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普通の妹がお兄ちゃんを改造してみた。  作者: 釧路太郎
魔法使い編

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第三十五話 魔物狩りのための準備

今まで食べてきたタコスの中で一番おいしく感じていた。

 あまりのおいしさにチーズがもりもり乗っているタコスも注文してみたのだが、そちらも美味しかった。

 だが、そんなのはどうでもいい話で、これからどうするか考えなくてはいけない。

 お兄ちゃんが世界で一番すごい魔法使いになったという事までは考えていたのだけれど、それ以降はどうするか考えていなかった。世界一強い魔法使いだったとしても、その魔法を使う場面が無ければ何の意味もないのだ。

 でも、お兄ちゃんは相手を傷つけるような魔法を使う事は無いんじゃないかと思っている。


「お腹も満たされたと思うんだけど、ゆまちゃんとまー君はこれから何かしたいことでもあるのかな?」

「俺は特にないんだけど、ゆまはどうかな?」

「私もコレと言ってしたいことはないんだけど、晩御飯までに少し運動しておきたいかも。さっきのタコスが美味しすぎて食べすぎちゃったんで、このままだと晩御飯が食べられなさそうなんだよね」

「じゃあ、せっかく四人いることだし、魔物狩りでも行こうか。二人はまだ経験ないと思うんで最初は見てるだけでもいいからね」

「使えそうな武器があったら好きなの持っていっていいからね。ホテルのロビーにおいてあるのは誰でも使っていい事になってるんだよ。私とうまなちゃんは鞭を使うんだけど、ゆまちゃんとまー君は何が良いかな?」


 うまなちゃんとイザーちゃんが鞭を使うのはイメージ通りだなと感じたのだが、いざ自分が武器を使うとなると何を選んでいいのかわからなかった。

 今まで色々な機器を使用してきたことはあったけれど、相手を傷つけるために何かをしたことはほとんどなかった。戦闘用に作られたものをと使うという事に抵抗はあったものの、魔物狩りをしたくないのかと聞かれると一度くらいは経験してみたいという気持ちは自分の中にあったりする。

 あまり重いモノは持ちたくないし、かといって魔物に直接触れるのも避けたい。槍や刀なんて振り回せる自信は無いし、弓やボウガンにいたっては相手にあてることすら出来ないと思う。鞭だって使いこなせるとはとうてい思えない。


 お兄ちゃんは一通り並んでいる武器を見てもコレと言ってしっくりくるものが無かったようで端から端まで一つ一つ手に取って確かめていた。

 それでも、お兄ちゃんはその手になじむものが何もなかったみたいでホテルのフロントの人に何か相談をしているようだった。

 一旦裏に下がったホテルのフロントの人が再び私たちの前に戻ってきたのだが、両手でバスケットボールを抱えるように持ってきた。なぜバスケットボールなのかわからないし、お兄ちゃんはソレを武器にするつもりなのかと思うと頭の中に大きな疑問が浮かんでいた。

 ただ、お兄ちゃんはバスケットボールを受け取ってその感触を確かめながらもしっくり来ていないのか何度も首をかしげていた。

 何が良くないのかわからないが、お兄ちゃんはフロントの人にバスケットボールを返すと深く頭を下げていた。フロントの人も恐縮して同じように頭を下げていたのだが、顔を上げたお兄ちゃんの視線はフロントの人ではなく後ろに設置されている水槽に向いていた。

 お兄ちゃんは水槽を指をさしながら何かを伝えていたようなのだが、それを聞いたフロントの人は再び裏へ下がると小さな袋を手に持って戻ってきた。

 それを受け取ったお兄ちゃんは満足したのかいつもはあまり見せない笑顔を浮かべてこちらに戻ってきた。


「ちょうどいいものを見つけたよ。あとで見せてあげるね」

「別に秘密にしなくてもいいんじゃないかな。どうせすぐにわかることだし、何を貰ったか教えてよ」

「ダメ。こういうのはちゃんとお披露目するタイミングがあるんだからね。そういうゆまは何を選んだのかな?」

「私にはココにある武器を使いこなすのは難しいと思うんだよね。重いのも無理だと思うし、弓とかも当てる自信は無いし、二人みたいに鞭を使うことも出来ないと思うんだよね。それに、魔物を直接素手で触るのは気持ち悪いって思っちゃいそうなんで、私はボクシンググローブにするよ。これだったら相手に直接触ることもないと思うし、返り血とかも手につかないと思うんだよね」

「そういう側面もあると思うんだけど、ボクシンググローブだったら相手にかなり接近しないと攻撃出来ないんじゃないかな?」

「手に返り血とかはつかないと思うけど、それ以外の場所にはいっぱいついちゃいそうな予感がするんだよね。でも、初心者向けの場所とはいえ、ゆまちゃんみたいにか弱そうな女の子が魔物の攻撃をかわしつつ攻撃することなんて難しいと思うよ」


「そんなことないと思うよ。相手の攻撃をかわして殴ればいいだけでしょ。そんなの簡単だって。ね、お兄ちゃんもそう思うよね?」

「相手の事を見てからじゃないと判断できないけど、初心者向けなら大丈夫じゃないかな。ゆまが小学生の時に家族でスキーに行った時も初心者コースを難なく制覇してたもんね。同じ初心者向けってことで魔物もスキーもあまり変わらないと思うし、ゆまなら問題ないでしょ」

「さすがにスキーと魔物狩りは一緒にしない方が良いと思うよ」

「初心者向けとは言っても、こっちの事を殺そうと向かってくることには変わりないからね」


 私もさすがにスキーと魔物を一緒にするのは良くないと思う。

 ただ、どっちも気を付けないと危ないってだけで、しっかりと気を付けていれば何の問題もないはずだ。初心者向けのスキーだって登山だって私はちゃんと気を付けて行動していたし、魔物の事もちゃんと観察して対処すれば問題などあるはずもない。


 そう思っていたのは初心者向けの魔物と出会う前までの話だ。

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