王都脱出編―平穏な日常と終わりの使者③
そんなことがありエリザベータは兵舎に向かう。
アルバート邸には兵舎が四つあり、――――第〇兵舎が先月爆散したので一個無くなりました、が――――本邸を挟んで左右に二つづつ第一第三、第二第四兵舎があり、それぞれ実力により振り分け、稽古をしているらしい。らしいと言ったのはエリザは兵士の事を軍曹とレインハルトに一任してるのであまり詳しくないからだ。
ちなみに兵士の数は合わせて320人ほど。第四兵舎には100人、第三兵舎には90人、第二兵舎に80人、第一兵舎に60人ほどが住んでいる。
ここまで一通りのことをレインハルトから聞いたエリザはフト一抹の不安を覚えた。全権を任せている訳だし、素人考えで口を出すべきでは無いと思ったが・・・
「ねえ、レインハルト。」
「何でしょうか?」
「その振り分け、兵士の中から不満とか上がって無いわけ?特権的な扱いは差別や反感を助長するって昔聞いたことがあるんだけど・・・。」
もちろん病室でテレビを見たり、小説を読んだりして聞きかじった知識・・・。勉学を収めたとか、集団心理に長けてるとかそんなことは無い。
レインハルトは成る程っと頷く。
「クク、やはりエリザベータ様は優しくいらっしゃる。」
「ん~--、なんかものすごーく馬鹿にされてるみたいなんだけど・・・。」
「惜しみない褒め言葉ですよ。・・・ですが、問題は無いでしょう。」
はっきりと言い切るレインハルトにエリザはほっと息を吐いた。こう言うところは本当に頼りになる。
しかし、レインハルトの言葉はそこでは終わらなかった。
「仮に問題があったとしても問題ありません。」
「え?・・・」
「私から言わせれば第一軍も第四軍もゾウリムシとゲンゴロムシのような物ですから。」
「・・・その二つ、名前似てるだけで結構違うと思うんだけど・・・。」
「いえ、顔が似てるとかでは無くてですね、両者とも私が片手で捻れる程度の未熟者と言うことです。もし身の程を弁えず下らないことをするのであれば、私がその腐ったプライドごと捻り潰してまいりましょう。」
本当に頼りになりすぎる男である。
「お手柔らかにしてあげてね。」
「善処します。」




