8 採用試験の最終面接官に任命されました
「しかし、それは……、もしも戦いになったら……と考えると、恐ろしい能力ですね」
私とヴィネ様が軽口を叩いている横で、セパルはそのことに気付いたらしい。
仲間内であったら問題はない。
しかし、この能力を敵に対して使ったら、どうなるか。
セパルは皆まで言わず、言葉を呑み込んだ。
その顔色は青ざめている。
「とりあえず、私の今の発言は忘れて下さい。HPとやらの話は置いておくとして、体力や知性の数値がわかるということは、その者が何を得意としているか、客観的にはかることができるのですか?」
「そういうことになります。ただ、もしかしたら、そのステータスは、本人の努力次第で伸ばすことができるかもしれません。ですから、あくまでも現時点での能力ということではありますが」
「では、魔法が使えないのに、使えると嘘をついて魔術師になろうとしたとしても、その……“MP”というものがないということから、それは無理だということがそなたにはわかるのだな」
「はい」
私はヴィネ様の問いに頷いた。
「なら、そなたが採用試験の最終面接で、面接官役を務めるがよい。そこで、客観的にもっともふさわしい者を採用すればいいだろう。もちろん、それまでの試験の結果も加味した上でな。そこまでの面接で本人からヒアリングしたことは、今後、ステータスが変化するかもしれない本人の伸びしろとして考えればよい」
こうして、ヴィネ様の鶴の一声で、私が最終面接官役を務めることが決まったのである。
なぜかはわからないけれども、前世の記憶と共に授かったこの能力。その恩恵を、採用試験の最終面接で私はフルに活用させてもらうことにした。
(前世では、何百社と採用試験を受けて、箸にも棒にもかからなかった私が、最終面接官とはね。皮肉なものだわ。できれば、前世で感じた、あの、どうしようもない敗北感や絶望感は、この国の皆に味わって欲しくないわね。
自分の才能を活かして、『どこかで必要とされている自分』を感じながら、生きていってもらいたい……。この世界の普通の人たちは、毎日を生きていくのに精一杯。前世では『生きる目的』を見失っていた私だから、そんな『生きるために生きる』ことしかできない虚しさは痛いほど理解できるわ。
でも、『何のために生きているのかわからない』なんて、思わずに人生を謳歌してもらいたい。そのために、どんどん雇用を増やせるような、豊かな国にしていかないとね)
最終面接で、確認したステータスはすべて記録して残しておく。
今後、部署異動を行う際にも、活用するためだ。
もちろん、本人の希望や特技もステータスと一緒に保管しておく。
これから、何度も採用試験を重ねていくことで、国には、人材のデータバンクがどんどんと充実していくことになる。
前世のように、データベースソフトがないのですべて手作業での検索になるため、労力は要するが、情報が集積されることで、今後の人材異動が少しずつスムーズになっていくだろう。
いずれは、ハローワークのような窓口を開いて、国民の相談に乗れるようになっていければと思っている。
と同時に、たとえば、「魔法を使って金脈を探すことができる」といった能力を持つ人材がをいれば、高額な給与を払ってでも、ヘッドハントしていけるとよいのではないか、とも思う。
国が豊かになることに対して貢献できそうな能力を持っている人物がいたとしても、現在の制度下では市井に埋もれている可能性がある。そのような人物を積極的に採用していくことで、国は次第に豊かになっていくことだろう。
もちろん、本人の希望に添うことが第一ではある。しかし、高い能力を持つ者に対しては、それに見合った給与や地位、身分などを与えることで、Win-Winの関係を築きつつ、国を発展させることに寄与してもらうことができるのではないかと思っている。
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