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新米探偵助手は読者の推理が頼りです!  作者: マフィン


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犯人はあなただ!岩倉さん!エピローグ

 私は気づいたら病室のベッドの上に横たわっていた。ベッドのそばの椅子にはようやくお目にかかることができた探偵本人が腰掛けていた。どうやらあの後私は気を失ってしまったが、探偵がすぐにインターポールをホテルの会場に向かわせてくれたおかげで一命を取り留めることができたようだ。


 「まだ起き上がらない方がいい。ゆっくりしていなさい」


 探偵は起きあがろうとする私を制止した。


 「それで、何があった?」


 私はあの場で起きたことを事細かに探偵に説明した。だが私の記憶はまだぼんやりとしていて、説明にはかなり苦労した。まぁ私の説明を聞いている探偵の方がもっと苦労したであろうが。


 そんな記憶な曖昧な私の脳裏でも頭を撃ち抜かれた谷川の姿だけははっきりと焼きついている。もちろん、あんな状態の遺体を見るのは初めてで、少しトラウマになっているのは事実だ。だがそれと同時に、私はもう一つ脳裏に焼きついている記憶の中で恐怖を覚えるものがあった。それが谷川についた弾痕だ。


 おでこの真ん中にくっきりとついていたのだ。あんなに正確に彼女の頭を撃ち抜くことができるのは、プロの仕業に違いない。そしてそんなプロの腕前を持つ人間が少なくともあの宴会場の自分たちのすぐ近くにいたと思うと、恐怖が全身を凍り付かせた。


 「それで、君はどう思う?」


 「どういう意味ですか?」


 探偵の質問の意図がわからなかった。


 「私はあの場にいなかった。だがしかし君はあの場でいろんな人物を見てきたはずだ。今回の結果を踏まえて君が思うこの事件の顛末を聞きたい」


 探偵はそう言うと、顔をしたにむけた。


 「結局私は産業スパイを捕まえることはできなかった。だからこそ今度こそはやつを逃がすわけにはいかないんだ!」


 探偵の熱意は痛いほど伝わってくる。もしかしたら、今回の結末の責任を感じているのかもしれない。


 だが、私が答えられることもない。結局今回の事件の推理も大まかには外してしまった。確かに青柳に手をかけたのは来栖だったが、それが産業スパイの仕業ではなく、やつは別で行動を起こしていた。


 「そういえば他の皆さんは?」


 私が急に病室にも関わらず声を上げると、探偵は暗い顔を浮かべた。


 「谷川さんはもちろん、死亡が確認された。君の想像通り、即死だったそうだ」


 「なら他の皆さんは?」


 私自身がこうして生きているのだから、岩倉と来栖は生きていると信じていた。だがしかし、現実はそううまくはいかないようだ。


 「岩倉と来栖は二人ともさっき死亡が確認された。死因は中毒反応らしい」


 その時、私はふとあのガスが漏れたあの音を思い出した。やはりあれは何かのガスだったに違いない。だとしたらどうして私だけ・・・。


 それは探偵も同じことを考えているに違いない。


 「それで、高瀬さんは?」


 あの時はお腹を撃たれて血まみれになっていた。それに無傷だった二人が助からなかったのなら、彼も同じ運命を辿ったのであろうと思った。


 「実は・・・」


 どうやら違うようだ。


 「高瀬さんは行方不明なんだ。インターポールが現場をくまなく探したが、遺体も見つからなかったそうだ」


 私はその時ふと、ある違和感を思い出した。


 「何か気がついたことでも?」


 探偵にも表情でバレてしまったようだ。私は頭の整理がつかないまま話を進めた。


 「よくわからないのですが、プロの方が狙撃をするときって相手の右と左、どちらを撃ちますか?」


 探偵は考えた。


 「私も銃を使ったことがないからわからないが、もし命を狙うなら心臓を狙うから我々から見て、右側を狙うだろうなぁ」


 「私もそう思うのですが、彼は我々から見て左側のお腹を押さえていたんです」


 「なるほど?もっと詳しく話してくれないか?」


 私の発言に興味を示した探偵に、私は最後の推理を披露した。


 「谷川さんの遺体には銃が握られていました。よって高瀬さんを撃ったのは状況証拠から見て、谷川さんである可能性が高いと考えています。ですが、彼女は来栖さんがナイフを持って大暴れをした際にまるでプロの身のこなしで彼女を制圧しているところを見るに、彼女はこの道のプロだと思ったんです。そんな人間がわざわざ威嚇射撃だとしても左の脇腹を狙うでしょうか?」


 すると探偵が腕を組みながらそれについての返答をした。


 「まぁ銃の扱いはかなり難しいと聞く。だから咄嗟の判断でそういう変なところを撃ってしまう可能性はあるかもしれない」


 だとしてもやはりそこは納得がいかなかった。


 「それでまだ私の質問に答えてくれていないな」


 そう、私がどう思うかということだ。私は思う通りのことを探偵に話すことにした。


 「私には、何も分かりません。期待に沿う回答ができず、申し訳ございません」


 正直、今の情報量ではどうとでも言えてしまうと思った。だからこそ、先入観に頼ることなく、ここはわからないと思うことが正解なんだと思った。すると、探偵がため息をつきながら、笑顔をこちらに向けた。


 「まぁ期待に沿ってはいないが、沿っているとも言えるな。君は今回の事件で探偵をする上で多くのことを学んでくれたと思っている。それに他の者たちには申し訳ないが君だけでもこうして生きて戻ってきてくれて私は本当に嬉しく思っている」


 そして探偵は右手を前に出してきた。


 「ぜひまた、今度は一緒に事件を解決してはくれないか?」


 正直そう言ってくれたことは純粋に嬉しかった。だが・・・。


 「それもご期待に沿える回答ができないかもしれないです」


 それから数ヶ月後。今回の騒動で株式会社エナジーヘルスは大打撃を受け、最終的に倒産してしまった。何せあのプロジェクトに関わった関係者のうち青柳以外の全員が死亡、もしくは行方不明となってしまっては当然なのかもしれない。


 生き残った青柳にもあの後会う機会があったが、あの時の覇気のようなものは一切無くなってしまい、憔悴しきっていた。


 私の私生活としては、結局探偵事務所で働いてはいるものの、お茶出しや事務の仕事のみを行なっている。


 時々・・・いやしつこく探偵には、また事件捜査をやりたくなったかと聞かれるが、申し訳ないが一生かかっても期待に沿う回答は出来なさそうだ。


 それにしてもやはりなぜあの場にいた中で私だけが生き残ったのか、いまだに謎だ。それについては捜査してみたいかもしれない。

お読みいただきありがとうございます。ぜひ評価、ブックマーク、感想をしていただけるとかなり励みになります。

よろしくお願いします。


第1話→https://ncode.syosetu.com/n1110mi/1


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