6 ヴィネ様やセパルと共に採用試験の準備です。「私、ステータス画面見えるんです」
それから、約十日かけ、私とセパル、セパルの部下である官吏たちは手分けして、現在の部署ごとの人員の過不足を確認し、雇用が必要な人数について急ぎ割り出した。
「生まれや身分、種族や性別に関わらず、誰でも好きな職に就いてもよいこととする。近いうちに、今回、公募する職についての発表を行い、採用試験の詳細についても公示する」
という、「おふれ」自体は、セパルの荘園を訪れた翌日には、国中に告示してあった。
とはいえ、国家財政が潤沢な大国ではないのだから、財源も確保できていない状態で無計画に雇用を増やすわけにはいかない。
そのために、まず雇用できる人数を把握する必要があったのだ。
それと同時に、採用試験の詳細や当日の段取りを決める。試験会場の準備については、城中の者たちで手分けして行った。
そして、セパルの荘園視察から一ヶ月後の今日、いよいよ、第一回採用試験を実施できる運びとなったのである。
試験は、それぞれの職務に必要な実技試験のほか、面接が行われる。
面接では、試験でアピールしきれなかった、「得意なこと」を存分に語り、披露してもらう時間にする予定だ。
一次面接は、小姓の応募であれば現役の小姓が、侍女の応募であれば現役の侍女が担当する。しかし、最終面接では、私が必ず応募者と面談をすることになっている。
もちろん、応募者のステータス画面を確認するためだ。
本人の申告やそこまでの試験の結果を疑いたくはないが、もしかすると虚偽の申告や不正をして、試験を突破しようとする者がいないとも限らない。
また、本人の希望職種と、適性が大幅にずれている可能性がある。そういった人材に対して、ミスマッチを防ぐ最後の砦として働くためだ。
本人の適性は、ある程度、ステータス画面で確認することができる。
たとえば、平均を大幅に上回る体力や敏捷さを持っているにも関わらず、兵ではなく侍女や官吏を希望したとしたら、それはやはりミスマッチとなってしまい本人にも周りにとっても不幸なこととなる。
また、現在は庶民に対して教育らしい教育がほとんど行われていないため、読み書きができる者は限られている。魔法が使える者も少数派だ。
「好きな職に就いてもよいこととする」
とは言ったものの、そういったことに長けた貴重な人材を取りこぼすのは、本人にとっても国にとっても大きな損失だ。
やはりある程度、適材適所に人材を雇用した方が、本人にとっても幸せなことであると考えてのことだ。
本人の希望も最大限に考慮しつつ、適性のある職種もすすめていく予定である。
この最終面接を取り入れるにあたり、私は、ステータス画面が見えることをヴィネ様とセパルに告白した。
当たり前だが、二人にはたいそう驚かれてしまった。
「その、“ステータス画面”……というのは、いったい何のことなのだ? 我々には想像もつかぬ前世の記憶に続き、そなたは、また理解の範疇を超える突飛な話を始めたな」
私は、ヴィネ様に簡単にステータス画面についての説明をする。
「その者の状態を数値化したものが私には見えるのです。たとえば、陛下は力が20、体力は19。セパル様は力が18、体力が17と、陛下の方が力や体力は上回っていらっしゃいます。しかし、一方で知性においては、セパル様が19、陛下が17と、セパル様の方が上回っておいでです」
「確かに……、それはそうであろう。私よりも知性が上回っているからこそ、宰相職を任せているのだ。そのようなことは、誰にでもわかる。知性が低い者を宰相職に任じる君主などおらぬからな。それだけでは証明にならぬ。そなたが当てずっぽうで数値を言ったかもしれないではないか」
確かにその通りだ。
他に、何か私が見えているものが真実だと証明できるものはないだろうか。
ヴィネ様のステータス画面を眺めながら私はしばし思案する。
どう説明したら、信じてもらえるだろうか。
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