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新米探偵助手は読者の推理が頼りです!  作者: マフィン


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12/17

色違い

 宴会場の空気は少しどよめいているように感じた。特に岩倉の表情から察するに、今から来栖が言おうとしていることに多少なりとも心当たりがある様子だ。


 来栖の操作によって前方のスクリーンにスライドが映し出された。さっきのプレゼンテーションでもみたパナケイアの画像が差し込まれているスライドだった。


 「これをみてください」


 来栖もどこか気まずさを拭いきれていない様子で、一生懸命私だけを視界に入れているのが伝わってくる。


 「パナケイアですか?」


 彼女が何を言おうとしているのか探るため、私はあえて多くを語らずにいた。だが私も岩倉と同様に来栖がこれからなんの話をしようとしているのか、想像がついている一人だった。


 「色です。この画像のパナケイアは白いんですけど、青柳さんが飲んだパナケイアは茶色っぽい色でした」


 そう。私もそこに関しては非常に違和感を感じていた。少し似た色であれば、光の加減とかなんとかで違和感を最小限にすることができたかもしれないが、白と茶色では流石に別の液体を疑うレベルの話になってしまう。


 すると、これに反応したのは高瀬だった。


 「確かにそうですが、それは開発途中の段階の画像で、急遽の変更が入ったんですよ。これもよくあることじゃないですか?」


 するとそれに対して、すかさず来栖の反論が飛んできた。


 「ですが、資料は三日前に青柳さんがチェックをして、ようやく完成しました。もし、その時に変更がされていれば青柳さんから修正が入るはずです」


 「なら高瀬さんの言う変更がなされたのは、その三日間での話というわけですね?」


 この話の顛末は要するに、プロジェクトリーダーの三日前の最終調整が完了しているにも関わらず、今日までの三日間に変更がなされていて、それが来栖に共有されていなかったということなのだろう。


 問題は、このことを被害者である青柳が知っていたかどうかだ。もしそれを知らずに当時あのタイミングで青柳も知ったのであれば、その変更をした開発メンバーの二人が非常に怪しくなってくるだろう。


 すると、岩倉が気まずそうに下を向きながら、真実を口にした。


 「その変更なら、昨日に・・・」


 「え?」


 来栖は思わず声が漏れていた。


 「岩倉さん、どういうことかご説明いただけますか?」


 多分この説明を一番聞きたいのは、来栖なのかもしれない。しかし、来栖の思い通りにはならなさそうだ。


 「探偵さん、もちろんあなたにはお話ししようと思うのですが・・・」


 岩倉はそう言いながら、来栖の方を見た。


 来栖の怒りのこもった顔が岩倉の方を見ている。この勢いだと、来栖は岩倉を刺し殺しそうな顔をしている。


 「わかりました。ではこうしましょう」


 思わず出た言葉だったが、私の中でぼんやりと描いていた次のプランをただ提案するだけだった。


 四人はそれぞれの想いが入り混じった表情でこちらを見ている。だが、果たして彼らの本心はどこにあるのか?私にはまだ誰がどんなことを考えていて、そして誰が被害者に手をかけたのかさっぱりわかっていない。


 それを暴くためにも今から次の提案をすることにした。


 「ここからは、私とお一人ずつ取り調べを進めていこうと思います。私も皆さんに伺いたいことが増えましたし、皆さんもお互いの目を気にすることなく、私に話しておきたいことを話せるでしょう。そうすればこの事件の解決へも大きく前進するとおもます」


 四人はなんとも言えない表情をしている。


 「いかがですか?」


 私の本心はと言うと、はっきりしてほしいという感情しかなかった。


 「私は賛成です。皆さんはどうですか?」


 最初に賛同していたのは来栖だった。


 「私も同じくです。事件の早期解決を望むのであれば問題ないでしょう」


 高瀬も来栖の後すぐに賛同した。


 「皆さんがそうおっしゃるのであれば・・・」


 谷川も半ばどっちつかずな態度な気もするが、賛同している。残るは岩倉だった。もはや民主主義においては多数決は決している。だが、彼は難しい顔をしながら、私の方に視線を向けた。


 「私も問題はありません。ただ、探偵さんに一つ質問があります」


 「なんでしょうか?」


 私は少し戸惑った。この後に及んで私に何を聞きたいのだろうか?


 「この事件、本当に解決へと向かっているのでしょうか?」


 岩倉という男は年の功というものなのだろうか?痛いところをついてくる。そこに関しては正直、私も知りたいところではある。しかし、だからと言って、その気持ちを彼らに明かす必要もないだろう。


 「それはなぜそう思われたのですか?」


 私の得意とする逆質問で対抗してみた。


 「いや、正直この段階ではまだ我々の知っていることしか明らかになっていないじゃないですか?つまり、私たちからしたら、新しいことは何もわかっていないんですよ」


 「ですが我々は非常に順調にいろいろな真実が見えてきているところですよ」


 いきなり、探偵の声が場内に響き渡った。もしかして、今までの一部始終を彼は監視していたのだろうか?


 岩倉は探偵の鋭い口調に狼狽えているように見えた。


 「あなたたちにとっては当たり前のことのオンパレードかもしれませんが、私たちにとってはこの数分は新発見の連続でしたよ?」


 「ならいいですけど・・・」


 「それにあなたたち四人の中でも大きな新発見をされている方がいるようですしね・・・」


 皆が来栖を見た。


 「それに、我々はもうすでに犯人の目星がついております」


 その言葉を聞いて、私を含め会場にいる全員の表情が一気に変わるのがわかった。


 「それは一体・・・」


 私もそれは知りたいものだ。


 「まぁまぁ皆さん、一旦落ち着いてください。まずは私の助手の言う通り、お一人ずつお話をさせてはいただけませんか?冤罪で逮捕なんてされたくないですよね?少なくとも私はそんな頭の悪いことはしたくありませんので」


 彼らはそれぞれ黙って探偵の話を聞いてはいたが、心がざわついているのもすぐにわかった。


 「ここからも私の助手に任せるとしよう。君のスマホに資料を送ってあるからそれも参考にしてくれ!では私は一旦失礼するよ」


 彼がそう言った後すぐに、スマホが震えたのがわかった。


 一体なんの資料なのだろうか?そして探偵のいう犯人の目星とは一体誰なのだろうか?ここからが正念場なのかもしれない。

お読みいただきありがとうございます。ぜひ評価、ブックマーク、感想をしていただけるとかなり励みになります。

よろしくお願いします。


第1話→https://ncode.syosetu.com/n1110mi/1


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