魔王の洞窟
俺は、聖刀と魔法を解くために、賢者の洞窟の前まで来ていた。
俺にかけられた魔法は、恐らく三つ。
その一、記憶操作。これは、もう解けた。
その二、認識阻害。うさ耳とか、完全に嫌がらせだろう。
その三、力の制限。明らかに、魔王に負けてから力が落ちている。それに、スロータイムが使えなくなっていた。
この魔法を解くためにも最深部にいかなければならない。
ちなみに、賢者の洞窟とは、かつて、ある研究に集中するために作った。トラップ洞窟である。
「まぁ、所詮はトラップだけの洞窟だ、どうにかなるだろ」
そんな考えは、甘かったと後になって気づくことになる。
今、俺は全力で逃げている。
「これ、マジで死ぬ!!!!」
俺は、転がる大岩に踏みつぶされそうになっていた。
「あそに、逃げ込もう」
横穴にスライディングする。
「危なかった」
そうして、今の状況を整理する。
正直賢者の作ったトラップだけなら何とかなっただろ。
しかし、・・・
「なんで、魔物やら、空間トラップだらけなんだよ!!」
ああ、もう分かってる、これは、既に、賢者の洞窟ではない。魔王の洞窟である。
特にこの空間トラップがやっかいで、いろいろな手段で別空間に飛ばされる。
例えば、何もない所がいきなり落とし穴になっていて、扉を開けた瞬間、中に引きづり込まれる。
そのうえ、飛ばされる先は、モンスターハウスだったり、毒の充満する部屋だったり、いきなり大岩が転がってきたりする危険な所に飛ばされたりが、人形だらけの部屋などの危険では、ないがよく分からない所に飛ばされりもした。
もう正直・・・
「どれくらい時間がたったかも、分からないし。俺は今どのあたりにいるんだ?」
俺は、時間も場所も分からなかった。
それに、最深部にたどり着いても出れる気がしない。
「それでも行くしかない!」
目の前には3つの扉があった。
「どれにしようか?」
そして、真ん中の扉を開けた。その瞬間いままで、一番死を身近に感じた。
この部屋自体には、特に何もない。問題はそこにいた、人物だった。
そこには、生まれたままの姿の魔王だった。魔王は、お風呂に入っていた。
「ななな、勇者!!!!!!!」
魔王は、全身を見る見るうちに、真っ赤にしていく。
そして、魔王が笑った。
「ハハハ」
「ハハハ」
俺もつられて、笑う。
魔王の殺気が爆発する。
「もう、人生楽しんだよな、死ねー!!!!」
「ぎゃゃゃゃ」
魔王の火炎弾を避けながら必死に弁明する。いや、命乞いをする。
「待て、こんな所に繋がってると思わなかったんだ」
「遺言は、それでいいな」
いっそう大きな火炎弾が飛んできた。
「ぎゃゃゃゃ」
今のは、やばかった。
そもそも、魔王にかけられた魔法で、力制限されてるのに、このままじゃ冗談抜きで死ぬ。
「そもそもこれは、事故だ!」
「それも、そうだな」
魔王が笑う。
「分かってくれるか」
「しかし、見たことに変わりはない!これで許してやろう」
そして、俺の真下に大穴ができる。
「うわーーー」
そして、意識を失なった。




