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ザ・ホワイトノイズ  作者: 藍染 迅


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2/7

直径12インチの螺旋

「うーん。何か足りないなあ」

 チューナーを弄り続けていたヒロシは、手を止めて胡坐をかいた。

「あれかな。スパイスみたいなもの。ちょっとした色気が欲しいのかな」

 部屋を見回したヒロシの目に、父親のレコードコレクションが映った。

「ノイズもレコードの味だっていってたな、親父のやつ」

 ターンテーブルに針を落とす瞬間がたまらんと、目を輝かせていた。

「マニアの考えることはわかりませんて」

 そういいながら立ち上がり、ヒロシはキャビネットのガラス扉を開ける。

「これか。よく聞いてたよなあ、あの人」

 右端の一枚。ジャケットの背が擦り切れかけたLP。80年代ロックのアルバムだ。

「敬意を表してこいつを使ってみますか」

 プレーヤーのターンテーブルに12インチの円盤を載せる。33.3回転で円盤が回転し始める。

「お。うねうねしてるね。いいんじゃない? アナログちっくで」

 ディスクのわずかな歪みが回転することにより強調される。針は波乗りのように盤面を滑るのだ。

「針を落としますよ、と」

 口では落とすと言いながら、そっと指を下ろして円盤に針を載せる。

「プツッ」

 泡が弾けるような音。音楽が始まるまでの短い時間、泡立つようなノイズがぷつぷつと流れる。

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