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新米探偵助手は読者の推理が頼りです!  作者: マフィン


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犯人はあなただ!谷川さん!その2

 「これで青柳さんが猛毒パナケイアを飲んでいないことがお分かりいただけたでしょうか?」


 谷川はここまでの全てのやり取りを顔色一つかえずに静観していた。確かにここまでの話で新人である谷川が、話に入ること自体が難しいことかもしれないが、それでも全く関心がない様子に見えるのは、果たして私の思い違いなのだろうか?


 「だとしたら、なぜ青柳さんは気づかなかったのでしょうか?」


 私は岩倉の疑問に答えた。


 「恐らく、気がついていたと思いますよ。ですが、あの時はイベントの真っ只中でしたからねぇ・・・」


 あの状況で違うものが入っていたなんていう必要もなかっただろう。パナケイアをすり替えた人物はここまで読んでいたのかは定かではないが、一体なんのために・・・。


 私はさらにこう付け加えた。


 「それくらい強い想いを持っていたのでしょう」


 それが今回の事件の鍵になるであろうと私は考えている。


 「誰が?なんのために?」


 「それよりもパナケイアが無害だったのなら、なぜ青柳さんはあのタイミングで倒れてしまったのでしょうか?」


 高瀬の言葉を岩倉が遮って私に疑問を投げかけてきた。


 「やはり、日頃の疲労が祟ったんじゃないでしょうか?」


 来栖が静かに呟いた。


 「それは今、青柳さんの血液検査をお行なっているので、時期にわかることでしょう」


 私の本意はこの血液検査の結果を待ってから、皆さんを呼び出して真実のお話をしたかったのだが、探偵がそれは待てないと急かしてきたのだった。それこそこの結果次第では、私の描いていることの真相が変わってしまうだろう。


 私がこのように考えているのだから、この中にいる犯人も同じところをついてくるに違いない。


 「問題は、誰が青柳さんを襲ったのか?」


 私はすかさず話題をそこへ変え、私はすぐにこう話を続けた。


 「と言うことは探偵さんは、それが誰だかもうすでに見当がついているということですか?」


 岩倉は早く事の真相を知りたがっている様子だった。それは無理もないのだが、私の中では別の葛藤があった。


 「あくまで仮説ではありますが・・・」


 そう言いながら、私はその葛藤を終わらせる事ができなかった。こうなったらこの線で話を進めていきながら、結論をはっきりさせるしかない。


 「仮説でも何でも」


 岩倉は私の心中など気にせず、ずけずけと詰め寄ってくる。


 「その前に今回、私がなぜ御社に潜入しているのか、お覚えていらっしゃいますか?」


 岩倉は訝しげな表情を浮かべた。


 「ええ、確か、あなたの上司の探偵さんの、産業スパイ絡みの事件捜査でしたよね?」


 岩倉がそう答える中、谷川はゆっくりと私を含め他の三人の様子も伺っているようだった。


 「そうです」


 「ですが、本当に産業スパイがうちの会社にいるのですか?」


 今度が来栖が話に入ってきた。確かにこの話題は会社の一社員としては強い興味を示すのは当然だろう。


 「私自身も確証がなかったのですが、捜査をしてる私の上司いわく、やはりこの会社まわりで不審な動きが散見されているようでしてね。特にこのパナケイアの話題が世間の注目を集め出した時くらいから、動きが増しているとのことでしたので・・・」


 「不審な動きとは?」


 岩倉がすかさずくってかかってきた。心当たりがないのだろう。ここからは私も探偵の捜査資料の情報でしかない。


 「大きなところで言えば、人の動きでしょうかね?」


 私がそう答えると、しばらく沈黙が続き、岩倉が吹き出すように反論した。


 「ごめんなさい、言っていることが難しすぎて・・・」


 岩倉の皮肉は少々私の心に傷がつく。私は彼に苦手意識を抱きながらも、仕事と割り切り、説明を続けた。

 

 「パナケイアプロジェクトが始動してからの三年間、一度プロジェクトがストップした事がありました。あの糖を入れると猛毒になってしまうことが発覚したあの時ですね。その後再びプロジェクトが始動するにあたって、外部から青柳さんが入ってきた」


 「そしていまから五ヶ月前に高瀬さん、そして三ヶ月前に谷川さんが入社しました」


 岩倉が補足を入れた。その通りだ。


 「実はこれは私の上司にも言っていない事なのですが、私の推理ではこの三人の中に産業スパイがいると考えています」


 その瞬間容疑をかけられた二人とかけられなかった二人がそれぞれ同じリアクションをとった。それぞれが私の発言に何か物言いたげにこちらを見ていたが、言葉を発したのは岩倉だけだった。

 

 「ですが、青柳さんはすでに被害に遭われているではありませんか?」


 「だからと言って、青柳さんが産業スパイではない理由にはなりません。別の何者かに妨害されたなんてこともありますしね」


 岩倉は私に対する不信感をさらに高めていたに違いない。。


 「まぁとは言っても私は彼女の可能性は低いと思っていますが・・・」


 「は?」


 ここまで大きく疑いをかけているにも関わらず、岩倉からしかリアクションや反応を得られることができずにいる。


 「ではなぜそう思われるのですか?」

 

 やはり岩倉しか発言してこない。逆に岩倉はよくも呆れながらも反論してくれているものだ。おかげで話がスムーズに進んでくれる。


 「我々が追っている産業スパイは五ヶ月ほど前からこの日本に潜伏していると言う情報を受けています。それが正しいと仮定するならば、それよりも以前にいらっしゃる青柳さん、岩倉さん、そして来栖さんは少なくとも産業スパイではないと言うことがわかります」


 「だったら、容疑者は高瀬と谷川さん。ですが、高瀬は私の知り合いからヘッドハンティングしますから・・・」

 

 岩倉が独り言をように呟くとその場にいた全員が谷川を見た。


 「私ですか・・・」


 谷川はため息混じりに呟いた。

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第1話→https://ncode.syosetu.com/n1110mi/1


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