第83話 ホープ
ゴブリン被害者たちが奴隷としてやってきて一ヶ月が過ぎたある日。今日の夜伽の相手は、元冒険者四人の中の一人、ホープだった。ホープはベリーショートヘアの大人しいタイプで、顔も体も性格も抱き心地さえ地味だった。ただ、タカシは気にしていなかった。五十名以上のハーレムの主として、一日に何人も相手にしている。地味程度は些細なことで、そこに悪感情が出るわけもない。やることをやって、女性の柔肌に触れながら安らかな睡眠をとる。ホープはそんな安らかな時間を提供してくれる相手だった。
ただ、今日のホープは少し違っていた。どこか緊張しているようで、動きがぎこちない。あまり気にせずベッドに押し倒したが、いきなりタカシを振りほどき、ベッドの上で土下座をした。
「お願いがあります」
ホープから聞いたことのないような大きな声が発せられた。
「どうした?何か困ったことが起きたか?」
最近のタカシたちは、大規模農業のために畑を拡大したり、防衛ライン構築のための工事を行ったりと活発に動いている。そのためいくつも問題が起き、対処の連続で、タカシはクレームに慣れていた。今回もそういったクレームの一つと考えた。
「私とギアスで、従属契約を行ってください」
タカシから思わず「えっ!?」と驚きの声が漏れた。タカシたちが辺境騎士団に内定し、タカシと従属契約を行っている者はもれなく騎士に叙勲される。元冒険者の中には騎士になりたいために従属契約を求める者が出るのではと、タカシは警戒していた。しかし、大人しいホープが従属契約を望むとは思えず、不意をつかれた。
「どうしてだ?ギアスにはリスクもあるぞ」
ホープは顔を上げ、タカシをまっすぐ見つめた。
「私の本当の職業は僧侶で……」
「え!?ちょっと待て!!お前僧侶だったのか?俺は僧侶を奴隷にしていたのか?」
禁忌である僧侶を奴隷にしていたことに焦り、教会を敵に回したと嫌な汗が出た。
「それは大丈夫です、安心してください」
ホープはそう言って、自分の首に巻かれている奴隷の首輪を外した。
「奴隷の首輪をしていましたが、奴隷契約はしていないので安心してください」
タカシはそれはそれで安心できない問題が出てきたような気がしたが、黙って話を聞いた。
「私は教会の孤児院で育ち、運よく神聖魔法の才能に芽生えて修道士の道を歩むことになりました。しかし、教会の習慣に慣れずトラブルをよく起こして、周りに迷惑をかけていました。そんな私がゴブリンの被害者として教会に戻るのは耐え難く、シスター・リオンに相談しました。アーナス様から出された条件が、タカシ様と従属契約を結ぶか、教会に行くかの二択でした」
「教会関係者でない俺と、従属契約を結んでいいのか?」
「はい、ギアスは神聖魔法です。神の許可が出ているものに教会は異を唱えません」
そうなると、パーティーに欲しかった僧侶が従属契約として手に入る。タカシは、従属契約に対する抵抗感も、僧侶が手に入る喜びで吹っ飛んでいた。
「仲間になってくれるなら、こんな嬉しいことはない。だが、ギアスは本心で望まないと契約が弾かれるが大丈夫か?」
「それは大丈夫です。教会に戻ることを考えれば、タカシ様の元は天国のようなものです」
タカシは、自分が皆に甘いのか、それとも教会が厳しいのかを悩んでホープを見つめた。僧侶と聞いた後のホープは二倍可愛く感じ、控えめな胸も愛おしく、自然とキスをしていた。僧侶を意識すると、いつも以上に興奮して抱いた。
事後、教会での出来事を聞いた。どうやらホープは窮屈な空間で規則正しく生活することにストレスを強く感じるタイプのようだった。
翌日、教会に行きシスター・リオンにギアス契約をお願いした。しかしリオンはギアスを使えないらしく、母親のシスター・セシリアによってタカシとホープの間に従属契約が成された。




