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第6話:硝煙の朝、そして鏡の中の問答

京都の朝の光は、まるで警察の家宅捜索のように容赦なく室内に侵入し、枕に残ったマスカラのシミや、エアコンが排出しきれなかった生臭い汗の匂いを白日の下に晒した。

拓真は、まるでコンクリートミキサー車に骨盤を轢かれたかのような激痛と共に片目を開けた。彼を意識の底から引き戻したのは、優しい愛撫でも囁きでもなく、ライターの火を付ける音と、クチャクチャと音を立ててガムを噛む不快な音だった。


ティファニーは全裸のまま彼のデスクの上に腰掛け、エヴァンゲリオンの限定版フィギュアを灰皿代わりに使っていた。メンソールタバコの煙が、有毒な雲のように部屋の空気に漂っている。


ティファニー:「ほら、起きて、モスキート(苔くん)。昨日の夜のあれは、ウォーミングアップとしては上出来だったわ」

彼女は煙を吐き出した。

「あんたの顔、私のケツと同じくらい痛むわけ?」


拓真は身体を起こそうとしたが、ステイシーの太ももに片足をトラバサミのようにがっちりと挟まれていた。彼女は仰向けに寝転がり、ギリシャの哲学者さながらの虚無的な表情でコンクリートの天井を見つめていた。その哲学者が、戦利品のように手首にTバックをぶら下げていなければの話だが。


ステイシー:パチンと乾いた音を立ててガムの風船を膨らませ、破裂させる。――「そんなこと聞かないであげてよ、ティフ。この人、神様を見て、その神様から離婚届を突きつけられたような顔してる。……ねえ、モスキート。あんた、変な病気とか持ってないよね? 昨日の夜、完全になまで最後まで突っ走っちゃったからさ。私のあそこ、そんなお気楽な状態じゃないんだよね」


ベッドの反対側から、ジェニファーが乾いた高笑いを漏らした。彼女はフィギュア棚の前に完全な全裸で座り込み、手鏡と毛抜きを手にしていた。まるで外科医のような精密さで自分の眉毛を整えている。


ジェニファー:「勘弁してよ、ステイシー。もしモスキートが病気を持っていたとしたら、それはコンピュータウイルスから感染した種類のものよ。彼の血液なんて、基本的には聖水とカレーラーメンでできてるわ」

彼女は眉毛を一本引き抜き、忌々しげに顔をしかめた。

「それに、生のことで心配する必要なんてないわ。私たちがコンドームなしでヤるのはね、誰かの人生を破滅させるリスクがある時ほど、あそこが最高にカチカチに濡れるからよ」


ティファニー:「その通り!」

ティファニーは下品に爆笑しながら、レジン製のフィギュアの顔面にタバコの火を直接押し付けて消した。

「不妊治療クリニックに駆け込んで養育費を要求して叫ぶことになるかもしれない、っていうリスクこそが、世界最高の潤滑剤よね!」


拓真は、道に落ちている枯れ枝をどかすように、ステイシーの足を自分の身体から退けた。彼女の顔は見なかった。

骨盤の痛みを完全に無視して背筋を伸ばして立ち上がり、浴室へと歩き出した。許可を求めることも、タバコの煙に文句を言うこともしなかった。彼はただドアの前で立ち止まり、振り返ることなく、ティファニーのタバコよりも鋭く空気を切り裂く一言を放った。


拓真:「もし俺のコレクションを灰皿にするつもりなら、ティファニー、プラスチックを燃やさないように気をつけろ。お前自身よりも価値があるものの煙を吸って、中毒死されたら目覚めが悪い」


その後に続いた沈黙は短かったが、電気的な緊張を孕んでいた。

ステイシーはガムを噛む手を止め、ジェニファーは毛抜きを宙で止めて眉をひそめた。ティファニーの怒号が罵詈雑言や飛んでくる灰皿という形に具現化する前に、拓真は浴室のドアを閉め、内側から鍵をかけた。


拓真は冷たい鏡に背中を預けた。汗ばんだ肌に触れる冷気が、まるで現実からのビンタのように感じられた。

浴室はいつも通り、完璧に清潔だった。磨き上げられたシャワー、一点の曇りもない洗面台、芳香剤の香る便器。何ひとつとして埃の浮いた場所はなかった。何ひとつ、変わっていないように見えた。

それなのに、彼はもう自分の部屋の何もかもを認識できなくなっていた。


温水の湯気が鏡のガラスを曇らせ始めた。だが、その曇り方は一様ではなかった。

牛乳のコップに落とされた墨汁のように、黒い渦が巻き起こり、見覚えのあるシルエットを描き出していく。拓真が腕で自分の顔を拭い、再び鏡に目を向けたとき、そこに「彼」はいた。


ロード・ケザールは浴室の物理的な空間を占有していなかった。彼は鏡の水銀の奥に埋め込まれ、漆黒の虚空に浮かぶ背もたれの高い椅子に腰掛けていた。

白 professions な長い指の間に象牙の杖を挟み、その黒い眼差しは、拓真の肩に残るティファニーの爪痕を、まるで臨床的な興味を惹かれたかのように見つめていた。


ロード・ケザール:「貪り食われているな……」

短い沈黙。湯気が、まるで呼吸しているかのように不気味にうねる。

「そして最悪なのは、お前自身、自分の臓物の味を気に入っているということだ」


拓真は動かなかった。ただ、唾を飲み込む。

湯気は、そこに存在しないはずの影をなおも描き続けている。


拓真:「違う……貪り食われているんじゃない。選んだんだ」

彼はもう一度、唾を飲み込んだ。

「……俺が、彼女たちを中に入れたんだ」


ロード・ケザールは首を傾げた。ほんの少しだけ。風向きの変化を察知した弓兵のように。


ロード・ケザール:「では、彼女たちがもうお前を満たせなくなった時、お前はどうする? その混沌が炎であることをやめ、お前の口の中で冷たい灰と化した時、お前は何をするつもりだ?」


拓真は目を閉じた。

言葉で返す代わりに、彼はシャワーの蛇口をひねった。

激しく流れ落ちる水は、最初は肌を焼くほど熱く、やがて罰のように冷たくなっていった。それは起きたことを洗い流すためではなく……それを身体に刻み込むためのものだった。

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