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新米探偵助手は読者の推理が頼りです!  作者: マフィン


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犯人はあなただ!高瀬さん!その2

 「これで青柳さんが猛毒パナケイアを飲んでいないことがお分かりいただけたでしょうか?」


 高瀬は空っぽになったグラスを眺めると、すぐに辺りを見回した。私はまるで、誰かを探しているように見えた。そして高瀬の視線が止まり、私もその視線の先を見ると、そこには谷川が立っている。


 「だとしたら、なぜ青柳さんは気づかなかったのでしょうか?」


 岩倉が運良くこちらに質問を投げ掛けてくれたおかげで、私が谷川を見ていることを勘づかれずに済んだ。


 私は岩倉の疑問に答える。


 「恐らく、気がついていたと思いますよ。ですが、あの時はイベントの真っ只中でしたからねぇ・・・」


 あの状況で違うものが入っていたなんて言う必要もなかったのだろう。パナケイアをすり替えた人物はここまで読んでいたのかは定かではないが、一体なんのために・・・。


 私はさらにこう付け加えた。


 「それくらい強い想いを持っていたのでしょう」


 そしてそれが今回の事件の鍵になるであろうと私は考えている。


 「誰が?なんのために?」


 「それよりもパナケイアが無害だったのなら、なぜ青柳さんはあのタイミングで倒れてしまったのでしょうか?」


 高瀬の言葉を岩倉が遮って私に疑問を投げかけてきた。


 「やはり、日頃の疲労が祟ったんじゃないでしょうか?」


 来栖が静かに呟いた。


 「それは今、青柳さんの血液検査を行なっているので、時期にわかることでしょう」


 私の本意はこの血液検査の結果を待ってから、皆さんを呼び出して真実のお話をしたかったのだが、探偵がそれは待てないと急かしてきたのだった。それこそこの結果次第では、私の描いていることの真相が変わってしまうだろう。


 私がこのように考えているのだから、この中にいる犯人も同じところをついてくるに違いない。


 「問題は、誰が青柳さんを襲ったのか?」


 私はすかさず話題をそこへ変え、すぐにこう話を続けた。


 「もしかしたら、青柳さんの殺人自体が、何者かによって阻止されたのではないでしょうか?そう思ったのは私だけでしょうか?高瀬さん?」


 高瀬の目線が谷川から、こちらに向いた。高瀬は明らかに動揺しながらも一生懸命に気持ちを落ち着かせていた。


 「いや、私はそうは思いませんが?探偵さん?何かおっしゃりたいことがあるのでしたら是非聞かせてください」


 彼は無理やり品のある話し方をしていたが、所々に別の人格が顔を出している。


 「もちろんです」


 私も強気に答えた。


 私と高瀬の間で岩倉がキョロキョロと目を泳がせながら間に入ってきた。


 「阻止されたとは一体どういうことですか?青柳さんが倒れてしまっている現状を鑑みるに、それは阻止できていないじゃないですか!」


 岩倉は状況を自分の頭の中でも整理しているようだ。


 すると高瀬が一歩前に出てきた。


 「ですが、糖が混ぜられた猛毒パナケイアをもし、彼女が接種していれば間違いなく今頃彼女はこの世にはいない。そういう意味では阻止出来ているんじゃないんですかね?」


 高瀬が私の話を噛み砕いて説明していた。容疑をかけているにもかかわらず、彼は毅然とした様子で話を進めているが、明らかに彼の中で動揺しているのは明らかだった。


 「それを踏まえた上で探偵さんは何をおっしゃりたいのでしょうか?」


 私は、話を進めた。


 「昨日の青柳さんの部屋で行われた打ち合わせの時に高瀬さんは糖を入れてもパナケイアが毒化しない方法を提示されています。そうでしたね岩倉さん!」


 「はい・・・!」


 岩倉は歯切れは悪かったが、すかさず返事を返してきた。


 「それが嘘だったと言いたいのですか?」


 岩倉は何をどう理解していいのかわからなくなってしまっているのだろう。全ての事象に対して、疑いの眼差しを向けている。


 それに対して、すかさず高瀬が出てきた。


 「もちろん、我々三人がそれぞれ飲んで、その安全性をお互いに証明していますから、嘘ではないはずです。そうですよね?岩倉さん?」


 高瀬も岩倉に問いを投げかける。


 「はい、あの時、私と高瀬、そして青柳さんも飲みました。まぁ青柳さんはあんなことになってしまいましたが、私と高瀬は今のところは何も起きていません」


 「まぁ確かに、犯人があえてフェイクを渡していると言われればそれまでですが・・・」


 岩倉は言い切った。しかし今度は高瀬の方が歯切れが悪い。岩倉は完全に高瀬を信じ切っている。今の状況は彼ら対私の構図になってしまっている。


 これはあまりうまく行っているとは言えなかった。


 「まぁ確かに冷静に考えれば、突貫で本来出すべきだったものと違う内容の物を出すなんておかしな話ですよね?ですが我々もどうしてもこの味についての課題だけが解決できなくて、苦労していたんです」


 「それに私がコンサルをしている中でもこういったケースはよくあることです。しかみ今回に関しては、以前にも私は同じ内容の話を岩倉さんと進めていたことではあったので、私が昨日突然作り上げて完成させたものではないんですよ」


 二人の私に対する猛攻はさらに勢いを増した。だがそれは私の中で想定内のことだ。


 「ええ、私もその件については素人ですから、ガミガミと文句を言うつもりは毛頭ございませんよ」


 すると高瀬と岩倉の私に向ける目線に呆れた様子が伺えた。


 「ではあなたは何をおっしゃりたいのですか?」


 高瀬の少しうんざりしているような表情が、私の理性を揺さぶってくる。だが、ここで私が怒りの感情に振り回されれば、何の意味もなくなってしまう。


 「昨日のことは十分わかりましたので、ぜひ今日のことをお聞かせ願いますか?」


 二人はとうとう苦笑いを浮かべてしまった。

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第1話→https://ncode.syosetu.com/n1110mi/1


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