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【第一部完結】魔女として断罪された悪役令嬢は婚約破棄されたので魔王の妃として溺愛されることを目指します  作者: 中臣悠月
第三章 内政チートで魔王の国を改革! 魔王からの好感度アップを目指します

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27 まずは皮を剥き、芽を取るのです 2 ヴィネ様の意外な一面

 最初は手に取ることする躊躇っていた民たちだが、ヴィネ様が平気で触れているのを見て、覚悟を決めたようだ。

 それに、君主に下働きのようなことをさせて、自分たちがぼーっと突っ立っているというのも、さすがにいたたまれなくなったのであろう。

 ありがたい。

 すべてヴィネ様のおかげである。


「では、どなたか手の空いている方、剥いたジャガイモを入れる容器を持って来ていただけませんか? それと、火を起こし、鍋に油を入れて、熱していただきたいのです」


 私の問いかけに、今度は、近くにいた女性が


「はい」


 とすぐさま返事をしたかと思うと、近くの納屋の方へと走って向かって行った。


 私たちは、その間、必死にジャガイモの皮剥きと芽を取る作業に没頭する。


「ん? エレイン、そなた、頭の回転は早いのに、手先は不器用なのだな」


 ヴィネ様が私の手元を覗き込み、笑う。

 ヴィネ様やセパルが、もう10個は皮を剥き終えているところ、私はまだようやく1個だ。


「前世では、ピーラーに頼りきりだったもので……」


 恥ずかしさから、語尾が消え入りそうになってしまう。


「なるほどな、そなたも苦手なことがあるからこそ、便利な道具を提案できるわけだな。苦手なことも、役立つことがあるものよ」


 ヴィネ様は、楽しそうに、屈託のない笑みを浮かべた。


「私は初めてこの皮剥きとやらをしたが……」

「え、初めてなのですか?」


 あまりの手際の良さに、てっきり経験があるのかと思っていた。


「それにしてはお上手でいらっしゃいますね」


 セパルも、周囲の民たちも、「うんうん」と頷く。


「まあ、刃物は使い慣れておるからな。野菜の皮を剥くというのも、なかなか楽しいものだな。昔、城でパーティーが行われるということで、城中の者たちが準備に大わらわだったことがある。そんなに忙しいなら、私も野菜の皮剥きでも手伝うかと声を掛けたら、ベルクにえらい剣幕で怒られたぞ」

「それは、そうでございましょう。私もその場にいたらきっと怒っていたかと思います」

「セパルも怒ったか? そうか。……あれは、確か……私の即位式の後の披露パーティーの準備だったか」


 私もセパルも、耐えきれなくなって思わず吹き出してしまう。


「どこの世界に、自分の即位式のパーティーの下準備をする王様がいるというのですか」

「ここにいるぞ、エレイン。まあ、結局、実現はしなかったがな。今日は、そなたのおかげで、野菜の皮剥きという新たな経験をさせてもらえたぞ」


 そう言って、豪快に笑う。

 庶民的な一面を持つヴィネ様の笑顔に、もう何度目かわからないけれど、私はハートのど真ん中を射抜かれてしまった。


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