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■ 異世界タイムパラドックス

「ここが異世界というものか……」


魔導士ヒュラクラムが呟く。彼女の目に飛び込んできた異世界は、鉄の箱が無数にうごめき、かがり火よりも明るく、しかも様々な色をした灯火が咲き狂う街だった。


「この世界の何処かに、奴が……。必ず見つけ出して殺さねば」


ヒュラクラムは、自分の使命を反芻する。


異世界ラッツゴラム。その世界は今や地獄の様相を呈している。全ては突如現れた魔王のせいだ。多くの勇者が魔王に挑んだが返り討ちにあい、人々の希望も消え失せる。


だが、ある魔法使いが心読みの術を使って魔王の心を透視した。それによると魔王は異世界からの召喚者で、転生する際に絶大な力を手に入れたという。


そこで世界中の魔法使いが集まり一計を案じた。伝説の魔法を使い、魔王を退治しようというのだ。それは次のような方法であった。


心読みの術によれば、魔王は転生前の世界では非常に脆弱な存在だった。だからその段階で倒すのは簡単だ。そこで「逆召喚タイムリープ」の魔法を使い、魔王が転生する一年前の彼の世界へと刺客を送り込むのだ。


そしてまだ”ただの人間”だった頃の魔王を殺すわけである。そうすれば彼が転生して魔王になる事もなく、世界は平穏を保つ事が出来る。


伝説の魔法の継承のみを存在理由とする一族から、ヒュラクラムが選ばれ、魔王のいた世界へ逆召喚される事となった。そして彼女は”現代日本へ”。前世の魔王を見つけ、粛清する為のヒュラクラムの旅が始まった。


だがスパイから情報を得ていた魔王は、ヒュラクラムと同じ能力を持つ者に彼女を追わせ、彼女が前世の自分を殺す前にヒュラクラムを抹殺させようとする。


転生者は何故、魔王になる事を望んだのか。異様な魔法を継承する謎の一族の正体とは。そもそも何故「逆召喚タイムリープ」などという、ピンポイントすぎる魔法が古代から存在したのか。様々な謎を秘め、ヒュラクラム、前世の魔王、追跡者の存在と思惑が絡み合う!(かも知れない)


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