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普通の妹がお兄ちゃんを改造してみた。  作者: 釧路太郎
日常編

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第二十九話 優しい羽根

 うまなちゃんとイザーちゃんが仲良く話し合っている間にお兄ちゃんをベッドに移動させてやるべきことをやっておくことにしよう。今のうちにいろいろと変えておかないと面倒なことになると思うし、手遅れになる前にちゃんと処置しておかないとね。


 お兄ちゃんを起こさないように慎重にベッドまで運ぶ必要があるんだけど、私一人じゃそんなことが出来るはずもないのでお友達にお願いすることにしよう。こんな時に頼りになるお友達がいるというのは心強いもので、いずれはうまなちゃんとイザーちゃんともお友達になれたらいいなと思う。

 私のお友達の事が気になるのか、それともお兄ちゃんが気になるのかうまなちゃんとイザーちゃんはお話をいったんストップさせて私たちの事を見守ってくれていた。もしかしたら、もうどっちの胸を小さくするのか決めたってことなのかもしれないんだけど、その答えを聞くのはお兄ちゃんを新しくしてからにしようね。


「ねえ、ゆまちゃんのお兄さんを包んでるあの羽って不思議な色をしてるよね?」

「今まで見たことがないけど、あんなに大きいのに肌触りは凄く良さそうだ」

「私は鳥に詳しくないんだけど、カラスの羽とかワシの羽よりも大きいんじゃない?」

「あの羽一つ一つが私たちの腕くらいあるように見えるんだけど、いったい何の羽なんだろうね?」

「あの白でも黒でもグレーでもない不思議な色合いの羽って、どこかで見たことがあるような気がするんだけど思い出せないな」


 うまなちゃんもイザーちゃんもお兄ちゃんを優しく包んでいる羽が何の羽なのか気になっているみたい。この辺ではあまり見かけない堕天使の羽なんだけど二人は見たことがあったりするのかな?

 多分、こことは違う場所で私たちじゃない誰かと一緒にいた時に見たんだろうね。うまなちゃんもイザーちゃんもその事をハッキリとは覚えていないんだろうけれど、かすかにでもそういう記憶って残ってたりするもんだね。

 じゃあ、お兄ちゃんの記憶は完全に書き換えておかないと何があるかわからないってことになるのかな。


「ゆまちゃんのお兄さんが気持ちよさそうに寝てるけど、ゆまちゃんはいったい何をしてるんだろう?」

「頭に手を当てているみたいだけど、それほど力は入っていないように見えるね。何かを囁いているように見えるんだけど、さすがにこの距離じゃ何を言っているのか聞き取ることは出来ないよ」

「だからと言って近付くわけにはいかないし、ココで見守るのが正解かもね」

「私たちに出来ることなんて見守る事しかないんだし、余計なことはせずに終わるのを待ちましょう」


 今おこなっている儀式の邪魔をされなくてよかった。途中で止められてしまったら中途半端に変化させることになっちゃって私の思い通りにお兄ちゃんを変えることが出来なくなっちゃうんだよね。

 今まで何度も余計な邪魔が入ったせいで私の思い通りになってくれなかったんだし、今回は緊急措置で簡易的におこなうからこそ失敗はしたくない。あともう少しでお兄ちゃんの記憶を変えることが出来ると思うし、もうちょっとだけ大人しくしていてね。


 お兄ちゃんをベッドに寝かせて動かないように羽と鎖で固定したまま耳元に優しく語りかける。

 私以外の女に興味を持たないようにするためには仕方ないことだけど、あんまりお兄ちゃんの体と心に負荷をかけたくないというのも私なりの優しさだったりする。それをわかってくれる人は今までいなかったし、これからも現れることはないと思う。それをわかった上で私は一人でも頑張っていくつもりなのだ。


「これで大丈夫だと思うけど、上手くいってなかったとしたらうまなちゃんとイザーちゃんの手を貸してね」

「手を貸すのは構わないんだけど、いったい何をすればいいの?」

「そもそも、ゆまちゃんはいったい何をしていたの?」

「全部を説明するのは時間が足りないんで要約して伝えるけど、お兄ちゃんが他の女とデートしないように釘を刺しておいたんだよ。何もないってのはわかってるんだけど、お兄ちゃんが他の女と遊ぶのも嫌だからね」


「その気持ちはわかるけど、催眠術でもかけたってこと?」

「うーん、催眠術とは違うかな。お兄ちゃんの意識を余計な方向に行かないように変えてあげたってことになるんだけど、それも催眠術って言って良いのかな?」

「ゆまちゃんって、何でも出来るみたいだね」

「私に出来ないことは無いからね。そう言えば、どっちの胸を小さくするか決めたのかな?」


 二人の質問に答えたのだから二人も私の質問に答えてもらいたいと思った。

 でも、そんなに簡単に決められるような話でもないというのは私もわかっているし、短時間で決めろというのも無理な話だという事は理解している。

 それでとしても、私のお願いなんだから聞いてもらいたいという気持ちもある。


「胸を小さくするのか、ウエストを太くするのかってことなんだけど、どっちも難しいって言ったら、ゆまちゃんはどう思うかな?」

「出来れば決めてもらいたかったってのが正直なところだけど、すぐに決めることが出来ないってのも理解は出来るよ。ただ、私のお願いを聞いてもらいたいなって言うのが本音かな」

「それはわかっているんだけど、やっぱり胸を小さくするってのは抵抗があるよね」

「もちろん、ウエストが太くなるって言うのも抵抗はあるけど、どっちかって言うと胸が小さくなるのは困るかも」

「じゃあ、今回は胸もウエストも変えないで上げるよ。その代わり、私のためにお兄ちゃんの考えを正しい方向に導いてね」


「……うん。わかったよ」


 答えるまでに少し間があったのは気になるところではあるけれど、うまなちゃんもイザーちゃんも私の見方でいてくれるというのは間違いないだろう。

 私の事を敵視していないという証拠に、首に巻かれたチョーカーが変化していないんだから。

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