■ 究極パック兵器の女
究極の顔面パック兵器とは?
自らに自信が持てないOL・粧田 五月。何とか個性を出そうと色々とメイクを工夫するが、どうも上手くいかない。同僚たちは「元の人物に個性がないから、何をしても無駄」と口さがない。
さてその頃、世間では神隠しの噂が流れていた。老若男女関係なく、突如として人がいなくなるというのだ。被害者に共通点がない事も、かえって世の中の不安をあおっていた。
自分には関係ないだろうと思っていた五月だが、ある夜、見知らぬ者たちにさらわれてしまう。
五月が気がつくと、いかにも秘密組織のアジトというていの場所にいた。そこには五月と同じくさらわれてきた者たちが多数捕らわれている。組織の人間の言う事には、拉致された者たちはとある実験の被験者になるという……。
それは人間兵器の実験で、顔に特殊なパック剤を塗ると、そこに含まれる薬剤が脳や体に浸透し、更には遺伝子が変化して特殊能力を発揮するというものだ。
そのパックは元々は白いのだが、顔につけると塗られた人間の個性に合わせて色が変化する。中には模様が浮き出る者もいる。そして色や模様ごとに、違う能力が発揮されるというのだ。
怪力を発する者、超スピードで走れる者、火や水を自由に操れる者など様々である。
しかし大抵の者は、急激な体の変化についていけず死んでしまう。実験は如何にすれば正常な状態を保てるかと、能力の強さを調整するために行われていた。
いよいよ五月に番が回ってきた。嫌がる彼女の顔に悪魔のパックが施される。だがしばらくたつと、研究者の間から驚きの声が上がった。
五月の顔に塗られたパックは白いまま変化せず、色も模様も全く現れないのである。そして様々に試してみるが、何の能力も発揮しない。
「うーむ。パックが何色に変化し、それに伴いどういう能力を発揮するかは、被験者の”個性”がものをいう。
思うに、この女にはこれといった個性がないのだろう。
失敗以前の問題だ」
組織の科学者はそう吐き捨てると、失敗作を処分するよう部下に命令する。
組織の戦闘員にあざ笑われ殺されそうになる五月。
自らの個性のなさを嘆きながらも、それまで目にした実験体を思い出し、
「私に炎を発する力があれば、こいらを火だるまにしてやるのに!」
と、死の間際に強く念じた。
するとどうだろう。彼女の顔の白いパックが真紅にそまり始めた。そして全身から炎が立ちのぼる。
驚く戦闘員たちを尻目に、五月は無我夢中で”死にたくない”と願う。途端に彼女の体にまとわりついた炎は業火となり戦闘員を飲み込んだ。
パニックに陥る組織の人間たち。とにかく五月を捕らえようとするが、近づく事すらかなわない。
わけのわからぬまま逃走する五月だったが、勝手を知らぬアジトの中、段々と追い詰められてしまう。そこを謎の人物に手引きされ、ようやく難を逃れるのであった。
その人物は無理矢理に研究をさせられていた科学者で、いつか組織を抜け出すチャンスをうかがっており、五月が起こした騒動をこれ幸いと利用したのだった。
その科学者が五月を詳しく調べた結果、彼女の体質とパックの成分が特殊な反応を示した事を突き止める。
パックは、その者の個性に合わせて変化する。しかし五月は自分に個性がないと信じ込んでいたため、色も模様も現れなかったのだった。
だが白色は、どんな色にも染まれる事を意味している。五月はその時の気持ちに合わせて、様々な能力を発揮できるという特殊体質である事が分かった。
一方、その事は秘密組織側でも残されたデータから推察しており、五月を最高の人間兵器と認定。その捕獲に全力をあげる。
かくして究極の人間兵器と化した五月と科学者は、悪の組織に追われる身となった。
個性がないと悩む引っ込み思案のOLと、性格に問題のあるイケメン科学者。彼らを捕らえようとする悪の組織。更には組織に対抗する第三勢力が織りなす、究極のパック戦争が今はじまる!




