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普通の妹がお兄ちゃんを改造してみた。  作者: 釧路太郎


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第二話 先輩に電話

 浮かれ気味に出ていった三人をお見送りした私は自分の部屋に戻ってパソコンを立ち上げる。

 アメリカ中央情報局の知り合いからもらった超小型ドローンを使ってお兄ちゃんを追跡することにしたのだけど、お父さんとお母さんがゆっくり準備をしていたせいでお兄ちゃんが出ていくところを見逃してしまった。超小型ドローンのバッテリーは半日くらいしかものたないのであまり無駄に動かしたくないという事もあって、お兄ちゃんにつけてあるGPSを頼りに捜索することにした。

 いつもは鈍感なのに急に感覚が鋭くなるお兄ちゃん相手にあまりGPSは使いたくなかったのだけれど、今回ばかりは仕方ない。あんなに浮かれているお兄ちゃんを見ていると今日の遊び相手が女の子なんじゃないかって思ってしまうのも間違いじゃないと思う。それが間違いかどうか確認するという事が今一番大事な事で間違いないのだ。


 おっと、その前に一応保険をかけておいた方が良いと思うんでまさ先輩に電話でもしておくか。


「はい、こんな時間に電話とか珍しいけど、何かあった?」

「何かあったから電話したに決まってるじゃないですか。ゆまがまさ先輩に用もなく電話すると思います?」

「思わないけど、たまにはあってもいいんじゃないかなとは思うよ。ほら、まー君の事以外でも俺を頼ってくれていいんだぜ」

「はあ、お兄ちゃんのこと以外でまさ先輩と話すことなんて何もないですし。今日だってちょっとお願いしたいことがあっただけなんで、お願い聞いてもらえますよね?」

「そのお願いの中身次第かな。って言いたいところだけど、ゆまちゃんのお願いだったらなんでも聞いてあげるよ。どうせ、まー君の事だろうと思うけどね」

「だからそうだって言ってるじゃないですか。お兄ちゃんのこと以外でまさ先輩の力を借りることなんて無いですから。これは大事な事なんでもう一度言いますけど、まさ先輩の力を借りる理由はお兄ちゃんに関すること以外ないです」

「はいはい、で、俺はどうすればいいのかな?」

「とりあえず、お兄ちゃんが今いる場所の近くで待機してくれたらいいです。何もなかったらそのまま帰ってもらってもかまわないですし、何かあったらお兄ちゃんのこと頼みますよ」

「オッケーオッケー、任せておくれ」

「信用してるから任せるんですよ。まさ先輩の事は好きでも嫌いでもないですけど、他人の中では世界で一番信用してますから」


 さ、これでお兄ちゃんに何かあった時の保険は十分でしょ。

 お兄ちゃんが浮かれて今日遊ぶ女と何かありそうな展開になったとしたら、まさ先輩に登場してもらえばいいからね。あの人は見た目も中身も嫌われる要素なんて無いし、私のお兄ちゃんよりも他人からモテるのは事実だからね。

 私だけのお兄ちゃんは他の人から好かれないってのが一番大切な事なんだよね。


 いつもとは違う印象のお兄ちゃん。服装からしていつもとは明らかに違っていて、あの男友達と遊ぶ時とは全然違うのだ。

 でも、お兄ちゃんにはもう少し似合う服装があると思うので、そんな風に微妙に外してしまうところが他の人から好印象を持たれにくいポイントなのかもしれない。お兄ちゃんの近くにいる女の子はきっとお兄ちゃんの事なんて見てないし、私が知っている限りではお兄ちゃんの事を好きな女の子もいないはず。

 それなのに、どうして今日に限ってお兄ちゃんが女の子と遊ぶのか意味がわからない。

 いつどのタイミングでお兄ちゃんが女の子から誘われたのかわからないし、私がそんな事を見逃すはずもないのだ。私が見逃すとしたら授業中になると思うんだけど、授業中にお兄ちゃんの事を誘う女の子なんているのだろうか。いたとしたら、最大限に警戒をしないといけないのかもしれない。

 それにしても、お兄ちゃんが立ち止まってからもうすでに一時間近く経っていると思うんだけど、相手の人はいったい何をしているんだろう。こんなにお兄ちゃんの事を待たせるなんてとんでもないやつだ。いくらなんでも遅刻するなら連絡くらいしたらいいのにと思って確認したのに、お兄ちゃんのスマホには公式以外の新着通知はきていなかった。


 あれからさらに三十分が経とうとした時、お兄ちゃんに向かって手を振りながら近づいてきたメガネの女の子が現れた。

 何となく見覚えはあるんだけど、ハッキリと見たことはなかった。

 確か、お兄ちゃんの隣に座っている女の子だったと思うんだけど、制服姿ではないので確信は持てない。とりあえず、お兄ちゃんの授業風景を撮影したときの画像と比べてみることにしよう。

 見比べてみた結果、お兄ちゃんに会いに来た女の子はお兄ちゃんの隣の席の女の子で間違いなかった。ちょっと地味目な女の子だけど胸元は他の子よりも大きく膨らんでいる。厚着をしているから目立ちにくいはずなのに、この女の子の胸はすれ違う人が視線を向けたくなるほど立派だった。

 そんな事よりも、何か話をするみたいだから近くによって会話を聞いてみないと。どんな理由で休みの日に二人で出かけるのか知る必要があるもんね。


「約束の十分前につくようにって思ってきたんだけど、お待たせしちゃったかな?」

「全然待ってないよ。俺もさっきここについたばかりだから」


 約束の二時間近く前から待つなんて、こんな女のために浮かれすぎだよ。

 それに、この時間の待ち合わせって完全にお昼を食べてから集まろうってことじゃない。

 もしかしたら、この女の子はお兄ちゃんと会うって言うのが一番の目的ではないのかもしれない。

 だからと言って、ここで油断するのは良くないよね。

 もう少し、様子を見守ろう。

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