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新米探偵助手は読者の推理が頼りです!  作者: マフィン


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犯人はあなただ!高瀬さん!その4

 宴会場は静かなどよめきが漂っていた。


 「つまり青柳さんがそんな睡眠薬なんてものを持っていたということですか?」


 確かに私も彼女が睡眠薬を持ち歩いているイメージは湧かなかった。だが、それも証言や私の捜査メモのおかげで、その事実をかろうじて受け入れることはできた。これぞ先入観から逸脱した考えができた例なのだろうか?


 私はその考えを来栖に共有した。


 「ええ、昨日谷川さんが忘れ物を取りに行った際に、そのピンクのポーチにラムネのようなものが入っていたという証言がありました。恐らく、それが睡眠薬だったのでしょう」


 私がそういうと、谷川も軽く頷いていた。


 するともう一人その真実に動揺を隠しきれていなかった岩倉もつぶやいた。


 「じゃあ、青柳さんは睡眠薬の用法を間違えたってことですか?」


 岩倉にとってもよほど衝撃のだったのか、目が見開いたまま、瞬きを忘れてしまっていた。だが、そんな中で一人だけ、勝ち誇ったドヤ顔でこちらを見ている人間がいた。


 「探偵さん、これでお分かりいただけましたか?」


 明らかに高瀬は私を挑発している。だが、その挑発に乗ってはいけないし、私からしたらこの事実はむしろ、もう一つの可能性を排除できたことにより、この事件の真相への確信が持てるものとなった。


 「大変失礼いたしました」


 高瀬は私の第一声を聞いて、満足そうな笑みを浮かべている。だがしかし、私の話はまだ終わってはいない。


 「どうやらこれであなたは殺人未遂ではなく、殺人予備罪ということになりましたね」


 高瀬から笑みが消えた。それどころか、彼の顔はまるで般若のように恐ろしい形相へと変わった。


 「まだ、何かあるのですか?」


 声のトーンも先ほどとは比べ物にならないほど、落ちている。だが、私には決断と確信があった。


 「ええ、確かにパナケイアはあなたが用意したものから麦茶にすり替えられていました。それは岩倉さんが飲んでいただいたので、ご存知だと思います」


 「そうですね。それこそそこに睡眠薬が入っていたと普通は考えるのではないでしょうか?」


 高瀬は淡々と私の言葉に被せて反論をした。

 

 「であるならば、今度は岩倉さんが青柳さんと同じ状況になる可能性があると思いませんか?」


 すると、高瀬の顔に呆れた笑いが浮かび上がった。


 「知りませんよ!私がすり替えていたわけではないんですから」


 確かに、私も高瀬がパナケイアをすり替えたとは考えていなかった。


 「それより私は探偵さんが先ほどからおっしゃっていることほど、岩倉さんにも当てはまることだと思うのですが?」


 また彼は何かを閃いたようだ。


 「高瀬さん?」

 

 再び飛んできた疑いの流れ弾に巻き込まれ、岩倉は動揺を隠しきれない。


 「それはどういうことですか?」


 私は平静を装って、彼の話を聞くことにした。


 「なぜなら、岩倉さんだって薬の知識はありますからね。それこそ私よりもあるのですから、パナケイアを改変してしまうことだって容易なはずですよね?」


 高瀬はそう言いながら、岩倉を見た。しかし、それに対して返答したのは私だった。

 

 「ええ、ですが今あなたがおっしゃったことを岩倉さんがしていないと言える理由があるんですよ」


 「理由?」


 またしても高瀬から余裕の表情は消えていった。私は間髪入れずに話を続けた。


 「それは先ほど私が、パナケイアをすり替えられていたという話をした時に、私はあえて岩倉さんに飲むように頼みました。そして彼は多少の躊躇はあったものの、前日に確認をしている事実を信じて、茶色くなっているパナケイアを飲んだんです」


 「・・・だったら、なんだって言うのですか?あれを仮に私に勧めていれば、私だって飲んでいましたよ。そんな今更再現できないことを後出しで言われても・・・」


 その時、久しぶりに彼の声が聞こえてきた。


 「でしたら、飲んでいただけますか?」


 「はい?」


 高瀬の顔から血の気が引いていくのを感じた。


 声の主は探偵だった。突然聞こえてきた声にたとえ彼の声だったとわかっていても、心霊現象を疑って、恐怖心が掻き立てられてしまった。


 だが、そんなこともお構いなしに、追求のバトンタッチが行われた。


 「実はすり替えられていたパナケイアが見つかっているんです」


 高瀬はただ声に対して空を見ているだけだった。


 「谷川さん!」


 探偵はなぜか谷川に指示を出した。すると谷川が袖からパナケイアと思われる茶色い液体が入ったグラスをローラーがついているテーブルに載せて現れた。それこそ、さっきのイベントの時のようだが、その時より彼女は落ち着いた雰囲気で運んでいる。


 「谷川さん?一体どうして?」


 岩倉も私と同じ理由で混乱している。するとその返答が再び、探偵の声から発せられた。


 「彼女なんですよ。パナケイアを麦茶とすり替えたのは」


 「彼女が?一体なんのために?」


 岩倉は今までで一番大きな声を出した。しかし、彼女も探偵も岩倉の質問に触れることはなかった。私はひとまず黙って見守ることにした。


 「高瀬さん。そこに置いてあるのが、すり替えられる前のパナケイアです。もし、あなたが本当にお三方の打ち合わせで飲み交わしたものと同じものを用意しているのであれば、問題なく飲んでいただけると思いますので、ぜひ今ここで飲んでいただけませんか?」


 探偵の声がそう響き渡ると、高瀬は目の前に置かれた茶色く染色されているグラスを眺めていた。その様子を岩倉は少し離れたところから心配そうに見つめている。


 「高瀬さん。さぁぜひこれを飲んで、疑いを晴らしてください」


 岩倉にそう言われながらも、高瀬はそのグラスを飲むことはなかった。

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よろしくお願いします。


第1話→https://ncode.syosetu.com/n1110mi/1


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