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新米探偵助手は読者の推理が頼りです!  作者: マフィン


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犯人はあなただ!来栖さん!その2

 「これで青柳さんが猛毒パナケイアを飲んでいないことがお分かりいただけたでしょうか?」


 来栖はただただ空っぽになったグラスを一瞥すると、まるで何かに気がついたかのように、目を見開いていた。


 「だとしたら、なぜ青柳さんは気づかなかったのでしょうか?」


 私は岩倉の疑問に答えた。


 「恐らく、気がついていたと思いますよ。ですが、あの時はイベントの真っ只中でしたからねぇ・・・」


 あの状況で違うものが入っていたなんていう必要もなかっただろう。パナケイアをすり替えた人物はここまで読んでいたのかは定かではないが、一体なんのために・・・。


 私はさらにこう付け加えた。


 「それくらい強い想いを持っていたのでしょう」


 それが今回の事件の鍵になるであろうと私は考えている。


 「誰が?なんのために?」


 「それよりもパナケイアが無害だったのなら、なぜ青柳さんはあのタイミングで倒れてしまったのでしょうか?」


 高瀬の言葉を岩倉が遮って私に疑問を投げかけてきた。


 「やはり、日頃の疲労が祟ったんじゃないでしょうか?」


 来栖が静かに呟いた。


 「それは今、青柳さんの血液検査を行なっているので、時期にわかることでしょう」


 私の本意はこの血液検査の結果を待ってから、皆さんを呼び出して真実のお話をしたかったのだが、探偵がそれは待てないと急かしてきたのだった。それこそこの結果次第では、私の描いていることの真相が変わってしまうだろう。


 そして私がこのように考えているのだから、この中にいる犯人も同じところをついてくるに違いない。


 「問題は、誰が青柳さんを襲ったのか?」


 私はすかさず話題をそこへ変え、すぐにこう話を続けた。


 「来栖さん」


 「はい・・・?」


 今まで蚊帳の外にいた彼女は急に、話題の渦中に引きずり込まれるのを拒んでいるような返事だった。だが、残念ながら、彼女を逃すわけにはいかない。容赦無くせめなければ・・・。


 「昨日、あなたは睡眠薬を飲んでいないとおっしゃってましたね?」


 「ええ、それが・・・何か?」


 彼女は静かに答えた。


 「お見せいただけますか?」


 来栖は一歩後ろに下がった。


 「なぜですか?・・・・まさか私を疑っているのですか?」


 「ええ」


 私はすかさず答えた。ここで遠回しに色々と話すよりかは、はっきりと伝えた方が彼女のためにもなるだろう。


 「なぜですか?」


 岩倉も私の言葉一つ一つを疑っている表情で聞いている。


 「あなたには他の方よりも彼女に対して大きな犯行の動機があるからです」


 私の言葉を聞いて、岩倉だけは少し視線が下にさがったのを見逃すことは出来なかった。確かにここまでの聞き込みだけでは来栖はこのプロジェクトにおいては先ほどまでの様子と同じく蚊帳の外だ。


 「一体何のことですか?」


 来栖もくってかかってきた。本当に心当たりがないのか?あるいは・・・。


 私はある名詞を口にすることにした。


 「クルゲン酸ですよ」


 「それが何ですか?」


 明らかに彼女は動揺している。そしてもう一人、今の言葉に反応を示した人物を私は見逃さなかった。


 私は、今、頭の中で思い描いている仮説を彼女にぶつける。


 「新しい物質を発見、開発した場合、その命名を基本は発見した方が行います。そしてそれは大抵、自分の名前の一部を入れ、後世に残そうと思うことが多いようです。それはこのクルゲン酸も例外ではない。そうじゃないですか?」


 来栖はそれでも私の目を見据えている。だが、本心は今すぐにでも私から目を逸らしたくて仕方がないことが、眼球の小刻みな震えで伝わってくる。


 「この名前は来栖さん、あなたが開発し、あなたが名付けた名前なんじゃないんですか?」


 「それは・・・」


 心の葛藤が目に見えてわかってしまう。今の反応で、私の仮説が正しいことは確信できた。だが、それだけではダメだ。


 「私の仮説をお話してもよろしいでしょうか?」


 彼女から反応はなかったが、私はさらに畳み掛ける。


 「あなたはこの物質を使い、新感覚のエナジードリンクの開発に勤しんでいたが、広報部へ移動することになった。恐らくそれはクルゲン酸と糖によって猛毒になってしまうあの一件が関係しているのでしょう」


 意図していなかったとはいえ、商品が毒化してしまうものを製造していたとなれば、責任問題になるのは仕方がない。


 「とはいえその後も、大学院の先輩でもある岩倉さんの助けも借りつつ、広報として陰ながらパナケイア開発に尽力し、ようやく完成にこぎつける事ができた。ようやくあなたの努力が報われると思われた」


 商品である以上、売れなければ短命に終わってしまう。彼女はパナケイアを長生きさせるために、尽力していたのは今日のイベントのスライドやポスターを見るからにそれは伝わってきた。


 「だがその矢先、途中から入ってきた青柳さんがこのプロジェクトリーダーに選ばれたことで、あなたは天塩にかけて育ててきたパナケイアを横取りされた。そう感じたんじゃないですか?」


 来栖は私の仮説を言い終えると、顔を上げた。


 「だからって、私がどうして青柳さんに手をかけるんですか?むしろ青柳さんがいなければ、パナケイアがここまで注目されることはなかったんですよ?それなのにどうして・・・」


 その時、ポケットのスマートフォンが小さく震えるのを感じた。


 「失礼」


 やはり探偵からの連絡だった。


 「青柳さんの血液検査の結果が出た」


 私はその通知をすぐに開いた。

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よろしくお願いします。


第1話→https://ncode.syosetu.com/n1110mi/1


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