予言が君を殺すまで・6
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翌日、雫はさっそくSNSのアカウントを動かしてみた。
〝はじめまして、私は予言者です〟
まずはこの一文だけ朝につぶやいておいた。
きっと予言者という言葉だけで少人数でもひとが寄ってくるだろうと雫は考えていた。
しかし、そんな簡単に人が寄ってくるわけでもなく…。
"あれ?全然フォロワー増えてないな…"
午後、大学の講義が終わり、"人に予言者ということを隠したほうが格好良くない?"と考えた雫は、
構内の人気のないところに足を運び、周りを気にしつつSNSのアカウントを開いた。
雫の頭の中では、20人くらいのフォロワーがついている予定だったそのアカウントに表示された
フォロワーの数は、朝と変わらず0のままであった。
"てか、フォロワーどころかこのつぶやき見ている人すらほとんどいないじゃん"
つぶやきを閲覧してくれたり反応をくれた人の数がみれるアナリティクスを表示させると、
閲覧人数が12人でいいねをくれたのはたったの1人だけであった。
"なんだか出鼻をくじかれた気分だな~…"
昨日、本当は颯真が自分を止めようとしている雰囲気は感じ取っていた雫。
颯真は自分に甘いことにも気づいている雫は、どうすれば颯真が自分に絆されて、
「仕方ないな~」といいながら雫のやりたいことを結局させてくれるようになるのかをすべてわかっていた。
案の定、雫は少し強く自分の意見を押し通し、そのあと少ししおらしく颯真の意見への理解を示せば
颯真はそれ以上止めてくることはなかった。
ただ、雫はどうしても予言者がしたいというわけではなかった。
ほんの少しなんでもいいから人にすごいとちやほやされたい。
そんな呆然とした夢を予言者になれば果たせるのではないか、と
未来のニュースが載っているかもと颯真と会話しているときにふと考えたのだ。
そんなしょうもない理由であるのに、颯真の静止を振り切った形になったことは
雫も少し罪悪感のようなものを感じていた。
そんな中、肩を回しながらはじめたSNSの初めてのつぶやきが
雫の予想と違って全然注目されておらず、雫のやる気は急になくなっていった。
"もうやめちゃおうかな~"
そう思いながら、例のアプリを開いてみる。
相変わらずいろんな未来の日付のニュースの記事が載っている。
特定のニュースを読むわけでもなく適当に画面をスクロールしながら、
昨日の颯真との会話を思い出していた雫。
"あんなに心配そうな顔してたしな、颯真"
「予言者になれる」と雫が言い出した時、最初は珍しく言葉強く雫をとめるべく説得をしようとした颯真を思い出す。
(それにこのアプリが携帯に突然出てきたのはお前だけじゃないかもしれないだろ。)
昨日颯真が言っていた言葉を思い出した雫。
"そういえば、このアプリ他の人も現れてたら誰かつぶやいたりしてるはずだよな…"
このアプリが複数人に表示されていたら、誰かしらつぶやいているはずだし、
自分のように予言者になろうと考えるやつがいるだろうと考えた雫は、
さっそくSNSの検索欄を使って該当のつぶやきがないか検索をした。
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"…出てこないな"
そこそこの時間を使って雫に出てきた未来ニュースアプリと同様のものが表示されたというような
つぶやきを隅々まで探したが、出てこなかった。
その次に突然予言者になるなどと言い出したアカウントや、
予言者という名前の新しいアカウントがあるか探したが、明らかなおふざけアカウントが一件見つかっただけで、
未来ニュースアプリのような信憑性がありそうな予言をしているアカウントは見つからなかった。
"俺にしか表示されてないのかな…"
もしそうであれば、
世の中に人間は数えきれない数いるのに、なぜ自分にだけに表示されたんだろうか。
そう考え始めて、初めて、雫はなんともいえない恐怖を少しだけ感じた。




