↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
普通の妹がお兄ちゃんを改造してみた。  作者: 釧路太郎
魔法使い編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/84

第四十八話 お兄ちゃんの疑問

 自力で戻ってきたという事は、お兄ちゃんは死なずに済んだという事だよね?

 うまなちゃんとイザーちゃんは凄く驚いているみたいだけど、よくよく考えてみたら知っている人とは違うとはいえまさ先輩と話すことが出来たんだから無事に帰ってくることも出来るって考える方が普通だと思うんだ。私の知っているまさ先輩はお兄ちゃんと仲良しだったし、こっちのまさ先輩とも仲良くなっていることなんて十分に考えられるから、うまなちゃんとイザーちゃんの心配は杞憂なんだと思っている。

 そんなお兄ちゃんは私を見つけるなり駆け寄ってきてくれた。ちょっと嬉しかったんだけど、みんなが見ている前でそんな風に好意を前面に押し出させると気恥ずかしいものがあるよね。そんなに警戒しなくてもゆまは大丈夫なのになって思いながらも、やっぱりうれしい気持ちは隠し切れなかったのかもしれない。


「いろいろ聞いたんだけど、まさ先輩の話って本当なのかな?」

「その色々が何なのかわからないんだけど、まさ先輩は嘘はつかないんじゃないかな」

「魔王は人を騙すことはあっても、嘘をついて騙すことは無いからね。それが真実だと思うよ」

「じゃあ、アレはお前たちが仕組んだことで間違いないんだよね?」

「まあ、仕組んだかどうかで答えるのならば、そうだとしか言いようがないかな」

「でも、私たちにも言い分があるからね。それを聞いてから判断してもらえると、嬉しいよ」


 私の気のせいでなければ、お兄ちゃんはうまなちゃんとイザーちゃんの事を警戒しているように見える。あんな状況で一人置いてけぼりを食らったんだから警戒して当然だと思うんだけど、今更この状況で何を警戒するのだろう。私にはそこだけが理解出来なかった。

 だけど、まさ先輩から何か言われたという事はわかる。その何かがうまなちゃんとイザーちゃんにまつわる重要な事なんだろう、それがわからない以上私はどっちの味方になればいいのかわからない。わからないけれど、ここは血を分けた兄妹という事でお兄ちゃん側についていた方が良いよね。


 うまなちゃんとイザーちゃんから視線を外さないお兄ちゃんは右手で私の事を隠すように守ってくれている。そんなに警戒しなくても攻撃なんてされないと思うのに、お兄ちゃんは心配性だとしか思えなかった。

 そんなお兄ちゃんを見ているうまなちゃんとイザーちゃんはお兄ちゃんを刺激しないようにゆっくりと距離をとっている。お兄ちゃんは変わらずに私を守ってくれているように右手を伸ばしていた。


「あの男が口が軽いなんてのは十分に理解していたんだけどね」

「でも、正直に言ってあの男が喋る前にまー君はココに戻ってくると思っていたよ」

「一人置いていかれた絶望の中で恐怖を感じ」

「何もわからないまま四肢を食いちぎられると思ったのにね」

「なぜか君は生還した」

「私たちの予想は大きく外れてしまった」


 私とお兄ちゃんはうまなちゃんとイザーちゃんの言っていることが理解出来ていなかった。

 ただ、私とお兄ちゃんでは理解出来ていない箇所が違っていたようだ。


「ちょっと質問なんだけど、君たちの予想では俺はあの魔物たちに体を八つ裂きにされて死んでいたってことになっているの?」

「まあ、どうなるかは正直わかっていなかったけど、あの魔物たちならそれくらいやるんじゃないかなって思ってたよ」

「獣っぽい魔物も多かったし、身体欠損は仕方ないのかなって思ってたんだ」


 悪びれる様子もなく淡々と語るうまなちゃんとイザーちゃんはちょっと異常なんじゃないかと思えた。普通なら、そんな風に死ぬなんて考えることは無いだろう。

 でも、お兄ちゃんにとって二人の態度は特に気になっている感じではなかった。


「身体欠損でバラバラになった状態でココに戻ってくるって事の意味がわからないんだけど?」

「ああ、あの男はそこを説明していなかったってことかな」

「まあ、いちいち説明しなくてもこの世界の常識ではあるもんね」


 お兄ちゃんは知らなかったようだ。この世界では寿命以外で命を落とした時には新しい体でやり直すことが出来るという事を。命に関わるような深刻な怪我をしたとしても、一度死んでしまえば新しく健康的な体でやり直すことが出来るのだ。

 説明されなければそんな事想像も出来ないと思うし、最初に言ってくれよとは思う。でも、説明されたところで死んで確かめてみようとは思わないだろう。

 私はまだ、自分の命をそんな風に粗末に扱う事に抵抗がある。


「なるほど。そういう事なら納得出来るかも。俺がまさ先輩の魔物たちに襲われることで恐怖心を植え付けられ、戦うことに消極的になってビクビクしながら生きてく姿を見たかったってことだよね?」

「違うよ。それは違う。逆だよ。逆」

「私たちはね、まー君が死なないように常に本気で戦う姿を見たいだけなんだよ」

「でも、その様子じゃ、まさ君が本気で戦う事なんてありえないんだろうね」

「魔王の血が全身にべっとりとついているというのに、何も感じていない君は異常だよ」


 魔王の血がべっとりとついていると言っているけど、私にはソレがわからない。

 お兄ちゃんに何かついているとは思えないんだけど、うまなちゃんとイザーちゃんにはいったい何が見えているのだろう?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。