■ 耳の長いドワーフ
ある変わり者のドワーフ、ゴドンバンが住む森の中で、彼は置き去りにされた赤ん坊を見つける。男の子の赤ん坊はその容姿から明らかにエルフであったが、そのまま見捨てるわけにもいかず、ゴドンバンは赤ん坊をケトインと名付け育てる事にした。
本来、ドワーフとエルフは仲が悪いとされているものの、そんな事は人知れぬ森の奥では関係ない。それに、そもそもゴドンバンは変わり者であるが故に、一人きりで森に住んでいたのだった。
ゴドンバンはケトインに生きる術として、格闘剣術と鍛冶の腕を仕込む。ケトインは、それを素晴らしいレベルで習得していった。本来、エルフは格闘には向かないとされているが、それは文化的な背景から、そう思い込まれているだけのようだった。
ゴドンバンはケトインに「お前は、あくまでエルフだ。いつか、この地を去らねばならない」と教えてきたが、ケトインは「僕は、耳の長いドワーフだ」と言って、意に介さなかった。
そんなある日、サラマンダーの群れが森へ押し寄せて、辺り一帯を焼き尽くした。たまたま山へ鉱石を取りに行っていたケトインは難を免れたが、ゴドンバンの消息は不明となる。
途方に暮れるケトインの前に、いかにも美しいエルフの少女が現れた。彼女は「あなたは、ノースエルフ国王の忘れ形見です。国王は暗殺され、一人娘の王女は幽閉されています。祖国の危機を救ってください」と懇願する。
突拍子もない話に戸惑うケトインだったが、幼い頃から背中にある奇妙な形のアザの事を言い当てられ、ゴドンバンの「いつか森を去らねばない」という言葉を思い出し、彼は少女に同行する事を決めた。彼女がサラマンダーの群れを率いてきたとも知らずに。
エルフとドワーフの隠された太古の因縁を巡り、陰謀渦巻くエルフ四大国で、自らを耳の長いドワーフと称する王子の活躍を描くファンタジーロマン譚、今ここに開幕!(しないと思う)




