予言が君を殺すまで・8
しばらく見つめあいながら驚きで声が出ない二人。
最初に声を出したのは雫であった。
「…本当に、未来のニュースが載ってるっぽいね」
スマホを指さしながら、少しだけ声を震わせる。
その雫の言葉に頷きはするものの、声は出さずにまた何か考え込む颯真。
"信じらんねぇ、本当に地震がくるなんて…"
箸を持ったままの右手を自身の頭に持っていき、髪を掴みながら頭を抱える颯真。
"たまたまかもしれない。…でもそれなら全部たまたまなのか?
政治家の裏金も、芸能人夫婦の不倫だって、、、そんなにたまたまが続くのか?"
普通では起こりえないことが起きていて信じられないが、
考えれば考えるほど例のアプリが《未来のニュースが載っているアプリ》としか考えられない。
しかし、それがなかなか素直に受け入れられない颯真。
そんな颯真を見ていた雫は、最初こそ驚き、混乱していたが、
考え込む颯真のいつも通りの姿を見ていたら、だんだんと冷静を取り戻しはじめた。
冷静になった雫は、「あっ」と声を上げて、スマホを手に取った。
"さっきつぶやいたやつ、さすがに注目されるでしょ"
先程つぶやいた地震についての予言、それが気になったのだ。
反応がたくさん来ているのではないかとちょっとだけワクワクつつ、
アカウントを開いた雫であったが、画面に映されたのは
相変わらず誰からの反応も来ていない静かなアカウントであった。
「…つまんねぇの」
小さなため息とともにぼそっと呟いた雫。
その言葉が耳に入ってきた颯真は、自分がまたいろいろ考えて黙り込んでしまっていることに対しての言葉だと思い慌てる。
「わりぃ、、、あまりにも信じがたいことが起きたから
頭ン中こんがらがっちまって…」
颯真の言葉にポカンとしてから、首を振る雫
「ちがうよ、颯真のことじゃなくて。ほら、見て」
予言者のアカウントが映った画面を颯真に向ける
「予言してさ、当たったじゃん?
だからさすがに大盛り上がりしてるかなって思ったら、これ。
だーれからも反応来てない」
雫のその言葉にさすがの颯真でも怪訝そうな表情をする。
「お前、こんなときでも予言のアカウントかよ。」
普通だったら未来のニュースが書いてある例のアプリのことを考えるとか、
地震のことをきにするだとかするはずなのに。
「現代っ子はSNS最優先だからね」
颯真の眉間に寄った皺に自分の人差し指を当てぐりぐりしながら
へらへらと笑う雫。
「現代っ子、、、ね。」
"俺も現代っ子だけどな"という言葉は飲み込んだ颯真は、
眉間に伸びた雫の人差し指を優しく握ってぐりぐりしないよう制止する。
「とりあえずさ、俺はアプリのこと気になるから色々調べたいんだけど。」
「いいよ、好きにスマホ使って。」
ようやく颯真の眉間から指を離した雫はスマホを手に取り、
思ったように伸びない自分のつぶやきが映された画面を見て、
むすっと拗ねたような表情をしながら颯真に手渡した。
「そんな顔すんなって。
雫も一緒に調べるか?アプリのこと気になりはするだろ」
今度は颯真が雫の拗ねた顔を見て、ふっと笑いながら雫の鼻を軽く摘まむ。
「ん~、気になるけどなんかこわいじゃん?
だから颯真が調べてるの横で見とくよ。」
「ホラー映画一緒に見るわけじゃねぇんだから、横にいるなら一緒に調べろよ」
「まぁまぁ…。ほらっ、ご飯食べよ」
雫は颯真の手を両手で握って自分の鼻から離しつつ、
先ほどから全然減っていない食卓の上の夕飯を指さした。
それはそうかと雫の言葉に頷いた颯真は雫とともに、食事を再開した。




