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天使か悪魔か  作者: まくらのおとも
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第四十二話


 翌朝、目覚めた蓮はアリステラが用意していた朝食に舌鼓を打ち、早速街へ向かう為の準備を行うこととなった。


「まずは簡単な所から始めるかの。レンや、この魔道具に手を翳して少し魔力を流してみなされ。」


 アリステラが取り出したのは何やら文字の書かれた石版だった。


「この魔道具は従魔にその証明となる紋様を刻む物じゃよ。」


 蓮はアリステラの言葉に従い石版の上に右手を置き、魔力を流す。

 すると石版の文字が発光し、その上に置いた蓮の右手の甲に紋様が浮かび上がる。

 それは一対の翼。

 一方はルー、もう一方はレイヴィアの龍化時の翼に酷似していた。


「わぁ……。」


「成功じゃな。今度はその手で従魔に触れて、もう一度魔力を流してみなされ。」


 蓮はアシュラに近づくと、アシュラに少し持ち上げてもらい、左胸に手を当て魔力を流す。

 するとそこに蓮と同じ紋様が刻み込まれた。


「うむ、それで良い。これでレンの従魔であるという証明になるのじゃ。少し時間が経てば一度消えるが、魔力を流せば再び浮かび上がる。証明が必要な時はそれを見せれば良い。」


 蓮はクロの中央の頭部の額にも同じように紋様を刻んだ。


「これでお主らのやるべき事は終いじゃ。後は自由にやっておれ。さて、次は魔人の二人じゃな。お主らには隠蔽の魔道具を作ってもらう。」


 ナクタはめんどくさそうに溜息を吐く。


「なぁ婆さん。魔道具なんざ無くても魔力の隠蔽ぐらい出来るぞ。」


「うむ。お主の言いたい事は分かる。確かにお主らの隠蔽の練度はかなりの物じゃ。しかしそれは量を隠すだけ。漏れ出る魔の気配が消せておらん。その為の魔道具を作るんじゃよ。」


 メデュアはそれを聞いて素直に頷いたが、ナクタは相変わらずめんどくさそうにしている。


「はぁ……。魔人とばれて困るのはお主だけじゃないのじゃぞ。人と共に生活する魔人は奴隷だけ。奴隷の首輪も付けず魔人と共にいるなどと知られれば、レンも狙われることになるのじゃ。」


 ようやく必要性が理解できたナクタは、チッと舌打ちをしつつもそれ以上何かを言う事はなかった。


「魔の気配の隠蔽にはお主らの魔力が必要じゃ。専用の魔道具を作る必要があるからの。魔道具はワシが作るから、必要な時に手を貸してくれたら良いだけじゃよ。」


 ナクタは必要な時に呼んでくれといい、メデュアは一緒に作る許可を得た。

 話がまとまった所でアリステラはレイヴィアに目を向ける。

 アリステラの目にはレイヴィアが撒き散らす膨大な魔力が視えていた。


「お主は魔力を抑える事ができんのか?」


「私か?ふむ、考えたこともなかったな。」


「戦時でも無いのに、そんなに魔力を撒き散らせておれば嫌でも警戒させてしまう。それに常に居場所を知らせる事になるのじゃぞ。ワシがお主らの存在に気付いたのもその魔力のおかげじゃしな。街に入るにはどうにかする必要があるのじゃ。」


「ふむ、成程?」


 首を傾げるレイヴィアに、理解していないなと感じたアリステラはため息をつく。


「……まぁ良い。とにかく魔力を抑える練習をするかの。」


 早速魔力の抑制の為の訓練に取り掛かった。

 アリステラは丁寧に魔力の抑え方を説明するが、レイヴィアは首を傾げるばかりでなかなか上手くいかない。

 後回しにする事に決めたアリステラは、魔道具の作成に取り掛かる事にし、メデュアを連れて家の中へと入っていった。


「さて、お主らの隠蔽の魔道具じゃが、作り方自体は魔力隠蔽の物とそう変わらん。ただ必要な素材が多々珍しい物であるのと、お主らの魔力を馴染ませるのに時間が掛かるぐらいじゃ。」


「珍しい素材ですか……。」


「あぁ、素材の心配は必要ない。二人分くらいは手持ちがあるからの。」


 メデュアはそう言って奥の部屋へと入っていくアリステラの後に続いた。

 そこにはざまざまな植物や魔物の素材が並んでおり、ビーカーやフラスコのようなものが並ぶ机も置かれていた。

 興味深そうにそれらを眺めるメデュアに、アリステラは声を掛ける。


「これから使う素材はこっちじゃよ。」


 アリステラはそう言って杖で地面を突く。

 すると床が左右に分かれ、地下へと続く階段が現れた。


「地下、ですか。」


「そうじゃ。こんな場所まで来る物好きはそう居らんがの。念の為というやつじゃ。」


 二人は階段を降り、地下室へと入った。

 雑多に置かれた様々な物の中からアリステラは迷う事なく必要な素材を集めていく。

 勝手に触らない方が良いだろうと判断したメデュアは部屋の中を見回した。

 中には故郷の島で見たような魔物の素材も混ざっている。

 そんな中、メデュアはある物に目を止めた。


「アリステラ様。あちらの剣や鎧は何でしょうか?」


「む?あれか。あれは呪具じゃよ。」


 メデュアの頭に浮かんだのはエウラの姿。


「隷属の首輪のような物ですか?」


「そうさな。そこにあるのはそれよりももっと強力な物じゃが。決して触るでないぞ。それは使用者を死に至らしめる類の強力な呪具じゃからの。……ほれ、必要な素材はこれで全部じゃ。上に戻るぞ。」


 素材を集め終えた二人は階段を登り地上へ戻り、早速魔道具の作成に取り掛かった。



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