夕食会
隠し部屋発見とその後の顛末をギルドに報告した後、俺はフレッドに誘われて、メンバー達三人と一緒に『猪鹿亭』というビストロで夕食を取ることになった。冒険者やギルド職員がよく利用する店で、俺もケイトとのデートでよくお世話になったものだ。
フレッドはジョッキ一杯のエールを喉に流し込むと、ため息まじりに言った。
「せっかく隠し部屋を発見したってのに、説教のほうが長かったすね」
「まあ、あやうく全滅しかけたんだから、仕方ないさ。なんだかんだ言っても、あの親父は君たちのことが心配なんだよ。褒賞金もきちんと出してくれたし、これでよかったってことにしよう」
「じゃ、まず、あらためて……」
フレッドの言葉を合図に三人はいっせいに立ち上がって頭を下げた。
「危ないところを助けていただき、本当にあざっした!」
店中の客がこっちを見ている。なんだかすごく恥ずかしい。
「ただのまぐれだよ。礼なんていいから、ほら、とにかく飯を食おう」
食事が進み、三杯目のエールを飲み干したところでフレッドが言った。
「アンリさん、お試し期間はあと四日っすけど、その後はどうされるんすか?」
「そうだねえ、とりあえずモーリ男爵に報告して、意見を聞くつもりだけど……。今のところ、スキルが使えたのはあの一回だけ、どう評価していいか、自分じゃわからなくてね」
「あんなすごいスキル、いくら時間がかかってもレベルアップさせるべきっす。実験台でも何でも、俺らにできることなら、喜んでやらせてもらうっす」
「いやいや、実験台だなんて、とんでもない」
「スキルのことだけじゃなくて、アンリさんはいろんなことを教えてくれるからありがたいんすよ。だから、これからもぜひいっしょに活動して欲しいんす。俺らにはシューシ計算とか無理だし……」
ああ、それね。まあ、冒険者って基本的にどんぶり勘定だもんな……。ちょっとした本音が聞けて、俺は彼らに親近感を覚え、かえって気が楽になったように感じた。
「一緒にあの危機を乗り越えたんだし、もしダンジョンに潜り続けることになったら、ぜひ協力をお願いするよ」
「ありがたいっす」




