表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
普通の妹がお兄ちゃんを改造してみた。  作者: 釧路太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/22

第十五話 足が臭いのはちょっと

 偶然を装って二人の前に現れたまさ先輩だったが、二人が不審に思わないか少しだけ不安もあった。

 だが、その不安は的中することはなかった。


「あれ、こんなところで会うなんて偶然だね。まー君と愛華ちゃんは一緒に買い物でもしてたの?」

「一緒に買い物なんてしてないですよ。たまたま同じお店にいて出るタイミングが一緒だっただけです。ね、そうだよねまー君?」

「あ、そうだね。こんなところで会うなんて偶然だね。愛華ちゃんがいたことにも今気が付いたよ」


 あまりにも白々しい嘘ではあったが、まー君なりに空気を読んだ結果だと思うのでまさ先輩はそれについて何も言うことはしなかった。完全に嘘だとわかるような事を言ってしまったまー君の事を愛華は憎みそうになってしまったが、まさ先輩が嘘だとは思っていないようだったので憎むという事はなかった。


「俺もたまたま買い物に来てたんだけど、二人はこれからどこかに行く予定はあるのかな?」

「私は別に予定はないですよ。買い物しようかなって思ってただけで、これから先の予定は何にもなかったです。まー君は今すぐにでも家に帰って家族で過ごすのかな?」

「いや、俺も別に予定は……あったような気がしてきたかも。妹が一人で留守番しているから早めに帰ろうかな」

「まー君の家でゆまちゃんが一人で留守番しているのか。でも、ゆまちゃんももう子供じゃないんだから留守番くらい平気じゃないかな。何だったら、ゆまちゃんも呼んで四人で遊ぶ?」

「四人じゃなくてもいいと思いますよ。ゆまちゃんは色々と忙しいみたいだし、まー君はそれを手伝わないといけないって昨日学校で言っていたような気がするんですよ。妹思いの優しいお兄ちゃんだなって友達と話をしていたくらいだし、まー君は今すぐにでも家に帰ってゆまちゃんと何かしないといけないんじゃないですかね。ほら、見てください。まー君が時間を気にしているのが何よりの証拠ですよ」

「そうなの?」

「まあ、そういうのもあったような気がします」

「じゃあ、俺もまー君と一緒にゆまちゃんの事を手伝おうか?」


 愛華の表情には今まで見せたことが無いほどの絶望が浮かび上がっていた。

 もちろん、モニター越しに見ていたゆまの顔にも絶望の文字がはっきりと浮かんでいたのであろう。愛華とは違い、ゆまはまさ先輩の事を完全に憎らしく思ってしまった。

 だが、それもまさ先輩の作戦であるとその時のゆまは知る由もなかった。


「ゆまもまさ先輩に手伝ってもらった方が効率的に進んで嬉しいって思うかもしれないですけど、さすがに休みの日にまさ先輩の貴重な時間を使って手伝ってもらうわけにはいかないですよ。それに、ゆまの手伝いなら俺一人でも十分ですからね。俺が手伝う必要もないくらいにゆまは優秀ですから」

「だろうね。まー君ならそう言うと思っていたよ。じゃあ、俺はその辺のカフェにでも寄っていくことにするよ」

「それなら、私も一緒についていきます。ちょうど喉が渇いてきたなって思っていたところなんで」

「別に構わないけど、愛華ちゃんは何か用事とかあったりしないの?」

「ああ、全然大丈夫です。何か用事があったような気もするんですけど、どうとでもなるようなどうでもいい事だったと思うので。カフェに行くんだったら、あっちの方にちょうどいい喫茶店があるんでそこに行きましょうよ?」


 愛華にはこの後用事があると聞かされていたまー君は少しだけ考えてしまったが、あまり深く考えてもいい事なんて何もないとわかっているので考えることはやめた。

 家に帰ってゆまの手伝いをするとしても、ゆまが何をしているのか一切わかっていないので何をすることも出来ないかもしれないと思っていた。

 邪魔にさえならなければいいんじゃないかと考えながら、まー君は一人家路へと急いだ。


 お兄ちゃんが一人になった時点でこれ以上監視をする必要が無くなってしまったわけだが、ゆまの監視は終わることが無かった。

 もしかしたら、あの場所から家に着くまでの間に余計なことをする人がいるかもしれない。

 そう考えてしまうと、お兄ちゃんを見守る必然性が生まれてしまうのだ。


 結果的に、お兄ちゃんは飲み物を買った時に店員さんと話をしたくらいで余計なことに巻き込まれることはなかった。

 さすがに家に着いた時点でドローンは回収することにしたのだけど、最後までお兄ちゃんは気付いていないようだ。普通は気付くはずが無いんだけど、途中で何度かカメラをジッと見ているように見えたのは偶然だったのだろう。

 お兄ちゃんの足音が自分の部屋の前で止まったと同時にモニターを切り替えて昨日の夜に終わらせていたレポートをやっているふりをした。


「ただいま。ゆまは今忙しい?」

「別に忙しくはないよ。さっきレポート終わって見直ししていたところだし」

「そうなんだ。じゃあさ、お土産買ってきたんでリビングに行かない?」

「お土産か。お土産次第になるけど、変な物じゃなかったらリビングじゃなくてゆまの部屋でもいいけど」

「変な物じゃないと思うけど、ゆまはリビングの方が良いんじゃない?」

「何で?」

「だってさ、前にゆまがお父さんに対して部屋に入るなって言ってたから。俺もゆまの部屋に入らない方が良いのかなって思って」

「別に兄貴は入ってもいいけど。お父さんは足が臭かったから入ってほしくなかっただけだし」

「そう言う理由ね。でも、俺もたくさん歩いて汗をかいちゃったし、足が臭かったら困るからリビングにしようか。飲み物も買ってきたし」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ