第二十八話 胸を小さくしない代償
チョーカーに手を当てた二人は見つめあったまま固まっていた。私の言葉を理解しようとしているのか何かブツブツと言っているが、何を言っているかまではわからなかった。
二人にその事を問いただしてみても要領を得ない答えが返ってくるだけだった。
「胸の大きさを三センチ小さくするって、そんなことできないでしょ。ゆまちゃんはいったい何を言っているのかな?」
「どうしてできないって決めつけるのかな。それくらい簡単に出来ちゃうんだけど」
私の言葉を聞いたうまなちゃんとイザーちゃんはそれ以上否定することもなく事実を受け入れてくれているようだ。
説得力のある私の言葉を聞いて信じてくれたのは嬉しいし、素直に受け入れてくれるんだったら多少の慈悲は与えてあげても良いのではないかとも考えてしまう。
ただ、そうなると問題なのは、どちらの胸を小さくしてあげるべきなのかという事になる。二人とも良いところも悪いところもあると思うし、どちらか一方だけというのも不公平感が出て申し訳ない気持ちになってしまいそうだ。
でも、本当の事を言うと、私はうまなちゃんでもイザーちゃんでもどっちでもいいんじゃないかと思っている。お兄ちゃんに決めてもらってもいいような気もするんだけど、起きた時には全てリセットしてやり直してもらいたいという思いもあるので私が決めてあげるしかないのかな。
「じゃあ、うまなちゃんとイザーちゃんのどっちが胸を小さくしたいと思っているのかな?」
この質問に答えてくれるのであれば何も問題などないという事になるけれど、当然二人とも自分が胸を小さくしてもいいと答えることは無かった。答えるはずがないというのは重々承知している事であるので気にしてはいないけれど、心のどこかで自分の方が小さい胸にふさわしいと言ってくれるのではないかという期待感はあったりもした。
だからと言って、二人を責めるようなことはしない。年齢的にも二人の胸が再び成長することは望み薄だとわかっているし、そこを責めるのはあまりにも人の心がないと自分でも思ってしまうからだ。
「私は別に自分の胸が小さくなっても何も変わらないと思っているけど、どっちかって言うとイザーちゃんの方が胸を小さくするべきだと思うよ。ゆまちゃんならわかってると思うけど、お兄さんが最初に確認したのってイザーちゃんの胸だったと思うんだ。だからってわけじゃないけど、ゆまちゃんのお兄さんは私よりもイザーちゃんの胸を見ていたってことになると思うよ。私の胸よりもイザーちゃんの胸の方がゆまちゃんのお兄さんの記憶に残ってるだろうから、イザーちゃんの胸の大きさを変えた方が良いんじゃないかなって思うよ。でも、私は別に自分の胸を小さくしてもらっても全然かまわないって事だけは覚えておいてほしいな」
「私も自分の胸が小さくなることに対して文句はないんだけど、ゆまちゃんには一つ聞いて欲しいことがあるんだよ。確かに、私はゆまちゃんのお兄さんの視線をうまなちゃんよりも先に受けたって自覚はあるんだ。でも、それはあくまでも最初に見られたってことにすぎないし、場所的にも私の方がゆまちゃんのお兄さんに近かったんだから見られて当然だと思うんだよね。だからと言って、私がゆまちゃんのお兄さんに対して何かアピールしたってわけではないんだよ。どっちかって言うと、私の事を見ていたゆまちゃんのお兄さんに対してうまなちゃんがアピールをいっぱいしていたと思うだよね。映像で確認してもらえたらハッキリすると思うんだけど、何もしていない私とゆまちゃんのお兄さんに色目を使っていたうまなちゃんだったら、どっちの胸を小さくするべきなのかなって思うよ。もちろん、私の胸を小さくしたいって思ったんだったらそれでもかまわないけどね」
うまなちゃんもイザーちゃんもお互いの悪いところを言おうとしているのに、最終的には自分でもいいという自己犠牲の精神があふれ出ていた。そんなところが二人の魅力だったりするのかなという気持ちになりつつあったけれど、やっぱり仲間を売るという事は良くないことだと思う。
自分を犠牲にするんだったら最初から最後までそれを貫いてほしいという思いは当然あるんだけど、若い二人にそこまで求めるというのは酷な話かもしれない。私だって胸を小さくされるのは嫌だし、自分以外の誰かがその対象に選ばれることで小さくなるという事態を避けられるんだとしたら避けたいに決まっている。
だけど、世の中はそんなに上手くいくことだらけではない。
よし、胸を小さくされなかった方には違う特典を付けてあげることにしよう。
それなら何も文句など出ないだろう。
「二人の気持ちは分かったよ。うまなちゃんもイザーちゃんもお互いの事を大切に思っているってのも伝わってきたからね。そこでもう一つサービスをしてあげようと思うんだけど、それも受け入れてもらえるかな?」
「そのサービスって、教えてもらえるのかな?」
「もちろんだよ。胸を小さくするだけじゃかわいそうだと思うんで、胸の大きさがそのままの方のウエストを十センチ大きくしてあげようかなって思うんだよね」
私が言い終わった時にはうまなちゃんもイザーちゃんも私の手を握って真剣にアピールをしていた。
あまりにも熱い二人の熱量にくらくらしつつも、私はどちらを選ぶべきか真剣に悩むことになるのであった。




