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一年後

 エリザベータは今、空にいた。

 より正確に言うなら、飛空船と呼ばれる空飛ぶ船、そのバルコニーにいた。

 バルコニーには白い丸テーブルが四つほどあり、そのうちの一つ、木陰になっている椅子に座っている。

 時刻は太陽が傾きかけた三時ごろ。白銀のティーカップを手に持ち、一服の時間である。

 「そう言えば―――」とエリザベータは対面に座るレインハルトに話しかけた。


 「今日でちょうど一年目ね。」

 「あの事件ですか?」

 「そう・・・。正直今自分が生きてるのが不思議に思うわ。」

 「同感です。もちろん、傷一つさせるつもりはありませんでしたよ。」

 「フフ、頼もしい頼もしい。」


 ふわふわとした空気がバルコニーに流れる。ここ最近はよく見かける光景だ。

 どうしてまだ付き合っていないのか?バルコニーに入ろうとして、思わず足を止めてしまったセバスは内心ため息を吐く。

 誰が見てもお似合いの二人なのだが・・・昔の二人を知るセバスは何とも心温まる気持ちになった。

 この空気を壊したくないものじゃ、孫夫婦を見る祖父の気持ちを垣間見たセバスだったが、心を鬼にしてバルコニーに踏み入る。

 伝えねばならないことがあるのだ。

 二人の近くまで歩くと、セバスは大きく咳払いをし、


 「失礼しますぞ御ふた方。」


 一れをする。その音で漸くセバスに気付く二人。


 「あっ、セバスさん。またですか?」とレインハルトが軽く頭を下げ。

 「おはよう、セバス。」とエリザベータは手を振った。


 「お早う御座います。エリザベータ様、レインハルト。もうお分かりとは思いますが、ご報告に入れたいことが。」

 セバスは、そこで一旦間を置き、口を開く。

 「現在本艦空賊に襲撃を受けております。数は20、警戒するほどの手練れは居ませが、一応警戒を忘れずにいてください。」

 襲撃と言うよろしくない報告なのだが、それを伝えるセバスは世間話でもするようである。

 報告を聞く二人も焦りや緊張の様子は無い。見事に風景に溶け込んだ会話である。

 セバスが報告をし終えると、レインハルトは席をカタリと立つ。

 「それでは私も出てきます。」

 「必要ないわ、レインハルト。どうせあの五人が何とかするでしょ?――――――――それより今回は誰が一番多く倒せると思う?私はアルに一票ね。」 

 一票と言うのは千ダラスのこと。最近この三人の中でこの掛けが流行っているのだ。

 「それでは私はユリウス殿に一票。」とセバス。

 「じゃ、俺はジャンヌに一票ですね。」レインハルトが続いた。

 倫道と友加里も強いのだが、奴らはあまり動かないのだ。まったく困ったものだ。

 まあ、全く動かない私たちが言えたことじゃないけど・・・そんなたわいない話で時間を潰しているとドタドタと言う4っつの足音がバルコニーに近づいてくる。

 ガラリとバルコニーに繋がるガラスドアが思いっきり開き、予想通りの三人とプラス一名が入ってきた。

 「はぁ・・・はぁ、ぼくが6人倒したよ。」

 「私が4人倒した。」

 「俺が五人倒しました。」

 「お、俺が一人っす。」

 ユリウス、ジャンヌ、アルフォンス、スキンヘッドの兵士Aが続けざまに報告する。

 それを聞いたセバスが有難うございますと勝ち誇った笑みを浮かべ、レインハルトがジャンヌ・・・と恨めしそうな目で見る。エリザベータは初めての顔ぶれに笑みを浮かべた。

 「おめでとう、ガンマ。」

 「お、俺みてぇな下っ端の名前を・・・!」

 ガンマが感動したように祈りのポーズをとる。

 「フフ、当然よ。初討伐おめでとうガンマ。」と、エリザベータが優しく返し、「そうだわ!」とポンッと手を叩いた。

 「今日は宴会にしましょう!また新たな空の戦士の扉を開く者が現れた祝いよ!」

 「貴方は宴会がしたいだけでしょ。」レインハルトが溜息を吐き、セバスはおおらかに笑った。

 「それじゃあレインハルト。今日の夕飯は頼んだわよ!」

 「了解です。」

 やつれた声だったという。


――――――――

―――

 世界指名手配(この顔にピント来たら左記の番号にご報告を―――333-333-333)

――――――――

 エリザベータ・D・アルバート

 1,200,000,000ダラス

――――――――

――――――――

 レインハルト・ボナパルト

 940,000,000

――――――――


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