第二十五話 オッパイを見るのは恥ずかしいことではない
最低なお兄ちゃんをきっとうまなちゃんもイザーちゃんも嫌いになったことだろう。私はその事をあらかじめ予想していたので何とか耐えることが出来たけれど、二人にしてみたら最低を超えた最悪な発言だったと思われる。
「もう一度聞かせてほしいんだけど、兄貴ってうまなちゃんとイザーちゃんの何を比べて見分けていたって言うのかな?」
「何回も言うの恥ずかしいんだけど、もう一度言わないとダメなのかな?」
「うん、もう一度行ってもらわないとダメだよ。うまなちゃんもイザーちゃんもちゃんと聞いていなかったみたいだし、もう一回くらい言ってもいいんじゃないかな。それとも、兄貴は嘘をついていたから同じ事を言えないって言うのかな?」
「いや、嘘なんてついていないけど、ちょっと恥ずかしいなって思っただけで。なあ、俺がもう一度言う必要って、本当にあるのか?」
「あるから言ってもらおうとしてるんじゃん。そんな事もわからないなんて、兄貴って頭悪くなったってことなの?」
お兄ちゃんを困らせるのは本望ではないけれど、こんな風に困っているお兄ちゃんの顔を見るのも悪くないものだ。家でもここまで困っている姿を見ることがないのでほんの少しだけ新鮮な気持ちにもなれるし、お兄ちゃんがメガネの女の子と一緒に過ごしていた時に感じていたイライラもちょっとずつ解消されていっているような気もしていた。
でも、お兄ちゃんがゆまに内緒で女の子と出かけていたという罰を清算するのにはもう少し頑張ってもらわないといけない。どんな気持ちでゆまはお兄ちゃんの事を見ていたのか、その気持ちを別の形でもいいのでお兄ちゃんにも味わってもらいたい。お兄ちゃんに嫌われないように、細心の注意を払っておかないとね。
「兄貴はうまなちゃんとイザーちゃんのどこを見て二人の事を見分けていたのか、誰でもわかるようにちゃんと説明してもらってもいいかな?」
「だから、俺はうまなちゃんとイザーちゃんのオッパイとお尻の大きさと足首と手首の太さと指の感じで見分けていたんだよ」
「それって、兄貴はうまなちゃんとイザーちゃんのオッパイをジッと見ていたって事を認めているって受け取って間違いないってことだよね?」
「ジッと見ていたってことはないんだけど。どっちかって言うと、見分けていた本命は手足の方なんだよね。だから、そこまでオッパイとお尻は見てないというか何というか」
「そう言う言い訳は別にいいよ。うまなちゃんもイザーちゃんもスリーサイズは同じで服だけじゃなく下着もサイズは同じだって言ってるんだよ。さっき測ってきてもらったけど、誤差なんてほとんどないくらい同じだったんだよね。普通のメジャーでは測れないような物凄く小さな誤差を見分けることが出来るってことは、兄貴はうまなちゃんとイザーちゃんの体をジッと見てたって証拠になるんじゃないかな?」
「そう言われても困るよ。実際に俺がそこまで見ていたかどうかは二人が一番よくわかってると思うけど、どうなのかな?」
「そんな風に被害者を追い詰めるのは良くないと思うよ。兄貴がジッと見ていたって証言しにくい環境を作ろうとするのはやめてよね。二人とも委縮して何も言えなくなっちゃってるじゃない。これ以上罪を重ねるのは本当に良くないことだよ。兄貴にはそんなことしてほしくないよ」
先ほどうまなちゃんとイザーちゃんのスリーサイズを測った時に少し話したのだけど、二人とも子供じゃないんでお兄ちゃんに見られることはそこまで気にしていないという事だった。お兄ちゃんくらいの年頃の男の子が自分の体に興味を持ってくれない方が心配だとも言っていたけど、見た感じでは子供であるはずの私とそこまでスタイルに違いは無いんじゃないかと思ってしまう。
何だったら、これからまだ成長する余地のある私の方がお兄ちゃんに興味を持ってもらえるんじゃないかと思う。妹であるというハンデはあるものの、きっとお兄ちゃんはうまなちゃんとイザーちゃんよりも私の事を女として見てくれるようになるだろう。
そんな事は口が裂けても言えやしないが、お兄ちゃんもきっとそう思っているに違いない。
だからこそ、ここでうまなちゃんとイザーちゃんにはお兄ちゃんの事を嫌いになってもらう必要がある。もう一度、お兄ちゃんの口から二人のどこを見ていたのかハッキリと言ってもらうという事が重要なのだ。
「兄貴が見惚れちゃうくらいうまなちゃんもイザーちゃんも綺麗な人だとは思うけど、女性の体をそんな風にジロジロと見て比べるのは良くないと思うよ。オッパイとかお尻とか性的な部分ばっかり見るのって良くないと思う。でも、兄貴も年頃の男の子なんだから仕方ないなって思うところはあるよ。だけどさ、物事には限度ってものがあるんじゃないかな。兄貴の視線ってねっとりしてそうで二人がかわいそうだよ」
「いや、だから何度も言っているけど、オッパイとお尻は見比べるのにそこまで重要な部分じゃなくて、どっちかって言うと手足の方が重要なんだって。ねえ、俺の話も聞いてよ」
お兄ちゃんが何と言おうと私もうまなちゃんもイザーちゃんも考え方は変わらない。
どうしてなのかわからないけれど、うまなちゃんもイザーちゃんも私の作戦に全面的に協力してくれているのであった。




