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一年の軌跡

 あの事件から11ヶ月

 あれから襲撃は一度も無く、驚くほど平和な毎日を送っていた。未だ事件の首謀者は分からずじまい・・・と言うことがただ一つの心残りではあるが・・・

 今回は時々デンジャー、でも平和な11ヶ月をダイジェストでお話ししよう。


 事件からちょうど3週間

 初めのイベントはその日起きた。その日は番犬の継承と爵位の下賜のために王宮に出向いていた。

 爵位の下賜は何事も無く終わり、問題は番犬の継承・・・

 貴族派閥の最有力貴族、王国右大臣レッカーサー侯爵が強くその継承に反対したのだ。理由はまだエリザベータが若い事。それと非力な女であることだった。

 名実ともにこの国の最高権力の一角。その言葉の重みは並ではない。叔父様・・・侯爵も手助けをしてくれたが、

 「もしも継承を認めてほしいのなら、力を示してみろ。」その言葉が決め手になった。

 何事も無く終わるはずだった継承はエリザベータの拳闘試合の結果と言うことで片が付くことになる。


 その翌日・・・検討試合の日エリザは高熱をだし、試合には出ていない。代わりにレインハルトが変装して出たのだが・・・試合内容を熱と格闘していたエリザは見ることは出来なかった。

 でも、この日から自分を見る目に怯えや畏怖が混じっているのが何となく分かった。


 レインハルトよ・・・一体何をやったのじゃ・・・・・・


 知りたいけど、怖いから聞けずじまいである。

 周りでヒソヒソと暇貴族共が「あれが・・・・」とか「銃弾を剣で叩き切ったと聞いたぞ。」とか「私は瞬間移動をしたと・・・・」とか尾ひれが二枚も三枚も付いたような話をしているから、全く分からんという訳では無い・・・

 何はともあれ私は晴れて番犬を継承することが出来た。


 それからさらに三か月超・・・事件から四か月ほど。

 エリザたちは番犬の仕事にも慣れ、いくつもの成功をおさめていた。新規兵もアルバートの生活にすっかり慣れ。執事やメイドは補充していないが、何不自由なくアルバートと言う歯車は回っていた。

 たった一つ、対呪薬の制作だけは違ったが・・・


 アルの妹は未だ一度も目を開けず、ピクリとも動かずに眠っている。

 薬師A薬師Bがあの日から欠かさずに創った薬は既に数千種にも上る。が、ただの一つもLv.4の壁を超えることが出来なかった。

 正しく目隠しして長大な迷路を彷徨ってるような状態。突破口どころか光一つ見えない。

 そんな時だったあの噂を耳にしたのは。

 「今世紀、王国最凶の犯罪者、そして認めたくは無いが王国最高の薬師シーザーが実は処刑されておらず、今なお王国第ゼロ監獄で生きているらしい・・・」

 シーザーが犯した罪は国王暗殺と言う許されざる罪。そんな極悪人が処刑されていない?あり得ない話だった。でも、・・・このままいけばアル妹が死ぬことは明白だった。

 今思えば、この噂を流したのは、どこかでエリザが大呪薬開発に熱心だ、とか聞いた国王代理・・・第二王妃だったのだろう。

 それでもエリザベータ達はその甘い蜜に乗ってしまった。薬を完成させてアルに恩を売りたいと言うのもあるが、ただ純粋に妹に情が移ってしまったのだ。私も、薬師二人も・・・


 思い立ったが吉日。エリザは王都に立ち、『とある事件』の解決の報酬として、シーザーの受け渡しを願い出た。もちろん王国長議会が開かれる程の案件となった。

 王国長議会とは侯爵・公爵・王族・大臣以上の官位に着く者、それと番犬の特別枠としてアルバート家当主・・・それ以外の者は立ちいることすら出来ないこの国の最高議決機関だ。

 これ程の権力者ならシーザーが生きていることも、シーザーのしでかしたこともよく知っている。

 申し出は満場一致で却下されるはずだった。

 「ー落ち着きなさい。」

 女の良く通る声。この国の現最高権力者の声に荒れ狂っていた議会はシンっと静まり返る。

 声の主は国王代理の第二王妃マーリン。

 マーリンは部屋中の視線を受けながら、淡々と言葉を続けた。

 「エリザベータ伯爵が今までだしてきた結果はどれも信頼に足るものです。私は伯爵ならばあの悪魔の女も御してくれるのではと思っています。何か異論はありますか?」

 その一言で可否は決まった。

 エリザベータはシーザーを連れ帰り、更なる研究に力を入れる。

 変化は劇的に表れた。シーザー加入から僅か二ヶ月・・・エリザ達は遂にLv.6の対呪薬を生産可能にまで辿り着いたのだ。

 エリザはただただ喜んだ。あの笑顔に潜む邪悪な素顔にも気づかずに・・・


 ちなみに対呪薬の事を知ってるのは、アルバート家の中でも研究にかかわる五人だけ。余った対呪薬を時々市場に出し金儲けをしているのもこの五人だけである。古代遺跡の秘宝(現技術では創成不可と言われるLv.5の対呪薬)を売りさばく猛者がいる、とか言う噂の原因も、この五人のせいだったりする。

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