6 まずは台所から改革しましょう! 便利な道具を提案してみます 2
私は、この世界での食事と、前世での食事とを比較しながら、気になったところ、改善できるところはないかと、引き続き思案してみる。
「あ……!」
「他に何かありますか?」
前々から気になっていたことはあった。この世界には、フォークがないのだ。
料理は、ナイフで切り分けた後に、手で摘まんで食べるのである。
肉や魚の脂で手が汚れてしまうから、テーブルには必ず指先を洗うボウルが置かれている。ボウルの中の水には、ハーブが浮かべられるなど細かな配慮がされているのはわかるのだが、フォークという便利グッズを知っている身にとっては、不便極まりない。
前世で、箸やフォークで食べる生活に慣れていたことを思い出してからは、ずっと不便さを感じていた。
おにぎりやハンバーガーならともかく、脂ぎった肉や魚を手づかみで食べなければならないというのは、手がベトベトになって、非常に気持ちが悪いのである。
しかも、火傷の恐れがあるため、熱々のものは当然、手づかみでは食べることができない。
「料理を作る段階ではなく、食べる時なのですが……フォークという道具があると、女性も手の汚れを気にせず、食べやすいのではないかと思います」
「フォーク……ですか?」
私は、先ほどのピーラーと同様に、床に絵を描いて説明をしてみせた。
「なるほど、このフォークというものに食べ物を刺して口に運ぶのですか。確かに、これなら手が汚れずにすみますね」
もしくは、手づかみでも手が汚れないように、サンドイッチになっていればいいのではないか。
この世界では、取り皿の代わりに、トランショワールという硬いパンを使う。
焼いてから一週間ほど放置した、硬いパンだ。
皿として使用し、肉汁が染みこんだトランショワールは、貧しい人や家畜、飼い犬に恵んでやるのが習わしとなっている。
しかし、肉汁が染みたパンというのは、あれはあれで美味しいものである。
私は、前世で食べたハンバーガーのバンズを思い出す。
食べ方の配分を間違えて、中に挟んだパテを先に食べ切ってしまっても、肉汁の染みたバンズは、単独でも十分に美味しかった。
ハンバーガーやサンドイッチを、この世界でも食べることはできないだろうか?
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