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一年の軌跡3

 アルバート邸には本邸である中央塔・東塔・西塔。兵士の育成・修練・就寝の場である第一~第四兵舎。

そして馬小屋や庭師小屋などの雑多なものと、今は使われていない、旧邸及び第零兵舎の計14の建物が存在する。

 旧邸は『危険』だとかで、(この世界の)父に立ち入り禁止させられてたが、それ以外の建物なら大抵はエリザベータは知り尽くしていた。アルバート邸内だけの知識なら、エリザも定年まじかの老兵くらいにはあるのだ。その知識から言えば、今回に最も適した場所は第零兵舎。

 広さは十分。魔道具なども無い。使われていないから少し埃っぽくもあるが、まぁそれは許せる範囲だ。

 ミランダとの意見も一致し、アルバート邸内に募集の御触れを出して数分。アルバート邸で働くほとんどの者――――外せぬ仕事のある者や身重であるアリアとかは来なかったが――――が、第零兵舎に集まってきていた。


 「獣魔契約の適正は《判定石》と言う特異な水晶を光らせられるかどうかで分かります。」

 エリザベータは第零兵舎に行く途中、レンからそんな話を聞いていた。

 「じゃあ、さっきのアレが?私適正あるってこと?」

 「然様で御座います。流石に皆様も呼ぶのに肝心の主が適正ありませんでしたでは笑えませんからね。失礼とは思いましたが、あらかじめ調べさせてもらいました。」

 おお~!何と良い奴だ。全然考えてなかったでござる。

 第一印象は随分ちゃらちゃらした野郎だと思ったが、実は良い奴だったとは・・・。レンの好感度が若干上がった。

 「ありがと!あ~、でも何が出るんだろう~?緊張するな~。」

 「確定は難しいですが、大体の予想は立ちますよ。」

 そう答えたのはミランダだった。

 「どゆうこと?」

 「はい、絶対ではありませんが・・・血筋によってある程度出やすい系統がありまして。例えば、帝国では鷹系が、我らが王国の皇族は猿系、アルバートですと先々代と先々先々先々代が馬系の獣魔を出したらしいです。」

 そう、だったんだ・・・。あの女王様が何でいつも猿はべらかしてんだと思っていたが、獣魔だったのか。みょ~に、納得。猿なんてポイ捨てしそうな人だもんね。

 「てことは私も馬が出るかもと・・・。やっぱ、ユニコーンとかペガサスとかかな・・・。あー、でもバイコーンも捨てがたい。」

 「あまり夢を見ない方がよろしいかと・・・。」とミランダ。

 「ユニコーンにペガサスですか、やはり女性はそう言ったものに好まれるのですね。」とレンドレイン。

 「夢を見過ぎだ。」とレインハルトが続けざまに突っ込んだ。

 「酷い!」

 そりゃ、女王の猿を見る限り期待できそうにないけど、ちょっとぐらいいいじゃないか。どうせあと数分で崩れる夢なんだ・・・。

 そんな他愛無い話をしながら、一行は第零兵舎の戸を潜るのだった。



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