■ 弾丸のマザケイド
大柄な男性冒険者マザケイドは、ひょんな事から即席パーティーを作ってギルドの依頼を引き受けた。
しかしメンバーは、どこか挙動がおかしな者ばかり。実のところ、マザケイドが最もあやしい素振りをしていたのだ。ソワソワと落ちつかない事しきりである。
実は彼には二つの秘密があった。一つは異世界からの転生者である事。もう一つは……。
さて、どうにかこうにか依頼を貫徹しようという時に、情報にはない強大なモンスターが現れる。パーティーは途端に劣勢に立たされた。このままでは、確実に全員があの世行きだ。
そう思ったマザケイドは、一大決心をする。彼が呪文を唱えると、彼の全身は白銀に光り、あたかも金属の如く強固になった。そして上半身をかがめ、モンスターへと”照準”を合わせる。
次の瞬間、彼の弾丸にも似た頭部は勢いよく体を離れ、モンスターの胴体を貫いた。
彼は転生者であり、かつデュラハン(首と胴が離れたモンスター)でもあったのだ。
実は転生する時、天界の役所のミスで転生先がモンスターしか空いておらず、泣く泣く彼はそれを承諾せざるを得なかったという事情がある。
だが、せめてもの特典として「普段は首と胴がくっついている。ただし、ビックリすると外れてしまう」「体を金属化させ、頭部を弾丸のように発射できる」という能力を与えられたのだ。
彼の予想もしなかった行動に、声も出ない仲間たち。
しかしモンスターは、死んではいなかった。最後の力を振り絞って、パーティーを道連れにしようと襲い掛かってくる。
「逃げろ!」
地面に転がったマザケイドの頭が、仮初めの仲間に叫ぶ。
しかし、彼らは迷っていた。
そして中の一人が、
「あんた、もしかしてデュラハンか? 仲間とも呼べない俺たちのために、そこまでしてくれた奴を見捨てられるか!」
と言ったかと思うと、彼の背中からそれほど大きくはないが、コウモリのような翼が生えた。どうやら低級のバンパイアのようだ。
「おい、あんたもか?」
隣にいた一人が、困惑の表情を見せた。
「えぇい。それは僕だって同じだよ」
更に後ろにいた一人が、自らの顔に手を当てる。すると正に肉面とも言える仮面が剥がれ落ち、中から大きな一つ目が現れた。彼は、サイクロプスだったのだ。
先の一人も「どうなってんだよ!畜生」と声をあげ、呪文を唱えるとその体は岩のようになった。こちらは自立型のゴーレムらしい。
実はマザケイドと同じような目にあった者は複数名おり、彼らは神の思し召しによって一堂に集められたのだ。
各々の能力を発揮し、モンスターにとどめを刺すパーティメンバー。
ここに隠れモンスター・パーティ「ルイトモン」が、誕生した。
果たして彼らがモンスターに転生したのは偶然なのか。天界・地獄界を巻き込んで、元・人間の怪物たちが織りなす仰天ファンタジー、ここに開幕!(しないだろうなぁ……)。




