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普通の妹がお兄ちゃんを改造してみた。  作者: 釧路太郎


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第十七話 二人目のクマさん

 開ける前からわかっていたことだけど、お兄ちゃんが買ってきてくれたのは私のお気に入りのクマさんだった。今でも毎日一緒に寝ているくらいお気に入りのクマさんなんだけど、お兄ちゃんはその事を知らないはずだ。

 知らないからこそ、あの時の私の事を思い出して同じクマさんをプレゼントしてくれたんだと思う。

 ちょっとだけ色は違うけど、新しいクマさんが私のところにやってきてくれたことを嬉しく感じ、今晩からどのような感じで三人で一緒に寝ようか楽しみになっていた。

 でも、そんな事を考えているなんてお兄ちゃんにバレたら面倒なことになりそうなので気付かれないようにしよう。

 その方が、二人のためにもいいんだと思う。


「もしかしてだけど、これを買いに出かけてたの?」(メガネの女の子は関係なかったってこと?)

「ほかにも用事はあったんだけど、一番の目的はそうだね。ゆまが喜んでくれるんじゃないかと思って買いに行ったんだよ」

「そんな事のために昨日の夜から気持ち悪いくらいにソワソワしてたってこと?」(でも、私の事を考えてあんな風にしてたんだとしたら、ちょっと可愛いって思えちゃうかも)

「気持ち悪いかはわからないけど、ゆまがそう感じたんだったらそうかもしれないね」

「まあ、一応お礼は言っておくけど、もうちょっと今の私にふさわしいモノの方が嬉しかったかも」(嘘だよ。このクマさんを好きだってお兄ちゃんが覚えていてくれたことが嬉しいんだからね)

「そうだよな。今のゆまにふさわしいモノの方が良かったよな。でも、そう言うのはゆまが一緒じゃないとわからないし、いつか一緒に買い物に行ったときにしようよ」

「そんなの私と一緒じゃなくても兄貴が良いって思ったものでいいんじゃないかな。余程変な物じゃない限り気持ち悪いとか思わないし」(だって、お兄ちゃんと一緒に買い物したら冷静な私じゃいられないよ。そんな姿をクラスの誰かに見られたら困るし、お兄ちゃんの事を紹介してとか言われたらなんて言って断ればいいのかわかない。でも、その時は適当にまさ先輩でも紹介しておけばいいでしょ。あの人は顔と一見さんに対して性格だけは良いから問題ないでしょ)


 今すぐにでも自分の部屋に帰ってクマさんに新しいお友達がやってきたよ。それも、お兄ちゃんが選んで連れてきてくれたんだよって報告しに行きたい。今すぐにでも報告に行きたいっていうのに、お兄ちゃんはまだ私に用事があるみたいだ。

 これ以上何かサプライズがあったとしたら、今みたいに冷静でいられる自信が無いよ。


「そう言えば、帰る前にまさ先輩と会ったんだけど、ゆまと三人で遊びたいって言ってたよ」

「え、まさ先輩がそんなこと言ってたの?」

「うん、久しぶりに三人で遊びたいんだって。小さい時みたいに公園で遊ぶとかじゃないと思うんだけど、ゆまは大丈夫かな?」

「うーん、大丈夫じゃないかな。遊ぶのは別にいいんだけど、いつどこで何をするのか決めてもらわないと返事は出来ないかも。ちなみになんだけど、兄貴は何かしたいことあるの?」

「これと言って三人でしたいことは特にないんだけど、ゆまは何かあるかな?」

「誘われた側の私が決めるのも変だと思うけど、最近気になってるのは山の中にある廃病院くらいかな。あそこって、夜に行ったら何か出るって噂があるからね。気になってるのはそれくらいかも」


 心霊スポットをあえて挙げることでお兄ちゃんはこの話を無かったことにすると私は考えた。

 現に、お兄ちゃんはちょっと嫌そうな表情を浮かべているし、何と言って断ろうか考えている事だろう。お兄ちゃんは心霊系の話も好きだしホラー映画とかも一人で見ているのを知っている。

 でも、実際に心霊スポットに行くのは嫌なはずだ。

 ちょっと前に夜中の廊下で話しかけた時に物凄く驚いていたのを覚えているし、絶対に断ると信じている。

 三人で遊ぶよりもお兄ちゃんと二人で遊びたいし、まさ先輩と遊んでも楽しくなんてないのは火を見るよりも明らかなのだから。


「廃病院か、あそこは霊感の無い人でも何かを感じるらしいからね。そんなところにゆまを連れて行くのはどうかと思うんだけど、そこまでゆまが行きたいって言うんだったら聞いてみることにするよ」

「聞いてみるって、まさ先輩に?」

「まさ先輩にもだけど、あの廃病院を管理しているオーナーの人に中に入っても良いか確認しないとね。無断で入るのは良くないと思うから」

「え、あの廃病院のオーナーって、どういうこと?」

「俺のネットゲーム友達に凄いお金持ちの人がいて、心霊スポットを買う事業をおこなっているんだよ。この街だけじゃなく、日本のあちこちにある管理されていない心霊スポットを買い取って保全しているんだってさ。実際に会ったことがないんでどんな人かはわからないけど、あの廃病院も最近買ったみたいなことを言ってたと思うからね。」


 ネットゲーム友達って何の話だ?

 お兄ちゃんがそんな事をしている姿なんて一度も見たことがないよ。

 ましてや、偶然にしてもそんな人と知り合う事なんてあるんだろうか?

 もしかしたら、偶然ではなく何か仕組まれたりしてはいないだろうか?


「あ、連絡してみたらすぐに返事が返ってきたよ。中に入るのは構わないけど、未成年の子たちだけなら夜は駄目だって。ちなみになんだけど、再来週の土曜日だったらこっちに来る用事があるから廃病院まで連れて行ってくれるって」

「あ、そうなんだ。でも、大丈夫なのかな?」

「大丈夫だと思うよ。優しくて綺麗な人だし、ゆまとも仲良くなれるんじゃないかな?」

「優しくて、綺麗な人?」

「もしかしたら、そういう風になるフィルターがかかっているのかもしれないけどね」


 私の知らないお兄ちゃんの話が急に出てきてどうしようか悩んでいた。

 自分で言った手前、もう後に引くことは出来ないのかもしれないけど、その女がどんな人なのか確かめる必要がある。

 私には、お兄ちゃんに変な虫がつかないように見守る義務があるんだから。

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