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新米探偵助手は読者の推理が頼りです!  作者: マフィン


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犯人はあなただ!谷川さん!その4

 私は探偵から送られてきた青柳さんの血液検査の結果を見ていた。ここからどのように話を進めていこうか、少し考える時間が必要そうだ。しかし、スマホ画面を眺める私を他の容疑者たちが、その情報を知りたいという羨望の眼差しでこちらを見ている。


 「あの、何かあったのでしょうか?」


 よほど私が難しい顔をしていたのだろうが、それは自分でも容易に想像できた。まぁどんなないようであれ、これは彼らにも知る権利がある。私はひとまず、検査結果を伝えることにした。


 「実は、青柳さんの血液検査の結果が出ました」


 その瞬間、全員の羨望の眼差しが、各々の胸中の表情に変わった。私はそのまま結果を伝えるためにもう一度、スマホの画面を確認した。


 「彼女は睡眠薬を過剰に摂取していたとのことです」


 「睡眠薬?ということは青柳さんがそんなものを持っていたってことですか?」


 来栖は驚きを隠せず、つい言葉に出してしまったようだ。それほど、彼女に睡眠薬のイメージを持つことができなかったのだろうか。


 「ええ、昨日谷川さんが忘れ物を取りに行った際に、そのピンクのポーチにラムネのようなものが入っていたという証言がありました。恐らく、それが睡眠薬だったのでしょう」


 「じゃあ、青柳さんは睡眠薬の用法を間違えただけってことですか?」


 岩倉の一言を聞いて私は、少し焦りを感じていた。こうなると、青柳さんの事件は単なる事故で片付いてしまう可能性がある。だが、そうではない。


 しかし、彼らはそうは思ってくれなさそうだ。


 「でしたら、もう答えは出たのでは?それこそ、そのパナケイアに睡眠薬が入っていたってことじゃないんですか?」


 高瀬は空のグラスを指差しながら訴えた。


 「であるならば、今度は岩倉さんが、試しに飲んでもらったあの時に、青柳さんと同じ状況にならなければおかしいですよね?ですがそうはならなかった。それはなぜだか分かりますか?」


 私は焦る気持ちに身を任せて、彼に反論をしてしまった。だが、それは悪手だったとすぐに気がついた。とはいえその時にはすでに口から言葉が発せられていた。


 「知りませんよ。私がすり替えていたわけではないんですから」


 高瀬は半ば逆ギレ状態でこちらに言い放ってきた。私は彼と同じく、感情に身を任せて売り言葉に買い言葉で、会話のラリーを返してしまった。


 「彼女なんですよ!パナケイアを麦茶とすり替えたのは!」


 私がその発言をした瞬間に、一気に沈黙が流れた。だがこれが私が出した結論だった。当の谷川も困惑の表情を浮かべている。私はひとまず彼らを納得させるための理論を瞬時に組み立てた。


 「最後に青柳さんが飲んだパナケイアを触ったのは谷川さんです。そに事実を踏まえた私も皆さんもパナケイアがすり替えられているのなら、それを実行したのは彼女だと考えたのではないでしょうか?」


 そこに関しては、あそこまで推理ショーに参加した岩倉を含めて、全員が言い逃れできないと思っている。


 「そこで、もし彼女が犯人だった場合、今ここにあるパナケイアは猛毒入り、もしくは睡眠薬入りになっているはず。ですがそれはどちらも違うことを岩倉さんが先ほど飲んで証明していただきました。ということはその時点で青柳さんへの犯行について谷川さんの無実が証明されたということです」


 私が全てを言い終えた時、全員が首を傾げた。この事実は間違いない自信がある。この事件において重要なパナケイアのすり替えを行ったのは間違いなく彼女なのだ。彼女が善悪関係なく、この事件に関与していることは間違いなかった。


 「そうなんだとしたら、一体なんのために彼女はパナケイアをすり替えたんですか?」


 「それは私にも・・・」


 岩倉の質問に私はとうとう返答することができなかった。


 すると、今までの一部始終を見ていたかのように、探偵の声が突然、宴会場の空気を揺らした。


 「谷川さん、ぜひ皆さんにお話しして差し上げたらいかがでしょうか?」


 彼らの視線は私から、空中を介して谷川へと注がれた。谷川がついた小さいため息は、探偵の申し出を受け入れる覚悟ができたように見えた。


 「分かりました」


 そして、谷川は自分の行動の説明を始めた。


 「実は、青柳さんの忘れ物を会社へ取りに行った時に、高瀬さんのコンピュータを勝手ながら拝見させていただきました」


 序盤から特大の爆弾を投下してきた。


 「一体どうして・・・」


 高瀬ではなく、なぜか岩倉がつぶやいた。一方の高瀬はただ谷川を黙って睨みつけている。だが、そんなことはお構いなしに、谷川は話を続けた。


 「そこでこんなデータを見つけました」


 そういうと、谷川はスライドを投影しているパソコンを操作した。すると、スクリーンには恐らく、メールの送受信の履歴のようなものが映し出されている。


 「これは高瀬さんのメールの送信履歴です。内容はパナケイアの製造方法や、猛毒化に関する実験データ、さらにはパナケイアをガス状の猛毒にするための研究データが送信されていました」


 「なんだ・・・これは・・・」


 岩倉は開いた口が塞がらない様子だ。谷川はさらに説明を続ける。


 「さらに深掘りしていったら、どうやらこのホテルのどこかにそのガスを噴射させる装置まで隠しているという内容のメールまで見つかっています。送信先までは分かりませんでしたが、どうやら今日このイベントにおいてその装置を稼働させて、その様子を彼のクライアントにも見てもらう予定のようです」


 スクリーンには、それをクライアントに伝えているであろうやり取りのメールが表示されていた。


 私はその時、ふとこの会場の後方にあった不自然なパーテーションを思い出した。もしかしたら、あそこにその怪しい装置が隠されているのだろうか?


 私はゆっくりとこの会場の後方へと向かうための準備を始めた。


 すると、突然岩倉が大声を上げた。


 「高瀬さん。谷川さんが言ったことは全部本当なのか?」


 怒り慣れていないのであろう岩倉の怒号が宴会場に響き渡った。だが、それはすぐに高瀬の笑い声でかき消えた。

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よろしくお願いします。


第1話→https://ncode.syosetu.com/n1110mi/1


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