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新米探偵助手は読者の推理が頼りです!  作者: マフィン


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18/23

多方面への疑い

 さてそろそろ結論を出さなければならない。私は自分のメモと睨めっこをしている。にらめっこは私の圧勝のようだ。


 私の乏しいのか豊かなのかわからない想像力だと、四人とも青柳さんに手をかけられるし、手をかけられない。自分でも言っていることが分からなくなっている。


 「さて、そろそろ犯人を決めてもらうとするかな?」


 無人のはずの宴会場に探偵の声が響き渡る。やはりまだ彼はここには来ていないといういことか。


 「分かってます。でももう少し待ってもらえませんか?」


 「ほう、どのくらい待ったらいいんだい?」


 彼の口調はどこか私を試しているように聞こえた。だが、彼の言う通り。時間は欲しいが、果たして私はどのくらいの時間を使えば、この事件を解決できるのだろうか?


 このままどれだけの時間を待ってもらっても、私にはこの事件を解決することはできないのではないだろうか?


 私は黙り込んでしまった。


 「おや?どうやらかなり苦戦しているようだねぇ」


 探偵に見透かされている。不甲斐ない自分に悔しい気持ちでいっぱいだが、私は意地を張るのをやめた。


 「はい、正直言ってさっぱりわかりません。やはり私にはこういったことは向いていないんです。ですから、どれだけ待っていただいても、あなたの意に叶う結果をお届けすることはできません」


 私は言い切ってしまった。まだ関係値がそこまでない相手に対して、自分を落とすような言い方は正直、自分で自分を苦しめているようなものなのは十分承知だ。だが、今回ばかりは彼に迷惑をかけるわけにはいかない。


 こう言った繊細な話は、そう有耶無耶にすれば、どんな責任問題に発展するかなんて分かったもんではない。


 すると、探偵から返事が返ってきた。


 「確かに君は考えることは苦手なのかもしれない。だが君にはこの仕事において重要なことを得意としている」


 「重要なことですか?」


 「情報収集能力だよ。特に取り調べの鮮やかさは素晴らしかったぞ?」


 正直、あまり自覚はない。ただ私は自分が気になったことを聞いただけだったのだが・・・。


 「どうやら腑に落ちていないようだな?集められた情報から重要な手がかりを見つけ、単刀直入に聞ける能力はなかなか身につけられるものではないと思うぞ?」


 「ありがとうございます」


 だが、私はそれでもそれが事件の解決に結びついてくれるとは思えず、暗い顔を続けていた。


 「だが、それと同時に君は事件捜査において重大な欠陥も持っている」


 逆に私の求めているのはこっちの方だった。


 「それはなんですか?」


 「なんか褒めた時よりも食いつきがいいなぁ!」


 探偵は動揺している声を上げている。


 「君は先入観が思考において強く作用しているようだな」


 「先入観ですか・・・?」


 「言い方を変えれば、疑うことをあまりしないようだ」


 「疑うからこそ気になる視点が見つかるのでは?」


 別に探偵の言うことに異論はない。だが、それを自分に落とし込むには理解不足な気がしていた。


 「確かにそうだし、君が疑うことを知らないとは思っていない。だが、疑う方向が常に一方向なのだよ。もっとたくさんの方向に疑わなくてはならないのだ」


 「たくさんの方向に・・・?」


 私はまた考え込んだ。なぜなら私は四人の人物に対して、疑いをかけすぎていることで捜査に行き詰まっているからだ。


 「私はどこに疑い向ければ良いんですか?」


 私はそれこそ得意の単刀直入の質問を探偵にぶつけた。


 「私だよ。私が最初に結論づけた推理だよ」


 「え?」


 私の中でまるで時が止まったような感覚になった。


 「捜査をしていれば、前提から覆ることだっていくらでもある。まずは今得た状況だけを踏まえた上で、私が建てた前提から覆してみるのもまた一つの手かもしれないぞ?」


 前提から覆す。前提というのは、青柳がパナケイアを飲んで倒れたというところにあたるのだろうか?


 私は頭の中で最初に探偵が四人の容疑者に披露した推理を思い出していた。


 それの全てがもし間違っていたのだとしたら・・・。


 「あ!そういえば・・・」


 「なんですか?」


 先ほどまでの口調とは違ういつも通りのあっけらかんとした探偵の話し方に戻っていた。


 「さっきこの会社のネットワークに侵入したら、どうやら昨日、開発チームのアカウントにアクセス履歴があったみたいだ」


 「アクセス履歴ですか?」


 「ああ、だが昨日は会社は休みで誰も出社していないはずだ」


 「でも、昨日会社に戻った人間が二人います。自身の忘れ物をとりに戻った来栖さんと、青柳さんの忘れ物をとりに行った谷川さんです」


 「なるほど」


 今名前が上がった二人はどちらも開発チームのメンバーではない。なら誰が?二人の他にも昨日、会社に戻った人間がいたのか?


 それとも二人のどちらかが開発チームのアカウントを使えるのか?


 「さぁそろそろ結論を出そうか」


 探偵の声を聞いて私は一つの結論を決めることにした。ここから先の話は、私の出した結論によって起こり得た四つのシナリオだ。この中の一つが全ての真実に辿り着く。


 私の出した結論、それは・・・


 「犯人は岩倉さん」というもの


 「犯人は高瀬さん」というもの


 「犯人は来栖さん」というもの


 「犯人は谷川さん」というもの


 ここから先のお話はあなたが選んだ結論に沿って話が進んでいく。もし途中で、自分の出した結論の誤りに気付いたとしても、ぜひその選択した運命を見届けることをお勧めする。


 あなたが真実の結論へと向かっていってくれることを願っている。

お読みいただきありがとうございます。ぜひ評価、ブックマーク、感想をしていただけるとかなり励みになります。

よろしくお願いします。


第1話→https://ncode.syosetu.com/n1110mi/1


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