もし敵をウ●コに変えられる能力があっても、普通の人は使わないと思います。
「では訴えを聞きましょう」
と裁判所長官は言った。
検察神は手を上げる。
裁判所長官はうなずき、手を差し出す。
検察神は会釈をした。
「罪状は外界干渉罪です。この者は、転生者にチート能力を与えました」
と検察神は言った。
「異議あり」
と弁護神は手を上げた。
「却下します。被告神Aに尋ねます。転生者にチート能力を与えたのは事実ですか?」
と裁判所長官は尋ねた。
「たいした力ではありません」
と被告神Aは言った。
「具体的にどんな力を付与したのですか?」
と裁判所長官は検察神に尋ねた。
「呪ったものをウ●コに変える力です」
と検察神は言った。
会場がざわつく。
(えっ。ウ●コって言った。ウ●コって言ったよね)
そんな声が聞こえた。
隣を見ると、師匠が前のめりになっている。
「申し訳ないが、耳がおかしくなったようだ。もう一度言ってくれるかな」
と裁判所長官は検察神に尋ねた。
「呪ったものを”ウ●コ”に変える力です。U●KO ウ●コです」
と検察神は言った。
会場がざわつく。
(間違いない。ウ●コって言った。ウ●コって言った)
そんな声が聞こえた。
「具体的な被害を言ってくれ」
と裁判所長官は検察神に尋ねた。
「被告神Aは転生者xに対して、呪ったものをウ●コに変える力を与えました。
初めの被害者は、転生者x(転生者だと知る者は神のみ)の能力に疑問を持った王国の宰相です。
王に転生者xには気をつけたほうが良いと助言したところ、そのことを知った転生者xは、宰相をウ●コに変えました。ウ●コに変える能力があるなんて、夢にも思わない王国では、宰相は失踪したと判断され、別の宰相が決まりました」
と検察神は言った。
会場がざわつく。
(そいつは恐ろしい。ウ●コにするなんて、完全犯罪じゃないか……。)
そんな声が聞こえた。
「あまり聞きたくないが、続きを言ってくれ」
と裁判所長官は検察神に尋ねた。
「その後も転生者xは、呪ったものを、続々とウ●コに変えました。
転生者xのモヒカン頭を”冒険者といえども節度のある髪形を頼む”と意見した冒険者ギルド長。
転生者xが、仲間と共に”おめぇ死にてぇのか。このひょろひょろ野郎”と喧嘩を売り、逆にボコボコにされて大恥をかかされた、見た目は弱そうなのに、実は強キャラの美形冒険者。
防具と武器を9割引きにしろと値引きをし、断った武器屋の親父。
皆ウ●コに変えられました」
と検察神は言った。
会場がざわつく。
(つまり……誰でも、いつでも、理由もなく消される可能性があるということか)
そんな声が聞こえた。
「異議あり。これは転生者xのモラルの問題。被告神Aは何の関係もありません。
言うなれば、包丁を売って、それで殺人事件が起きたとき、包丁を売った者を裁けるでしょうか?という問題です。」
と弁護神は言った。
「異議あり。弁護神は、裁判で裁けると、包丁で裁けるでしょうか?という言葉をかけて、うまく言いたかっただけです」
と検察神は叫んだ。
「……弁護神。
その裁けると裁けるをかけるという発想は悪くはないが、
ここは法廷の場だ。
慎みなさい」
と裁判所長官は笑いをこらえている。
「それで、その呪いを解除する方法はないのかね」
と裁判所長官は尋ねた。
「聖水をかければ、元に戻ります」
と検察神は言った。
「そりゃ、抜け道を用意してますぜ。旦那」
と被告神Aはニヤニヤした。
「被告神A!法廷でそんな分かりやすい悪人ムーブはやめなさい」
と裁判所長官はハンマーを叩く。
「そうです。こいつはヒドイ奴なのです」
と検察神は言った。
「この子も根は良い子なんですよ。しかしフンコロガシの神ということで……」
と弁護神は言った。
「ちょっと待ってくれ。ここ匿名でしょ。身バレすんじゃん」
と被告神Aは言った。
弁護神はしまったという顔をしている。
「ちょっと弁護神。それ言っちゃダメって言ったでしょ。なんでまたするの?
これで358回目だよ」
と裁判所長官は嫌そうにハンマーを叩く。
「すみません」
と弁護神はバツが悪そうに舌を出した。
「テヘとかしてんじゃねぇぞ。このタコが!」
と被告神Aは叫んだ。
「被告神A!弁護士はタコ族ではありません。そういう発言は控えなさい」
と裁判所長官はハンマーを叩く。
「それで被害者は救済できる感じなの?」
と裁判所長官は尋ねた。
「それが配下のフンコロガシが巣に持ち帰ってしまっているので、もう食べられているかと」
と検察神は言った。
会場はざわめく。
(恐ろしい。完全に隠滅まで隠滅されている)
そんな声が聞こえた。
「そのウ●コって、ふつうの感じなの?なんか特徴があるとか」
と裁判所長官は尋ねた。
「グレーのウ●コです」
と検察神は答えた。
グレーのウ●コという言葉を聞いて、
「これだ!!!」
と神国警察の男、師匠、私は同時に同じセリフを言った。
皆ニヤと笑い、ハイタッチをする。
(いえーぃ)
“グレーの※ンコを探しています。
見つけた方はご連絡ください。お礼をします“
“グレーの※ンコに気を付けろ”
これ全部※は『ウ』だったんだ。
私たち3人は同じことを考えていた。
とすると、もしかして、殺人を犯したのは……。
神国警察の男は、顔色を変え、通信を始める。
今回の件を連絡しているようだ。
どうなるのだろう。
神の裁判と、現実の事件が――つながった。
裁判に間接的に関与しているということで、
なんだか、
気持ちがぞくぞくしてきた。
モニターでは、
検察神が顔色を変え、裁判所長官に耳打ちしている。
裁判所長官はうなずいている。
「ところで、被告神A。この人物を知っていますよね」
と検察神は被害者の写真をモニターに映し出した。
「そそそそんな奴しらねぇよ」
と被告神Aは明らかに動揺している。
「異議あり。本件裁判とは関係がありません」
と弁護神は言った。
「そうだ。関係ねぇぞ」
と被告神Aは言った。
「検察神。これはどう関係があるのですか?」
と裁判所長官は言った。
「この男は、グレーの※ンコを探している途中に、何者かの手により消されました。
グレーの※ンコ。これは一体何を意味するのでしょうか?」
と検察神は言った。




