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天使か悪魔か  作者: まくらのおとも
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第六十三話


 冒険者ギルドを出た蓮達は、この街に来た時には閉まっていた門をくぐり、外に出た。

 そこでは既に来ていた冒険者達が慌ただしく動き回っていた。

 何か手伝える事は無いだろうかと周りを見ていた蓮に大きな影が近づいてきた。


「おう、お前さんがレンか。」


 誰だかわからず、はてなを浮かべる蓮に、ルーが腰に二本の刀を差した大男を紹介する。


「蓮、この方が鬼王会のクランマスターのゴルギオスさんです。」


 あぁ!と手のひらをぽんっと叩いた蓮は、改めて自己紹介をする。


「僕は蓮だよ!情報ありがとうね!」


「あぁ、別にかまわねぇよ。あいつらを潰してくれるなら文句はねえ。……まぁ今はそれどころじゃ無くなっちまったがな。」


 ゴルギオスは忙しなく動き回る冒険者たちに目を向けて言葉を続けた。


「聞いたところによると魔物の数は今も膨れ上がってるそうだ。既に二万は越えたと言っていた。ここに着く頃には更に増えるだろうよ。」


 ゴルギオスにルーが質問をする。


「到着はいつ頃に?」


「後三時間ってとこだな。それまでに少しでも防備を整えねぇとな。」


「僕達にも手伝える事はあるかな?」


 蓮の質問にゴルギオスは顎をさすりながら返答する。


「そうだな……。レンはどうなるかわからねぇが、お前さんらはおそらく最前線に置かれるはずだ。ここはあいつらに任せて、今のうちに英気を養っといてくれ。」


 それだけを告げて、ゴルギオスは去っていった。


「蓮、どうしますか?」


 暗に手伝える事は無いと言われた蓮はどうしようかと考える。


「うーん、慣れてない僕達が行っても邪魔になるだけなのかも。取り敢えず、邪魔にならないところで待ってようか。」


「では、そうしましょうか。」


 蓮達は邪魔をしないように門のそばにより、魔物達が姿を現すまで待機する事にした。



 二時間後、ジョセフとアリステラも外にでできており、依頼を受けた全ての冒険者が集まっていた。

 そして、騎士団を率いた領主アルバートの姿も見える。

 既に門は固く閉じられており、中に入る事は出来なくなっていた。


 集まった冒険者は総勢100人程。

 それにアルバート率いる騎士達が約30の計130人程が集まった。

 辺境の街の戦力としてはこれが限界であった。

 対する魔物はその数を増やし、ゴルギオスの言うように三万の大群勢に達しようとしていた。


 アルバートと防衛についての打ち合わせをしていたジョセフが蓮達の方に近寄ってきた。


「天魔の双翼には最前線で戦ってもらう事になった。本来Cランクのお前達に頼める事じゃ無いんだが、そう言ってられない。すまんが、よろしく頼む。」


「うん、僕達もそのつもりで来たからね。大丈夫だよ。」


「あー、レンは後方部隊として援護にまわってもらう。前線に立つのは他のメンバーだ。」


 ジョセフの言葉にルーが渋い顔を浮かべる。


「蓮以外全員ですか?」


「あぁ、すまねえが全員出てくれ。護衛を残しておけるほど余裕がねえんだ。」


 再び口を開こうとするルーに、蓮が口を挟む。


「ルー、僕はいいからみんなで行ってきて。何となく、こうなるんじゃ無いかと思ってたしね。……ジョーおじちゃん、僕はどこに行けばいいのかな?」


「蓮は回復魔法が使えると聞いてる。あっちの救護テントで負傷者の治療に当たってくれ。」


 ジョセフが指さした先にはテントが設置されており、様々な薬品や包帯などが運び込まれていた。


「回復魔法が使えるやつは貴重なんだ。それもあって、レンにはここに残ってもらいたい。」


 ジョセフの言葉に決意を持った目で頷いた蓮は、まだ何か言いたそうにしているルーに向き直る。


「ルー、僕は僕のできる事をやるよ。だから、皆んなは僕にできない事お願いするね。」


「……わかりました。くれぐれも注意してください。」


 ルーを説得した蓮は、一番心配なレイヴィアに話しかける。


「レイヴィアも、お願いね?」


「む?私も父の側を離れるのか?」


「うん、今はそうしないといけないんだ。わかってくれる?」


 レイヴィアは腕を組み、むむむっと唸る。


「……レイヴィア、これは僕からのお願い。皆んなと一緒に、魔物を倒してきて。」


「……父の頼みなら仕方がない。さっさと殲滅してくるとしよう。」


 ルー達が納得してくれた事にホッと胸を撫で下ろしたジョセフは再び口を開いた。


「天魔の双翼には一番魔物が多いと予想される中央部分を担当してもらう。俺と婆さんも一緒だ。左側は鬼王会と領主様達が、右側は月夜の旅人(ナイトウォーカー)が中心となって対処する予定だ。戦闘が始まったら臨機応変に動いてくれ。細かい指示を出す余裕はねぇだろうからな。」


 頼んだぞと言い残し、ジョセフはアルバートのもとに戻っていった。


「じゃあ僕もテントに行くよ。皆んな、気を付けてね。」


 そう言って蓮はテントへと向かっていった。


「さて、私達も行きましょうか。」


「だな。さっさとおわらせちまおうぜ。」


「うむ。早く父の側に戻りたいからな。」


「蓮様。どうか無理をなさらぬように。」


 蓮を見送ったルー達も、持ち場に向かって歩き出す。

 天魔の双翼としての初陣が今始まろうとしていた。



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