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新米探偵助手は読者の推理が頼りです!  作者: マフィン


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犯人はあなただ!岩倉さん!その3

 私が言い出した一言によって、会場にいる全員の視線が、まるで私の次の発言にたいして、恐怖に近い表情を浮かべている。


 「今度は何を言い出すんですか?」


 当事者の岩倉は憤りを通り越して呆れに近い感情をあらわにしている。だが、私は迷う事なく、持論を展開させた。


 「あなたと来栖さんは、大学の先輩後輩の関係です。なら、あなたも少なからずパナケイアのことをご存知だったとしても不思議ではないのではないでしょうか?」


 「ええ、多少は彼女から相談は受けていましたから、この会社の中ではパナケイアについては彼女の次に知識を持っているのは事実です」


 岩倉はどうにか自分の気持ちを抑え込みながら、冷静に答えてくれていた。だが、私はそんな彼の感情を揺さぶることしか今は言うことができない。


 「であるならば、あなたの薬学部を卒業されたその知識を持っていれば、パナケイアを自由自在に変えることだってできたというわけですね?」


 「だから何をおっしゃりたいのですか?」


 岩倉の感情が爆発した。彼の怒鳴り声は広い宴会場の壁に何度も打ち付けられ、あらゆる角度から、空気を震えさせていた。


 だが、ここからは私も容赦をするつもりはなかった。


 「彼女が開発メンバーから去った後、あなたが新たにヘッドハンティングしたのは薬学部を卒業したその道の専門家ではなく、薬学の知識を少しだけ持ち合わせたコンサルタントの高瀬さんでした」


 「ええ、そのタイミングでは製品の開発はひと段落していましたから、商品のプロモーションを視野に人選しただけのことです」


 岩倉は勢いよく反論した。


 「もしくはその逆では?」


 「はい?」


 岩倉は開いた口を閉じることに苦戦していた。


 「馬鹿馬鹿しい。いい加減にしていただけますか?」


 だがしかし、私の話は別の人間が、興味を持ったようだった。


 「それはどういうことですか?」


 「来栖さんまで・・・この人のことを信じるのですか?」


 だが、来栖の耳に彼の声は届いていない様子だった。私は来栖に向けて、説明を続けた。


 「岩倉さんはこのパナケイアという商品は金になると考えた。だが、しかしこのまま売れても名声を得るのは、会社と第一人者である来栖さんだけ。たとえ給料が上がったとしても、プロジェクトを引き継いで、販売までにこぎつける事ができた努力に比べれば微々たるもの。そこであなたは、このパナケイアを企業や来栖さん、あなたから横取りして独り占めしようと考えた」


 「岩倉さん・・・」


 私の説明に対して、反応がなかった岩倉に対して、来栖は疑いの目を向けた。


 「ちょっと待ってくださいよ!それは流石に推理が飛躍しすぎではありませんか?」


 岩倉の顔には笑みが浮かんでいた。呆れた感情が最大に溢れてしまっているのだろう。


 「まだ終わっていません」


 私はそんな岩倉を突っぱねた。岩倉は手をこちらに差し出して、話を続けるよう促した。彼は頭の中でどう反論しようか考え、ほとんど固まっているのだろう。


 私の説明を来栖が待っている。


 「パナケイアは完成する矢先に致命的な欠陥が発覚したそうですねぇ。ですが、それが岩倉さんの演出だとしたら・・・?」


 「パナケイアの欠陥をでっち上げて第一人者の来栖さんを追い出したって事ですか?」


 岩倉が噛み砕いてくれた。


 「ですが、もし万が一に開発に問題が起きた時のために、いつでもすぐに対応できるように、彼女は退職させず、広報として会社に留まらせるように上に掛け合った。すでに大金をはたいているプロジェクトがどうにか進められるのなら、渋々でも上層部は承諾せざるおえなかったのでしょう。その穴埋めとしてある程度の知識を持った高瀬さんをヘッドハンティングすることにより、来栖さんを含めた他の技術者に近寄らせる隙を与えなかった」


 すると私の説明に便乗する形で来栖が岩倉の前に立ち塞がった。


 「そして今日、青柳さんに薬を盛って、パナケイアのマイナスプロモーションをすることで、会社と私からパナケイアを強奪するつもりだった。そういうことですよね?探偵さん」


 最後は怒りに身を任せていた来栖に全てを持っていかれてしまった。私が来栖の質問に対して、言葉を返そうとした時、岩倉が声を上げた。


 「そんなものはすべてでたらめだ!」


 私はひとまず、彼らの話の動向を伺うことにした。すると、溜まっていた感情を今のである程度出し切った岩倉が、静かに語り始めた。


 「確かに、パナケイアは売れる商品ですから、探偵さんがおっしゃった通り独り占めすれば、それこそ大金持ちになれるのは間違いないです。でも、僕にだって技術者としてのプライドがあります。それにこの商品はそんな生半可な想いで作られていないんですよ!」


 岩倉はそう言いながら、来栖を見ていた。恐らく口から発せられていた言葉は私に対する言葉だったかもしれないが、気持ちは来栖に向いていたようだ。


 だが、来栖の表情が緩むことはなかった。


 「だったら、あの会話はなんだったんですか?」


 「え?」


 岩倉の身に覚えがない表情に動揺することなく、来栖は話を続けた。


 「私が大浴場へ向かう途中に、あなたが青柳さんと話していた内容ですよ!青柳さんのパナケイアの味変更の提案をあなたは最初、否定をしてくれていると思っていました。なのに話が進むにつれてあろうことか説得されて、最終的にあなたは青柳さんの売れるためには仕方がないという一言に納得してしまいましたよね?あなただってパナケイアを金を稼ぐ道具としか思っていない証拠じゃないですか!」


 「それは・・・」


 私は今の来栖の主張と岩倉の反応を静観していて、ようやく確信する事ができた。


 「なるほど、それで朝のミーティングで呼び出された時に睡眠薬を盛り、青柳さんの意識を朦朧とさせた状態でイベントに出席させ失敗を誘発させる。それがあなたの狙いだったというわけですね?来栖さん」


 私の言葉を来栖はすぐには理解する事ができなかったようだ。来栖の顔から血の気が引いているのがわかった。

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よろしくお願いします。


第1話→https://ncode.syosetu.com/n1110mi/1


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