3話
明日の昼間…
昼食を食べ終えたころに、その医者は僕の病室へと訪れていた。
「初めまして。私は千里桃源。聞いているかもしれないが、君の病気を治すために来た医者だ。」
目の前の白髪で大人びた背格好の男性は丁寧に自己紹介をしてくれた。
「どうも…。初めまして…。」
「あぁ、初めまして。さて、まずは君の事を良く知らなくてはね。う~ん…君は好きなことはあるかい?」
「…ない。」
良くある話だ。ほとんどの医者はこういった質問をしてくるのだ。患者が精神的にも良くなるように、なのかはよくわからない。僕にとってはどうでもいい話だ。
「本当にないのかい?君くらいの年齢なら好きなことの一つや二つあるんじゃないかな?そして、君はそれにとても興味を惹かれている。」
その医者は心を見透かしたかのように話しかけてくる。その言葉に少し驚きさえした。医者と言うより魔術師の方がぴったりだ。それくらい不思議なものを感じる。
「おっと、ごめんね。昔心理学をかじってたことがあって、つい君の心情を知りたくなってしまったんだ。」
「…そうですか。特に惹かれているものなんてないですよ。」
「そうかい?なら、いいか。」
それからはこの医者と会話をした。なんの変哲のない会話だった。
夢での出来事以外なら何でも話した気がする。しかし、興味がなかったのであまり覚えていない。
医者は満足したのか、満面の笑みで僕に手を振って去っていった。
久々に誰かと長く喋った気がする。それもあってか、ひどく疲れてしまった。
今日は看護師さんに行って、早めに就寝することにしよう。
…また、あの夢が見れる。
次回へ続く…。




