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会社を辞めた俺、ハズレスキル“清掃”でダンジョン最深部を独占する  作者: tsu
外界汚染編

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第二十二話 崩壊するカルネディア

カルネディア最深部への突入戦が始まった。


 轟音。


 爆炎。


 白銀光。


 侵食花弁。


 地下空間全域が戦場になっていた。


「左からレギオン群接近!」


「後方にも黒根反応!」


「数が多すぎる!」


 灰狼メンバーが叫ぶ。


 だが敵は止まらない。


 黒花眷属レギオン。


 探索者。


 研究員。


 古代兵士。


 全員が黒根に侵食されながら襲いかかってくる。


 しかも倒しても再生する。


 切断面から黒花が咲き、再び立ち上がる。


「本当にキリがない!」


『精神共有型群体です』


「つまり本体を止めない限り増え続ける!?」


『はい』


 かなり最悪だった。


 しかもカルネディアそのものがネメシスと融合し始めている。


 壁が脈打つ。


 床が呼吸する。


 配線みたいに黒根が這い回り、施設全域へ侵食波動を流していた。


 まるで巨大生物の内臓だった。


 その時。


 巨大な咆哮が地下を震わせる。


 花骸巨兵オルディナ。


 超大型守護体。


 胸部眼球が赤黒く発光していた。


『高出力侵食反応』


「また来る!」


 次の瞬間。


 極太侵食光線。


 轟音。


 地下通路が一直線に消し飛んだ。


 さらに着弾地点から巨大黒花が開花する。


 侵食拡散。


 地形そのものを書き換えている。


「通路が埋まる!」


「逃げ場が!」


 だがその瞬間。


 月白が前へ出た。


「……切る」


 セレスフィアが白銀光を放つ。


 銀閃。


 超高速斬撃が侵食光線を両断した。


 さらに月白はそのままオルディナへ突撃する。


 速い。


 一瞬で巨体目前へ到達。


 斬撃連打。


 花装甲が切断されていく。


 だが。


 黒根再生。


 切断面から即座に花弁が咲き、再構築される。


「硬すぎだろ!」


『高位侵食再生型です』


「便利な言葉で片付けないで!」


 その時だった。


 ネメシスが静かに両手を広げる。


 次の瞬間。


 地下空間の壁面すべてに巨大花紋が浮かび上がった。


『領域変質反応』


「え?」


 どくん。


 施設全体が脈動する。


 その瞬間。


 床から大量の黒根槍が噴出した。


「うわぁっ!?」


 灰狼メンバーが吹き飛ばされる。


 しかも黒根槍は空中で軌道を変えた。


 自動追尾。


「追ってくる!?」


 かなり嫌だった。


 レイナが炎剣を振るう。


「焼き払えぇぇ!!」


 紅蓮爆炎。


 黒根群が灰化する。


 だが次の瞬間、別方向からまた噴き出した。


 完全に地下そのものが敵だった。


 その時。


 ルナが新たな解析を表示する。


【中央浄化炉位置特定】


【距離】

・地下最奥まで約1.2km


【問題】

・全域侵食領域化


【追加警告】

・ネメシス領域内では侵食速度3.8倍


「三・八倍!?」


『長期戦は危険です』


「知ってます!」


 しかも灰狼メンバーの侵食が進んでいた。


 腕。


 首。


 黒筋が浮かぶ。


 呼吸も荒い。


 精神侵食まで同時進行している。


 その時。


 若い探索者が突然立ち止まった。


「……母さん」


 視線の先。


 そこには優しそうな女性が立っていた。


「帰ろう」


 幻覚。


 だが本人には現実に見えている。


「もう戦わなくていいから」


「……あ……」


 若い探索者がふらりと歩き出す。


「まずい!」


 だがその瞬間。


 黒根が彼の脚へ絡みついた。


「うわっ!?」


 一気に侵食が進む。


 黒花が咲き始めた。


「離れろ!」


 俺は即座に浄化波動を放つ。


 白光。


 黒花が消滅する。


 だが。


 完全には消えない。


『侵食定着率上昇』


「まずいな……」


 このままだと全員限界が来る。


 その時だった。


 ネメシスが静かに呟く。


「……苦しいでしょう?」


 優しい声。


「……だから終わらせてあげる」


 その瞬間。


 黒花眷属レギオン全体が一斉に咆哮した。


 轟音。


 さらに全個体の胸部が赤く発光する。


『危険反応』


「え?」


『自爆侵食反応です』


「嫌ぁぁぁっ!?」


 次の瞬間。


 大量爆発。


 地下空間が白黒爆炎で埋め尽くされた。


 轟音。


 衝撃波。


 床崩壊。


 灰狼メンバーが次々吹き飛ばされる。


「ぐぁっ!」


「隊長!!」


 しかも爆炎内部に侵食胞子が混ざっていた。


 吸い込んだだけで侵食が進行する。


『侵食粒子濃度危険域』


「マスクとか無いんですか!?」


『ありません』


「でしょうね!」


 その時。


 九条が歯を食いしばりながら巨大結界を展開する。


「全員こっちだ!!」


 青白い結界壁。


 だが侵食爆炎が表面を削っていく。


 結界術式が軋む。


「っ……長くは持たねぇ!」


 さらにオルディナが前進する。


 一歩。


 二歩。


 巨体が近づくだけで圧迫感が凄まじい。


 そして胸部眼球が再び発光した。


『再砲撃反応』


「連射するの!?」


 だがその瞬間。


 月白が空中へ跳んだ。


 白銀光が奔る。


「……落ちろ」


 銀閃。


 超巨大斬撃。


 次の瞬間、オルディナの片腕が切断された。


 巨腕落下。


 轟音。


 床が崩壊する。


 だが。


 切断面から黒根が溢れ出した。


 再生。


 しかも今度は腕が二本に増えていた。


「増えたぁ!?」


『適応進化確認』


「ほんと嫌な敵!」


 その時。


 ネメシスが俺を見つめる。


「……どうして、まだ戦うの?」


 悲しそうな声。


「……みんな苦しいのに」


 その瞬間。


 俺の頭へ再び映像が流れ込んできた。


 研究室。


 倒れていく研究員。


 泣き叫ぶ少女。


『助けて』


『浄化してくれ』


『怖い』


 ネメシスは、全部聞いてしまった。


 全員の苦痛を。


 全員の絶望を。


 だから壊れた。


 だから全部取り込もうとした。


 孤独を終わらせるために。


 だが。


「……それでも」


 俺はルミナブラシアを握り締める。


「無理やり繋ぐのは違う」


 白光が溢れる。


 ネメシスの瞳が揺れた。


 その瞬間。


 ルナが警告を表示する。


【中央浄化炉まで残距離】

・800m


【追加警告】

・前方に超高密度個体反応


 直後。


 地下通路そのものが裂けた。






地下通路そのものが裂けた。


 轟音。


 床崩壊。


 巨大亀裂。


 しかも亀裂内部から無数の黒花が咲き始める。


 異様だった。


 地下深部全体が生きている。


 カルネディアそのものが、巨大侵食生命体になりかけていた。


「下がれ!!」


 九条が叫ぶ。


 次の瞬間。


 亀裂内部から巨大刃が飛び出した。


 斬撃。


 轟音。


 地下空間が一直線に裂ける。


「っ!?」


 紙一重回避。


 だが風圧だけで吹き飛ばされる。


 壁へ激突。


「がっ……!」


 痛い。


 かなり痛い。


 しかも侵食粒子が傷口から入り込んでくる。


『侵食率上昇』


「最悪だ……!」


 その時。


 巨大黒花壁がゆっくり開いた。


 その中心から、新たな存在が現れる。


 女性型。


 だが巨大。


 全身を白黒装甲が覆っている。


 背中には巨大花輪。


 両腕は刃になっていた。


 しかも顔半分が侵食花弁に覆われている。


【名称】:黒輪戦姫ヴェルゼア

【種別】:ネメシス直属戦闘体

【汚染分類】:超位侵食騎士型

【汚れ度】:EX++


【特徴】

・超高速近接戦

・侵食波動斬撃

・自己再生

・精神破壊

・高位領域支配


【備考】

中央浄化炉最終防衛個体。


「またボス!?」


 ヴェルゼアが静かに剣腕を構える。


 次の瞬間。


 消えた。


「っ!?」


 速い。


 一瞬で九条の目前。


 斬撃。


 轟音。


 結界ごと吹き飛ばされた。


「ぐぁぁっ!?」


「九条さん!」


 さらにヴェルゼアは空中で回転。


 無数の侵食斬撃を放つ。


 地下空間が切り裂かれる。


 しかも斬撃軌道から黒花が咲き続けていた。


「範囲広すぎ!」


 その時。


 月白が迎撃へ出る。


 銀閃。


 白銀と黒刃が激突した。


 轟音。


 衝撃波で周囲の床が砕け散る。


 だがヴェルゼアは笑っていた。


 口元だけが、ゆっくり歪む。


「……排除」


 次の瞬間。


 彼女の背後花輪が展開する。


 無数の侵食刃が空中生成された。


『超高密度斬撃反応』


「また弾幕!?」


 さらにネメシスの歌声が響く。


「……眠って……」


 その瞬間。


 ヴェルゼアの出力が急上昇した。


 空間が黒く染まる。


 侵食領域拡大。


 そして斬撃嵐。


 轟音。


 地下空間が細切れみたいに破壊される。


 灰狼メンバーが次々負傷した。


「ぐっ!」


「速すぎる!」


 しかもヴェルゼアの動きは読めない。


 空間移動みたいな高速機動。


 一瞬で死角へ入り込む。


 その時。


 レイナが炎剣を振るう。


「止まれぇぇぇ!!」


 紅蓮爆炎。


 巨大炎柱がヴェルゼアを飲み込む。


 だが。


 炎の中から高速斬撃。


 レイナの炎が切り裂かれた。


「なっ!?」


 さらにヴェルゼアが目前へ迫る。


 剣腕振り下ろし。


 だがその瞬間。


 俺はルミナブラシアを叩き込んだ。


 白光炸裂。


 侵食斬撃が相殺される。


 轟音。


 衝撃波。


 だが押し負ける。


「重っ……!」


『相手出力、主任を上回ります』


「知ってる!」


 その時だった。


 ヴェルゼアの瞳が、一瞬だけ揺れた。


「……たすけ……」


 小さな声。


「え?」


 次の瞬間。


 黒花が顔面を覆う。


《侵入者排除》


 空気が止まる。


 つまり。


 この個体も元は人間。


 ネメシス直属戦闘体。


 だが中に意識が残っている。


 その時。


 ネメシスの声が響く。


「……壊したくない」


 悲しそうだった。


「……だから、みんな一緒になればいいのに」


 その瞬間。


 カルネディア全域が激しく脈動した。


 どくん――――!!


 警報。


 赤光。


 ルナの表示が真っ赤になる。


【超警告】


【中央浄化炉、侵食率97%到達】


【完全侵食まで残り時間】

・推定12分


「十二分!?」


 短すぎる。


 その瞬間。


 ヴェルゼアの背後で巨大花門が開いた。


 その奥。


 白黒に脈動する巨大炉心が見える。


 中央浄化炉。


 だがその表面は、ほぼ黒花に覆われていた。


『最終段階侵食確認』


 もし完全侵食されたら。


 カルネディアは終わる。


 いや。


 樹海全域が暴走する。


 その時。


 ヴェルゼアが静かに剣を構え直した。


 そして。


 中央浄化炉への最後の道が、完全に塞がれた。

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