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クロスステッチの魔女と中古ドールのお話  作者: 雨海月子
45章 クロスステッチの魔女、「家」に帰る

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1219/1229

第1219話 クロスステッチの魔女、鹿のことを調べる

 骨粉を持ち帰った後、私は家でまず氷柱鹿について本で調べることにした。お師匠様からもらった本の中に、素材に関するものもあった。それを引っ張り出して、氷柱鹿について調べる。


「……あったあった! 絵もついてる……大きそうじゃない?」


 魔物や動物の図鑑なので、氷柱鹿には絵がついていた。随分と大きな、トナカイに似た生き物が四つの足で立っている。その枝角は氷柱に似て鋭く、透き通っていると注釈がつけられていた。鹿類がそうであるように、長く生きた氷柱鹿はその氷柱が複雑に枝分かれして伸びていて、大変に危なさそうだった。とりあえず、私がもし旅の途中で出くわした場合、全力で悲鳴を上げて逃げていたと思う。《ドール》のみんなに対しても、戦わないで逃げるように言っているに違いない。皮は随分と分厚く、魔力があるから『何の用意もなく仕留めようとするのは下策。必要とする部位によって、適切な対策を取って望むこと』と書いてあった。うちの子達の今の武器と技量で、普通の牡鹿を仕留めることができるのはわかっている。だけれど、氷柱鹿になると毛並みが氷柱や霜になって飛び道具を止めたり、剣の一部が凍ったりした事例があるんだとか。


「骨粉は……うん、やっぱり糸や布を染めて魔法に使える。冷えているから、冷たいものを冷たいままにする形の《状態維持》の魔法や……もっと強い氷系の魔物素材と合わせることで、《冷凍》の魔法にもなる、と。でもこっちは無理ね」


 氷柱鹿よりも強い、氷雪狼や極寒の中に咲く霜霞の花などの名前が並んでいた。無理。採りに行けるようなものでもないし、買おうとしたらものすごく高価になるのが目に見えている。……グレイシアお姉様なら、さらっと持っている気がしているけれど。あちこちで、なんでもない顔をして魔物を仕留めているのがお姉様なのだ。


「とりあえず《状態維持》の魔法に使わせてもらって、《冷凍》の魔法にするかは……後で、お姉さまに連絡してみよう」


「買えるといいですね、マスター」


「まあ、思い付きで言っているだけだからね。もしかしたら、お姉様の方がこの粉を欲しがる可能性もあるかも」


 もしそうだったら、その時はお譲りすることも普通に考えていた。お姉様が魔物を仕留めるのは、そういう依頼を受ける時でなければ、ご自分で素材を調達するためだ。お姉様自身が氷柱鹿の骨粉で何かしようと鹿を追っていた場合、私の粉を使いたいと言われる可能性は大いにあった。

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