そのあとはなさんと約束取れてよかったよ」

「普通に連絡してくれればよかったのに」

「んー。・・・・・・気分的に、ちょっとそうするのが億劫だった」

「なにか嫌なことでもあったんですか?」

「ううん? 昨日夜更かししたせいで眠いだけ」

「サン・・・・・・」

 はなさんが咎めるような視線を送ってくるのに方をすくめる。

「まあ、おみやげにメロンパン持ってきたし、よかったら食べてよ」

「まあ、いただきますけど」

 ぼくはチョココロネ。

 チョココロネの細い方をちぎって、チョコをつけて口に運ぶ。

「・・・・・・・・・・・・尻尾をちぎって脳みそをつけて食べる」

「チョココロネの食べ方をそういう人は初めてですね」

 はなさんがなんか嫌そうな顔をしている。

「そうだね。ぼくも思った。でも、コロネってどっちが頭か分からなくない?」

「いえ、パンの頭ってなんですか?」

「・・・・・・・・・・・・言われてみると」

 よく考えるとパンに頭も尻尾もないよ。

「芋虫か貝かに見えるから?」

「見えたところで、パンに頭と尻尾を見るのはやめましょう」

「そうだね」

 むぐむぐとパンを食べる。

「飲み物はジュースとスポドリとコーヒー。そして、ヨーグルト」

「なぜ四種類も」

「ぼくが飲みたいやつを買ってきました」

「つまり?」

「はなさんがどれを選んでも、ぼくが飲みたいものは残ります」

「・・・・・・賢いのか、何なのか」

 はなさんは苦笑しながら、コーヒーを取った。

「では・・・・・・。ジュースにするか」

 百パーセントオレンジジュース。

「・・・・・・・・・・・・あ」

 はなさんがふと声を上げた。

「どうしたの?」

「あの、呼びかけのヘイって」

「思いついたのがあるなら、多分それは正解です」

「そうですか」

 はなさんは、メロンパンを食べている。

「・・・・・・コンビニのパンとか、食べなれてもおいしいですね」

「そうだよねえ」

 食べなれている安心感はある。

「わたしは、あまり食べないですけど」

「ぼくは、たまに、かなあ? パンだと、駅前のパン屋さんのやつとかの方がよく食べる」

 手軽に買えるからコンビニを使うけれど、それ以外だとコンビニ以外の物の方がよい、気がする。

「気のせいだと思うけど」

「気のせいでしょうけどね。コンビニの商品って、結構考えられているイメージありますし」

「新商品がぽこぽこ出ている以上、思いつき商品も結構ありそうな気はするけどね」

「どっちもあるんじゃないですか? 考えるのも、許可を出すのも、どっちも人間ですし」

「説得力のあるお言葉で」

 はなさんは、コーヒーを飲んだ。

「ちょっと話を戻しますけど。サン、今日はそんなに暇なんですか?」

「暇だった。夜更かししたけどなんか目が覚めちゃって、何もする気が起きなくて、退屈だった」

「ふむ」

「?」

「いえ、ちょっと出かけますか?」

「どうしたの?」

「いえ、家具を見に行こうかと思ってまして」

「家具?」

「昨日、椅子の足が折れちゃいまして。丈夫ないすがいるところだったんです」

「ありゃ」

「別にいつでもいいといえばいいんですけど、暇なら、どうです?」

「行く」

今回は少し変則かもしれない。


評価いただけると励みになります。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ