2 メイヴと萌えを共有します
私は、旅の道中、聖カトミアル王国の辺境で会った、ダークエルフと人間のハーフだという女性、カーラのことを思い出していた。
聖カトミアル王国では、エルフや獣人たちは虐げられ、生活に困窮しているように見えた。
聖カトミアル王国の城内では、たとえ侍女や小姓であっても、人間以外の種族が働いているのを見たことがない。おそらく、私たち貴族の目につかないところで下働きをさせられているか、ダークエルフの彼女のようにジプシーや路上生活者としての暮らしを余儀なくされているのだろう。
そんな、聖カトミアル王国内での日常と、この城の中での風景は、あまりにもかけ離れていた。
「この城で、さまざまな種族の者たちが働けているのは、すべて陛下の温情の賜物なのです。私たちは、働き口が限られていますから。そもそも、アヴァロニア王国以外の国では、私たちのような存在は差別の対象になりますし、国内でも、中には偏見の目で見る方はいらっしゃいますので。陛下は、あぶれ者を率先して雇ってくださっているのです」
「なんと、それは……素晴らしいわ! そんな理由があったの? ヴィネ陛下は本当に、聖人君子のようなお方なのね。国民に、自ら手本を見せているのね」
(ああ、やばい、私の中でのヴィネ様への愛が、さらに溢れてしまう! マジで尊いんですけど! 何それ、仏? いや、この世界に仏は存在しないんだけれども……、仏教がないからね。
っていうか、私の推し、全然そんなキャラに見えないけど、『三國志』で言ったら、民に慕われる劉備って役どころなの? ああ、もちろん、演義の方の劉備ね、正史じゃなくてね。
しかし、どっちかって言うと、曹操か、第六天魔王・信長かって感じのイメージなのよねぇ……雰囲気は、ね。
だけど残忍なところはまったくなくて、ただただカッコよくて優しいとか……、お手本のような正統派ヒーローか!?
ふつう、乙女ゲームだったら、正ヒーローとして設定されるべきキャラが、なんでラスボス設定なのよ!)
脳内で一人、オタク的な萌えや妄想を暴走させていると、目の前でメイヴが頷いている。
「ええ、ええ、そうなんです! 本当に陛下は民思いで、素敵な方でいらっしゃいます! 他国からいらしたエレイン様に、わかっていただけるとは、嬉しいことでございます!」
メイヴも同様に、ヴィネ陛下を敬愛しているようで、目をキラキラさせながら、首を激しく縦に振っていた。
(メイヴもヴィネ様推しなのね。大丈夫、別に私は同担拒否じゃないから。一緒にヴィネ様を愛でていきましょう!)
「そうね。メイヴ。私もヴィネ陛下が推しで……いや、応援……いえ、尊敬し、お慕い申し上げておりますわ。これからも、陛下のことや、この国のことをいろいろと教えてちょうだいね」
そう言って、メイヴの両手を握ると、彼女は満面の笑みを浮かべて、頷き続けた。
「はい、私にできることならなんでも、お手伝いさせていただきます、エレイン様」
彼女とは、うまくやっていけそうだ。
お気軽に評価やご感想をいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。





