単純作業、中身、後始末
ぺり、とはがす。
ミシン目に沿って切り取って引っぺがし、分ける。
ビニールはゴミ袋。
蓋も同じプラスチック。
本体は別のビニール袋。
何をやっているのかといえば、ゴミ出しだ。
気が付いたら、結構な量のペットボトルが溜まっていた。
暑さが増してきたから、と、気の向くままに買いまくっていたら、いつのまにやら、という感じだ。
その飲んでしまったものの後始末として、いまはひたすらに単純作業にいそしんでいる。
ペットボトルのキャップと、ペットボトルの包装となっているビニールを引っぺがし、ペットボトル自体は洗う。
それぞれをゴミ袋に入れているのだが、
「わあ。・・・・・・ゴミ袋、足りるかな・・・・・・」
さすがにちょっと反省する。
外に出る度に何かしら買って帰るし、部屋でも結構飲んでいる。
二リットルのペットボトルもあるし、大きさはさまざまで、
「潰すか。でもなー」
潰せばいくらか小さくはできるかもしれないけれど、そのまま袋に入れて出した方が労力は少ない。
ゴミ袋がたくさんいるけれど。
「んー。出すとき大変ではあるけど」
ゴミ袋結構多いしなあ。
部屋の一画がゴミ袋で埋まっている。
中身は透明なペットボトルばかりのため、あまり汚い印象はないけれど、気分はよくない。
「・・・・・・溜め過ぎた」
一ヶ月くらい溜めてただけなのに、と肩を落とす。
まだペットボトルは残っている。
また、包装を引っぺがし、キャップを外して、ゴミ袋に入れる。
「あー」
ぼやきながらも、手は動かす。
結構夜も更けてきているし、やる気は全くない。
だけれど、明日なのだ。ペットボトルの回収日は。
「・・・・・・やらないと。ゴミが残る」
くそう、とため息を吐きながら、ぼくはてを動かすのだった。
+++
「ということが昨日あったの」
「あらまあ。反省しないとですね」
「まあねー」
ふう、とため息を吐く。
「ペットボトルは一週間に一回回収日があるんですから」
「うん。これからはそうする」
「というか、飲んだ端からきちんと分別しておけばよかったのでは?」
「おっしゃる通りで」
まったくもって正論ばかりである。
単純にさぼっていたツケだ。
「ほんと、反論のしようもないよ。ペットボトルばかり買い過ぎた」
大変、と肩をすくめる。
「食べ物や飲み物の容器は、やっぱりゴミの中でも多いですからね」
「ねー。・・・・・・出てるゴミの六割くらいは食べ物のゴミだもんね」
惣菜の容器もそうだし、インスタント食品もゴミが多い。
「便利な分だけゴミが多い、と」
「自炊すると、だいぶ減りますよ?」
「毎日とかはちょっと」
確かに、インスタント食品よりは、自炊の後の生ごみの方が少ない。
ただ、毎日やるだけの気力はない。
「飲み物だって、いつもコーヒー飲んでるのに」
「暑い日に淹れたてのコーヒーはなあ・・・・・・」
「氷を買ってくるなり作っておくなりして、アイスコーヒーにするのはどうなんです?」
「・・・・・・・・・・・・それもいいねえ」
アイスコーヒーか、と考える。
製氷皿はないから、買ってくるか。
普通に売っている氷を買ってきてもいいかもしれない。
「・・・・・・そうだね。そうしようかな?」
「あと、この間、ポットを買って、麦茶を作る、とか言ってませんでした?」
「あー・・・・・・」
そんなことも言ったなあ。
「ポットを買うなら、水出しコーヒーという手も」
「ちょっとストップ。はなさん」
「?」
ぼくが手を上げて止めると、はなさんは首を傾げた。
「いや、結構やることあるのは分かったけど、ちょっと待って」
「ああ。すいません。少し矢次早すぎましたか」
はなさんも、ちょっと落ち着いてくれたようだ。
「とりあえず、外で買う飲み物を減らすところからかな」
「水筒とか買ってみるのはどうですか?」
「水筒か」
高校まではほぼ毎日持っていたけれど、大学に来てからは使っていない。
「たしかに。冷えた麦茶を入れてもいいね」
「お茶やスポーツドリンクのパウダーのやつでもいいと思いますし。冬なら温かい飲み物を入れておくこともできますし」
「そうだね」
水筒かあ、と考える。
「自分で用意する方が楽ですよ? ペットボトルは買うだけゴミが増えるのは、きっと実感済みでしょうし」
くすくすと笑われて、ぼくも苦笑する。
「まったくもってその通りだった。・・・・・・はなさんは水筒持ってるの?」
「ありますよ? わたしのは水筒、というかボトルですが」
そう言ってはなさんがカバンから取り出したのは、布製の袋だ。
「保冷袋?」
「ええ。この中に」
厚手の保冷袋の中、プラスチック製のボトルが出てくる。
「スポーツドリンクの粉末を溶かしたものです。溶かした後に氷を入れて持ってきてあります」
「スポーツドリンクに氷・・・・・・」
「いえいえ。最初に少し濃いめに作ってあるんです。そうすると、飲むころには氷も解けて、よい具合になりますね」
「・・・・・・へえ」
なるほど、氷が解けることまで計算に入れているのか、と感心してしまった。
「まあ、どういう風にするかはサン次第ですよ。保温性の水筒なら、氷は解けにくいでしょう」
なるほどなあ、と頷く。
「・・・・・・水筒を買おう」
「ふふふ。そうですか」
はなさんのおすすめに従って、水筒を買うことにした。
そうして、水筒を使うことを考えると、
「中身何にしようかなあ」
「いろいろ試してみるといいですよ」
はなさんも楽しそうでよかったなあ、と思った。
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