王都脱出編―平穏な日常と終わりの使者②
時刻は〇八三〇。レインハルトが運んできた朝食を取る。ベッドに座りながら、そのすぐ横にあるテーブルに乗せられたフレンチトーストを一齧り。続いてコーヒー牛乳を一飲み。本格サラダを一口。
「ふふ、相変わらずプロ並みだわ。」
『うむ、なかなかだな。』
私の隣ではスライムもまた同じように食事をとっていた。本来スライムに食事などは必要ない。どころか呼吸、排泄、睡眠、発汗、・・・あらゆる生理機能が存在しないのだ。しないはずなのだ・・・。
「美味しいの?」
『ああ。』
二人は短く言葉を交わす。エリザは美味しそうにフレンチトーストを食べるスライムを見て、毎日のように思うのだ。・・・このスライムは一体何なのだと。
見ての通り食事をとる。それも心底幸せそうに・・・。排泄は知らんが、夜はベッドでぐっすり眠る。本も読むし、言葉も話す。
まあ、可愛いから別にいいんだけど。
『ところで主(仮)よ?これからどうするんだ?一人で暇をつぶすなら書物庫がお勧めだぞ。』
「いや、聞いてないから・・・。それに今日くらい勉強とは無縁でいたいわ。」
『クク、我にもそんな時期があったな。』
「その言葉、何目線のつもりなの・・・。」
『無論、アフロゼウス目線だ。』
ドヤ~とするスライム。時々本気でお主が分らんよ。
アフロゼウスはともかくとして、いざ暇になるとやりたい事って思いつかないものだ。PCや携帯でもあればいくらでも時間を潰せるのだが・・・。
う~ん・・・
「エリザベータ様。」
その時、突然レインハルトから声を掛けられる。エリザは思考をいったん止め、前を見やった。
「何?」
「いえ、もし暇なら兵士の訓練の見学に来られてはいかがですか、と思いまして?」
兵士の訓練か・・・そう言えば行ったことが無かった。
「うん!それは、面白そうね。」




