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炭田、夢、飛行機

(注)テンションがおかしいです。

「炭田とは!」

「・・・・・・はなさん?」

 唐突に、はなさんが叫んだ。

「炭田とは、炭の田んぼである!」

 はなさんの圧が強い。

「・・・・・・まんまだねえ」

「つまり、サン。炭田では炭が取れます」

 なんだか遠くへと叫んでいたはなさんが、不意にこちらを向き、妙に真剣な顔で言う。

「そうだね!」

 ぼくも頷く。炭田というのは、石炭を掘る場所のことで・・・・・・。

「炭田で丹念に炭田に力を入れ、炭田を耕し、炭田に種をまき、炭田に水をやると、炭ができます!」

「へー、そうなんだー」

 なんかおかしいぞ、とは思わなかった。

「さあ、サン! あなたもわたしと一緒に炭田を耕し、炭田から炭をとり、それを食べて暮らしましょう!」

 炭って食べ物じゃないよ、はなさん。

 と伝える間もなく、はなさんがクワを片手に走っていく。

「はなさーん!」

 はなさんはものすごい勢いでクワを振り下ろし、その度に地面がめくれ上がり、破壊された大地はブロック状へと分解され、やがてその奥から黒い地層が現れ、

「見てください! サン。あれこそが炭田にまく種ですよ!」

「おー! すごいねはなさん!」

 はなさんのテンションに引っ張られるように、ぼくのテンションも上がってきた。

 はなさんが移動するとそれに引っ張られるようにぼくも移動していく。

 はなさんがクワを振り、黒い粒が次々と落ちてくる。

「さあ、種を手に入れました! 次は田んぼです!!」

 はなさんが勢いよく叫び、突き進んでいく。

「・・・・・・」

 ぼくはいつの間にか手に持っていた袋へ、黒い種を集めて持って行く。

「はなさん。種持ってきた」

「ありがとう! サン」

 はなさんがものすごい勢いでクワを振って、地面を耕していく。

 耕された地面はくぼんで桝形の畑になり、どこからか水が流れ込んで水田になった。

「・・・・・・ダメだはなさん。水に濡れたら炭にならない!」

「大丈夫! 収穫する時に水を抜いて乾かせばいいんです!!」

「なるほど!」

 なんか盛り上がってきた。

 ぼくははなさんが作った水田へ、袋からつかみだした種をまく。

「そーれ」

 一掴み分を天高く放り投げれば、田んぼ全体に種がまかれて。

「はなさん! 目が出てきた!」

 黒い目がにょきにょきと生え、田んぼを覆っていく。

「それでいいんです! その目に肥料を投げつけて!!」

「わかった!」

 いつの間にか脇に置いてあった、『ひりょう』と書かれている袋を持ち上げ、田んぼへと投げ込む。

 爆発した。

「わあー!」

 炎上した。

 火が収まると真っ黒に焦げた田んぼが残る。

「中干できましたね!」

 はなさんがいつの間にか隣で力強く頷いている。

「これでいいの?」

「いいんです!」

 はなさんは天を力強く指さし、

「行きますよ!」

 どこに、と聞く前にぼく達は飛行機に乗っていた。

「さあ、サン! 下を見て!!」

 飛行機の翼の端っこで、はなさんが手招きしている。

「なになに?」

 覗き込むと、大地が真っ黒だ。

「あれがすべて、わたし達の炭田です」

「すごいね。はなさん!」

「ええすごいですね!!」

「全部真っ黒だ!」

「あはは。世界のすべてはわたし達のものですよ!!」

 いつの間にか空も真っ黒だ。

 ぼく達はいつの間にか、暗闇の中にいた。

 いや、違った。世界の全部が炭田だから、真っ暗なだけだった。

 つまり、ぼく達の炭田が世界征服している。

 はなさんが一つを指さし、

「あれが炭田、あれも炭田、あっちも炭田、こっちも炭田・・・・・・」

 はなさんに手を引かれてあぜ道を歩いている。

「たんでんたんでんたんでんたんでんたんでん・・・・・・」

 はなさんが歌っているので、ぼくも合わせて歌ってみた。

「たんでんたんでんたんでんたんでんたんでん・・・・・・」

「さすがはサン。上手ですね」

「ありがとう!」

 二人で歌いながら炭田の野を進む。

 どこもかしこも炭田で、世界のすべてが真っ黒だ。

「炭田による炭田のための炭田の炭田がここにある!!」

 はなさんが炭田の群衆を前に演説している。

「行くぞ! 炭田!! わたし達の時代だぁっ!!」

 うおー、とどこからか分からない歓声が響き渡る。

「サン!」

「はい! はなさん!!」

 ぼくは炭田の中に立っていた。

 周り中すべて炭田だ。

 そしてぼくも炭田になろうとしている。

「はなさん! ぼくは炭田になってはなさんの永遠の味方になるよ!!」

「期待していますよ! サン。今、サンが乗っている炭田は、わたし達が人生をかけて練り上げた炭田。その炭田と一体化し、真なる炭田となったとき、サンは世界を救う力を手に入れるのだ!!」

「がんばるよ! はなさん!!」

 うおおお、と気合を入れる。

 ぼくの体が少しずつ、炭田となっていく!!!

「はなさん。すごい力だ!! ぼくは、ぼくは!!」

 ついに、ぼくは炭田になった。

「ぼくは、世界を、はなさんをすくってみせる!!」

 いつのまにか、はなさんがいない。

「・・・・・・はなさん?」

「ふっふっふ、サン。よくここまで来ましたね」

「はなさん!!」

 振り返ると、そこにはなさんがいた。

「否。それは仮の姿!!」

 ば、とはなさんは、炭田を脱ぎ捨てた。

 現れたはなさんは真っ白だ。

 炭田となり、真っ黒になったぼくとは真逆。

 まるで、運命の敵であるかのように。

「はなさん。まさか、まさかその姿は!!」

「そう! 気づくのが遅かったですね! わたしが、炭田の世界を滅ぼすもの!!」

 はなさんがポーズを決め、背後で爆発が起きる。

「石油王、はなさん!!」

「石油王、はなさん・・・・・・!!!」

 なんということだ。ぼくは世界を救うためにはなさんを倒さなければならないのか。

「今、サンの中に世界中の炭田が集っている! つまり、サンを倒せば、炭田は滅び、世界はわたし、石油王はなさんのものとなります!!」

「そんなことはさせない!!」

「ふ、残念ですがサン。あなたの敗北は決定しているのです」

「な、何だって!?」

「石油王となったわたしは、大金持ち。炭田? ふ、そんな時代遅れのものなど、端金で買収です!!」

「ああ! ぼくの炭田が、金に買われて消えていく!!」

 なんという恐ろしい攻撃だ。金の力とは!!

「それが石油王のやることか!!」

「あっはっはっはっは!! ほうら。お金をばらまけばばらまくほど、サンの炭田は力を失っていきますよ」

「く、どうすれば・・・・・・」

 だが、ついに最後の炭田までもが買収されてしまった。

「はなさん」

「さあ、サン? 降参しなさい? そうすれば、あなたも石油王にしてあげますよ?」

 お金がひらひら降ってくる。

「・・・・・・いらない!!」

「サン?」

「ぼくは、お金が欲しいんじゃない! はなさんを助けたくて、炭田になったんだ!! だから・・・・・・」

 炭田はすべて買収されてしまった。

 だけでぼくにはまだ残っているものがある!

「はなさん。最後の勝負だ!!」

「何をするつもりか知りませんが、受けて立ちましょう!!」

 ぼくのターンだ。

「炭田はすべてなくなったしまった。だけど、そのおかげで、戻ってきたものがある!」

「それは・・・・・・」

「そう、炭田になって真っ黒になっていた、太陽だ!!」

 世界は明るくなっている。

「石油エネルギーは環境を破壊する! これからの時代、真に必要なのは自然エネルギー。そして、その最も代表的なものといえば!!」

「まさか!!!」

「そう、太陽光発電、だ!!」

 びかー、と天から光が降り注ぐ。

「はなさん! これが本当に、最後の勝負だ!!」

 天からの光を受け、ぼくは全身光輝き、そして、叫んだ。

「サンビーム!!!」

「いや、その技名はまんますぎでは・・・・・・」

 サンビームに貫かれたはなさんは爆発四散し、世界に平和が戻ったのだった。


+++


「ていう夢を見た」

「・・・・・・はいはい。夢オチですね・・・・・・」

 世界は今日も平和である。

「・・・・・・ちなみに、ほんとに全部夢に見たんですか?」

「え? ほんとは『たんでんたんでん』歌ってるあたりで夢から覚めた気もするけど、二度寝したら大体あんな感じの続きを見たよ?」

「・・・・・・サンの中で、わたしは一体どういうキャラに・・・・・・」

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