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王都脱出編―幕開け②

  侯爵が座ったのを確認しエリザベータも席に座る。

 「ミランダ、紅茶の用意を。あ、珈琲の方が好かったですか?」

 「いや、紅茶で構わないよ。」

 「そうですか、それじゃあミランダ頼むわ。」

 「畏まりました。」

 決まり切った定型をそつなく終え、談笑すること数分。紅茶が運ばれる。白に金色の装飾が施されたティーカップが二人の前に置かれ、ミランダは恭しく礼をした。

 「良い香りだ。この紅茶は・・・」

 「北方の国から輸入したプリンス・オブ・ヴェールズと言う紅茶ですわ。」

 「ほう、あの有名な。」

 「侯爵・・・叔父様を驚かせれたのなら買い付けた甲斐があったと言うものです。」

 エリザは談笑を勧めながら、ミランダに退出を合図。ミランダは一言置き、礼をし、部屋から出て行った。エリザは緊張を解すため、ティーカップを口に運び、軽く唇を濡らした。

 「それでは叔父様、いきなりですけど本題に入らせていただきます。」

 「ああ――――――」

 グレンフォード侯爵も分かっていたのか、驚いた様子もなく、軽くうなずき。

 「話させてもらおう、君の父親の死について――――――」

 そう切り出した。



 ゴクリっと喉が震える。

 脈拍が上昇する。先程潤した口が急に乾いていく。緊張しているのだ。

 でもそれも仕方ない。

 いよいよ、いよいよ知ることが出来るのだから。

 聞かない方がいいのだろう。侯爵の目を見れば乗る気じゃないことも分かる。番犬になること自体、侯爵は協力すれど賛同はしてくれなかった。

 今、私が此処で「やっぱ止めておきます。」と言えば、侯爵は喜んで了承するはずだ。父もそれを望んでいる。でも・・・

 「―――――話してください。」

 私ははっきりとそう言った

 侯爵は少しの間目をつぶる。しかしそれも過ぎに終わり、重々しく口を開いた。

 「分かった。とは言え、そう長くなる話じゃない。しかし・・・、聞かない方がいいと私は思う。」

 「ご、ごめんなさい。」

 「ああいや、責めるつもりはないんだ。親の死を知りたいと言うのは当然の願いだ。」

 侯爵はそこで一旦区切ると、神妙な顔つきを取る。

 「人払いは?」

 「済ませてあります。」

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