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戦国時代の大魔導師  作者: あや
美濃大乱
23/32

その16

収穫の時期がやって来ました。

「お坊様のお陰で今年も豊作ですだよ」そう言って、お爺さんが嬉しそうにしています

今年の夏は大忙しでした

私にとってもこの世界で四度目の夏ですが、四年目ともなれば流石に“雨を降らせる尼僧”の噂話は近隣へと拡まってしまっていて、今年は方々の村から雨を降らせてくれるようにと頼まれてしまいました。

中には斎藤家とあまり中の良くない勢力の村から等も依頼があったりして、私が幾ら明智家や斎藤家に使える身ではないと言っても、お世話になった身としてはやはり勝手に受け合うわけにもいかず、一応弥平次さんを通じてお伺いを立てたりもすることになりました

結局は、私は何処かの配下と言うわけではないので私の好きにすればよい、但し美濃より他の国に関してはあまりよい顔は出来ない、とのお返事を頂き、頼まれるままに美濃中を飛び回って(文字通り飛行(フライト)の魔法で飛び回って)雨を降らせて回ると言う事になりました。

この辺りは私も忙しさのあまりついそんな横着をしてしまい、結果必要以上に衆人の注目を集めてしまったと反省しているのですが……

それでもまだ、美濃の国は木曽三川と呼ばれる豊富な水源のお陰で水不足に悩む土地は他所の国よりは少ないらしく、むしろ場所によっては川の氾濫による水害の方が深刻だという話を聞いて、同じ美濃の内なのにずいぶん事情が違うものなのだなぁ、と感心してしまいました。

ただ、私のしていることはあくまで応急処置でしかありません

私が永遠に雨を降らせて回れるわけではない以上、根本的な解決手段を取らないとやがては元に戻ってしまいます。

ですので、久々利のダムの完成が待たれます

あのダムが上手く機能するようなら、同じような手法で各川の手当てが出来ることになります。

またその応用で、木曽三川の治水が可能なら氾濫するほどの水を、水不足で悩んでいる地域へと回すことが出来るかもしれません

そうして少しでも、困っているお百姓さんたちが減ればいいなと、思ってしまいます。



そうして葉月(旧暦八月、現代の九月)が終わろうと言う頃、光秀さんの婚姻が年末にずれ込むと言う報せがもたらされました。


弥平次さんのお話によると、斎藤山城守の娘さんの縁組みが急に決まったらしく、長月(旧暦九月)の末に執り行われることとなったために、時期をずらすことになったそうです

ただ、その娘さんの名前が帰蝶さんと言うそうなのですが、私の生前の記憶ではそれは確か、織田信長の奥さんの名前だったはずです

なのに、縁組みのお相手は土岐頼純さんという方だそうです。

この方は山城守の元の主に当たる土岐美濃守と美濃の守護の座を争った相手の方で、その争いに破れたあと越前……、今の福井県ですね、そこの朝倉氏へ逃れていたらしく、去年その朝倉さん達が美濃へと攻めてきたのもその土岐頼純さんを助けてのことだったそうなのですが、この度その朝倉氏と山城守の間で和平が成立したそうで、美濃へと帰国することになったそうです

で、帰蝶さんとの婚姻もその条件の一つなのだそうです。

なんでも、頼純さんは数え年で二十二歳、帰蝶さんは十一歳だとか

平成の時代に育った私にはあまりに酷い話に聞こえるのですが、弥平次さん曰くこの時代にはよくあることらしいです

そういう、生前とは常識の違う時代だということは分かっていたはずなのですが、まだまだそんな差違に戸惑ってしまうことがあります。


「そういえば、尾張との国境の村で疱瘡の患者が出たらしいですよ」

私の様子に話題を変えようと思ったのか、弥平次さんがそんな話をされます

疱瘡と言えば確か、天然痘のことだったはずです。

天然痘は現代には撲滅されましたが、この時代はまだそうなっていないらしく時折流行しては大きな被害を出しているようです

「確か、天然痘の治療には種痘が有効だったはずですが……」

「えっ?天然……、なんです?」

「あ、いえっ、なんでもありません」

声に出てしまっていたようですね、慌てて誤魔化します。

確か天然痘は牛痘に掛かった牛の膿を使って免疫をつける方法があったはずですが、流石に詳しいことは覚えていませんので、不用意な発言は出来ません

感染者を魔法で治療することは可能なのですが、やはり根本的な解決にはなりませんし……、どうするべきでしょうか

結局そのあとはお互い健康には気を付けましょう等の言葉を交わして別れました。



「煕子は如何致した?」

「お姉様でしたら、村へ参られてますけれど……?」

何時もの事ではないですか、と言うような笑顔で芳子が応えると、まあそうだがと言いながら渋い顔になる。

「年の瀬には明智殿の元へ嫁ぐ身だぞ、そろそろ落ち着きを持ってもらわねば……」

そう言うと広忠は、腕組みをして天を仰ぐ

だが芳子の方は落ち着き払った様子で応じていた。

「なればこそです、嫁いでしまえば斯様に気安く村里を出歩くことなどなりますまい」

今のうちだけですよ、そう言って淡く微笑む

「そうかもしれぬがなぁ……」

座り込んで頭を掻く父を眺めながら、こんな日々があと何日も続かないのかと思えば、流石に少し寂しいと思ってしまう芳子だった……。

土岐頼純が斎藤道三の娘と婚姻したのは確かなようですが、それが帰蝶だったかというと“そういう説もある”程度のお話のようです

ただ、人質として遣わされた娘を正妻として迎えているようですので、道三の正妻の娘である帰蝶が遣わされた可能性は低くないとも思われます

あと“濃姫12歳人妻幼女”というパワーワードに抗いきれませんでした(何


9月5日修正

設定ミスの修正のために頼純さんと帰蝶さんの結婚時期が史実より一年早まってしまいました

そのため帰蝶さんが11歳(満年齢で10歳)とパワーワードがさらに危なくなりました(何)

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