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普通の妹がお兄ちゃんを改造してみた。  作者: 釧路太郎


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第三話 お兄ちゃんとメガネの女

 真夏ではないにしろ、お昼の日差しはそれなりにきついので二時間近く待っていたお兄ちゃんは辛そうだった。熱中症ではないだろうけど、水分もとらずに黙って待っていたお兄ちゃんは近くにあるファストフード店に行こうと提案していた。


「少しくらいならいいけど、何かまー君辛そうだよね。体調悪かったら早めに切り上げようか?」

「大丈夫、俺は全然大丈夫だから。ちょっと喉が渇いちゃっただけなんだよね。なので、悪いけどあそこでちょっと飲み物買って休もうよ。お金なら俺が出すからさ」

「それは悪いよ。私だって自分の分くらい出せるし。そんなに気を遣わなくていいからね」


 きっと、お兄ちゃんはこの女の事を優しいと思っているんだろうな。同じ女の子として言わせてもらうと、お兄ちゃんに借りを作りたくないから奢ってもらう事を拒否してるんだと思う。お兄ちゃんに借りを作ることで次に返さないといけないって言うのを考えたくないのだろう。少しも悩むそぶりを見せなかったことから私はそう感じた。

 でも、お兄ちゃんが満足そうならそれでもいいか。


「じゃあ、私は席をとっておくんでまー君が先に買ってきていいよ。さすがに休日だと空いてる席もほとんどないみたいだね。この陽気で外って言うのはちょっと無いと思うし、空いてる席見つけておくね」

「え、ああ、うん。わかった。じゃあ、お願いするよ」


 お兄ちゃんは女の子と一緒に買い物をしたかったんだろうね。でも、あの女の子は一緒にレジに並ぶことはなかった。その理由はすぐにわかるんだけど、レジにいる同級生の子にお兄ちゃんと一緒にいるところを見られたくなかったんだろうね。店内に入る前にレジにいる人を確認していたように見えたけど、きっとそう言う意味で確認してたんだろうね。お兄ちゃんはそれには一生気が付かないだろうな。

 って、なんでお兄ちゃんは飲み物を二つ買っちゃてるのかな?

 そんなことしてもあの女の子の好感度は上がらないと思うんだけど、どうして余計なことをしちゃうんだろう。家でも冷蔵庫からジュースをとるときに私の分も一緒に持ってきてくれることがあるんだけど、その優しさは今ここで出さなくてもいいと思うな。

 むしろ、余計なことは何もしないで素直に自分の分だけ買っておきなよ。

 しかも、トレイを使わずにそのまま受け取るのもよくないんじゃないかな。百歩譲ってプレゼントするにしても、お兄ちゃんに対するあの女の子の好感度じゃマイナスになっちゃう可能性が高いよ。私だったら喜んで受け取ると思うんだけど、お兄ちゃんに対してそこまで気持ちを向けていない子だったらあんまり嬉しいモノじゃないんじゃないかな。

 ほら、あの女の子もちょっと驚いちゃってるよ。


「え、二つも飲むの?」

「いや、え、ああ、えっと、うん、ちょっと喉が渇いちゃってるから」


 きっとお兄ちゃんはあの子から「ありがとう」って言葉を笑顔と共に受け取ろうと思ってたんだよね。そんな感じの間があったんだけど、現実はそうじゃなかったってことだよ。そう言うことはもう少し好感度を上げてからにした方が良いと思うし、プレゼントするにしても相手の飲みたいものを先に聞いてからにするか好きなものを把握してからにした方が良いと思うな。女の子相手だからってストロベリーシェイクを買うのも安直すぎるんじゃないかなと思っちゃう。いや、私は普通に好きなんだけど。もしかして、お兄ちゃんは私のがストロベリーシェイクが好きなのを思い出してつい買っちゃったってことなのかな?


「喉が渇いてるときにシェイクを飲むなんて変わってるね。まー君って、ちょっと面白いかも」

「ちょっと甘いものも飲みたいなって思っちゃったからね」

「そうなんだ。ちなみになんだけど、それってストロベリーシェイク?」

「うん、ストロベリーシェイクだよ」

「へえ、まー君ってストロベリー派だったんだ。私もストロベリー派なんだよ。じゃあ、私も買ってくるね」

「うん、気を付けてね」

「ふふ、小さな子供じゃないんだから気を付けるようなことなんて無いでしょ。やっぱりまー君って学校と違って、ちょっと面白いかも」


 うーん、もっと距離をあけられるのかと思ったけど意外とあの子は寛容なのかもしれない。

 それとも、お兄ちゃんがストロベリー派だという事を知って嬉しかったのだろうか?

 その程度で好感度が上がってしまったのだとしたら、さっきまでのお兄ちゃんに対する好感度がどれくらい低かったのか気になってしまう。どん底からなら些細な事でも好感度が上がるかもしれないけど、そうだったとしたら普段の学校でのお兄ちゃんが何をしでかしていたのか気になっちゃうわ。


 お兄ちゃんの時とは違ってレジの女の子は楽しそうにあの子とお話しているけど、すぐにドリンクを提供していたのでほんの数秒の出来事だった。

 それなのに、お兄ちゃんの時には感じなかった仲良しオーラが全開だったのは秘密にしておいた方が良いかもしれない。お兄ちゃんともあのレジの子は同級生だと思うんだけど、顔を見ても気付いていなかった風なんだよね。


「お待たせ。あれ、先に飲んでてもよかったのに。私もまー君と同じストロベリーシェイクにしちゃった。サイズは違うけどね」

「そうなんだ。大きい方がお得だと思うけど、小さいのも満足出来るサイズではあるよね」

「だよね。私も大きい方が良かったんだけど、お昼食べたばっかりだから控えとかないとなって思ったんだ。あんまり食べすぎると変なところにお肉ついちゃうかもしれないからね」


 ここで気の利いた返しが出来ないお兄ちゃんだからこそ好感度が低かったんだろうという事が理解出来た。

 私としてはお兄ちゃんに対する好感度なんて低ければ低いほどいいと思っているけれど、そうなるとちょっとした事でお兄ちゃんの好感度が上がっちゃうかもしれないんだよね。

 それはそれで面倒なことになるんだけど、お兄ちゃんなら大丈夫かと思っていたりもするのかもしれない。

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